税制改革法案が下院議会で可決、上院審議へ

(ブラジル)

サンパウロ発

2023年07月19日

ブラジルの下院議会で77日、2019年憲法改正法案45号(PEC 45/2019)が可決された(注1)。今後は上院議会で審議される。今回可決された法案の狙いは税制を簡素化して企業活動の税務負担を軽減するもの。その主な内容は、州税の商品流通サービス税(ICMS)、市税のサービス税(ISS)、連邦税の工業製品税(IPI)、2種類の連邦社会保障負担金である社会統合基金(PIS)および社会保険融資負担金(Cofins)を廃止し、ICMSおよびISSの代替として財サービス税(IBS)を、また、IPIPISおよびCofinsの代替として財サービス負担金(CBS)を新たに設け、付加価値税として課す(2023年7月4日記事参照)。

PEC 45/2019によれば、CBSは連邦政府によって運用される。一方、IBSは州および市によって共同運用されるとされているが、下院では、投票当日までIBSの運用方法に関して議論が続いた。下院で可決された法案には、IBSの徴収や分配などを決めるため、州および市の代表者54人で構成された審議会を設立することや、その審議会の構成や議決方法などが盛り込まれている。審議会は州代表者27人、国内の全市から選出された市代表者27人から構成されており、カテゴリーごとに多数決で採決をとる。加えて、州代表者のカテゴリーでは可決に当たり賛成した州代表者らの州人口の合計が6割超であることも決定に必要とされる条件が含まれている。78日付現地紙「エスタード」によれば、人口規模が1つの基準になったのは、ブラジルで最も人口が多い南東部の知事らから要求があったためだとしている(注2)。

(注1)憲法改正手続きは国会の上下両院で2回ずつ行われ、議員投票の5分の3以上の票が得られた場合に承認される。

(注2)ブラジル地理統計院(IBGE)によると、ブラジル南東部は全人口の41.78%を占める。南東部のうちサンパウロ州は21.88%、ミナスジェライス州は11.11%、リオデジャネイロ州は7.91%を占める。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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