英外相、ナイジェリアを訪問、農業部門や持続可能なインフラ開発への支援を発表

(英国、ナイジェリア)

ロンドン発

2023年08月15日

英国のジェームズ・クレバリー外務・英連邦・開発相は7月31日~8月3日に、今後の互恵的な関係強化に向けガーナ、ナイジェリア、ザンビアの3カ国を訪問した(注)。この訪問は2024年4月に開催する英国アフリカ投資サミットを見据えたもの。

クレバリー氏は8月1日に、ナイジェリアのラゴスを訪問。同国の農業部門の気候変動へのレジリエンス強化と食料安全保障を支援することを約束した。具体的には、高温、洪水への耐性を持つ作物の開発および土壌の肥沃度改善に取り組むとした。また、ナイジェリアの金融関連企業インフラクレジットと連携し、持続可能なインフラ開発プロジェクト支援に向けて、英国政府が出資する開発機関FSDアフリカを通じ1,000万ポンド(約18億4,000万円、1ポンド=約184円)のリスクシェアリング融資を提供することも発表した。

翌2日には、首都のアブジャを訪問。クレバリー氏は農村地域の経済を変革するため5,500万ポンドの気候資金を拠出することを発表した。これは国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)でクレバリー氏が発表した、同国に対する9,500万ポンドの支援の一部だ(2022年11月9日記事参照)。また、289万ポンドの補助金を提供することも発表し、持続可能な農業の普及を支援するとした。これらの支援を通じて、小規模農家や農村地域の生産性、能力、レジリエンスを高め、同時に炭素排出量を削減し、生態系を保護するとしている。

また、クレバリー氏はナイジェリアのボラ・ティヌブ大統領、国家安全保障顧問のヌフ・リバドゥ氏と会談し、両国の連携や貿易・投資の拡大、経済発展、アフリカ地域の課題、安全保障協力の強化など、共通の優先事項につき議論した。

ラゴスで英アフリカ関係について講演

クレバリー氏は8月1日、ラゴスで英国・アフリカ関係に関する講演をした。アフリカが将来、国際秩序において重要な役割を果たすことを踏まえ、国連安全保障理事会の常任理事国にアフリカ諸国を含める必要性や、アフリカ連合のG20への参加などを呼びかけた。

また、ナイジェリアやガーナの経済改革を強く歓迎した一方で、国家レベルでの改革には限界があるとして、英国が国際金融機関の改革を主導すると述べた。さらに、公的資金に加えて民間資金の重要性を強調したほか、国際ルールの改革に向けた各国の連携や、女性のインクルージョンの重要性について述べた。

(注)ガーナ、ザンビアの訪問については2023年8月15日記事参照。

(チャウジュリー・クリシュナ)

(英国、ナイジェリア)

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