米主要港、6月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比5.2%減、8月は約1年ぶりに200万TEUに達する見込み

(米国、カナダ)

ニューヨーク発

2023年08月09日

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社ハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(8月7日)によると、6月の米国小売業者向けの主要輸入港(注)の輸入コンテナ量は前月比5.2%減、前年同月比18.7%減の183万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった。他方、8月には2022年10月以来約1年ぶりに200万TEUに達する見通しとなった。

NRFのサプライチェーン・税関担当バイスプレジデントのジョナサン・ゴールド氏は、2023年8月の増加見通しについて、サプライチェーンを脅かしていた労使交渉が決着に近づいたことや、小売業者が年末商戦の準備に取り掛かっていることを要因に挙げた。

輸入コンテナ量は9月以降、毎月190万TEU超以上で堅調に推移すると見込まれている。特に、11月は前年同月比8%増の192万 TEUに上昇する見通しで、前年同月比でプラスとなるのは2022年6月以来初めてとなる。12月は10.7%増の192万TEUに達する見込みだ。

米国やカナダでは、物流業界の労働者が賃金の引き上げを含む労働条件の改善を訴え、サプライチェーンが混乱に陥る懸念が高まっていたが、いずれも新たな労働協定が暫定合意に達し、正式な決着に向けて準備が進められている。具体的には、米国西海岸の太平洋海事協会(PMA)と国際港湾倉庫労働者組合(ILWU)による労使交渉が6月14日(2023年6月16日記事参照)、物流大手UPSと同社を代表する労働組合のチームスターズによる労使交渉が7月25日に(2023年7月28日記事参照)、それぞれ暫定合意に達した。また、米国の一部の小売業者にも影響を与えていた、カナダ西海岸のブリティッシュ・コロンビア州海事雇用者協会(BCMEA)とカナダ国際港湾倉庫労働者組合(ILWU)による労使交渉については、カナダILWUが8月4日、BCMEAとの間で合意した暫定的な和解案に関して7月30日に投票を行い、賛成多数で新たな協定を批准したと発表した(ブルームバーグ8月5日)。

(注)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。

(樫葉さくら)

(米国、カナダ)

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