三菱商事、スイスのサウス・ポールと大気中のCO2除去技術の普及・促進で提携

(米国、日本、スイス、フィンランド)

ヒューストン発

2023年05月02日

三菱商事は4月26日、カーボンクレジット創出を手がけるスイスのサウス・ポールと、大気中の二酸化炭素(CO2)除去技術(技術系CDR)の普及・促進に向けて、合弁会社ネクストジェン(NextGen)を設立したと発表した。

ネクストジェンでは、国際的な品質基準(International Carbon Reduction and Offset Alliance)に準拠した高品質な技術系CDR由来のカーボンクレジットを扱い、クレジットの買い手と売り手(プロジェクト)をつなぐことで、市場拡大に必要な基盤を構築する役割を果たすとしている。2025年までに累計100万トン以上の技術系CDRクレジット購入を目指し、同市場の拡大を支援していくという。

発表によると、ネクストジェンは以下の3つのプロジェクトから世界最大規模となる累計約20万トンの技術系CDRクレジットの長期購入契約を締結した。

  1. 米国サミット・カーボン・ソリューションズが推進するバイオマス由来のCO2を回収・貯留するプロジェクト
  2. 米国1ポイントファイブが推進する大気中のCO2を直接回収し貯留するプロジェクト
  3. フィンランドのカーボ・カルチャーが推進する高温でバイオマスを炭化し炭素を固定するプロジェクト

クレジットの買い手として、商船三井、ボストン・コンサルティング・グループなどが参画しているとされている。ネクストジェンは、クレジットの目標平均価格を市場価格比競争力のある1トン当たり200ドルに設定し、企業が長期的に技術系CDRクレジットを調達できるモデルを導入することで、より多くの買い手が市場にアクセスしやすくなる仕組みを構築するとしている。三菱商事はネクストジェンを通じて、技術系CDR市場を創出・牽引することで、世界の低・脱炭素化に貢献する方針だ。

三菱商事は脱炭素化に向けた取り組みを進めており、1月に日本製鉄、米国石油大手エクソンモービルと、CO2回収・貯留(CCS)事業で提携(2023年1月26日記事参照)、2月にはドイツRWE、韓国ロッテ・ケミカルと、燃料アンモニアのサプライチェーン構築で提携(2023年2月9日記事参照)をそれぞれ発表した。

(沖本憲司)

(米国、日本、スイス、フィンランド)

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