スリランカ・タイFTA、2024年2月に署名へ

(スリランカ、タイ)

コロンボ発

2023年09月06日

スリランカ外務省は9月1日、スリランカとタイ間での自由貿易協定(FTA)締結に向けた第6回交渉を8月21~23日に実施し、2023年内に交渉を終え2024年2月3日に署名することで両国が合意したと発表した。両国によるFTA締結に関する交渉は2018年に始まっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大とスリランカ側の関連機関の再編などが原因で、4年間の中断を経て、2023年1月に再開していた(2023年1月23日記事参照)。

スリランカ政府の発表によると、第6回交渉ではスリランカ側首席交渉官のK.J.ウィーラシンハ氏が、タイによるスリランカへの投資の重要性を強調しつつ、タイの投資家に限定した特別投資区域の設立を提案した。加えて、駐タイ・スリランカ大使のC.A.チャミンダ.I.コロン氏が、グローバル経済への統合に向けて、南アジアおよび東アジアへと経済・貿易関係を拡大し、地域的な包括的経済連携(RCEP)に加入するというスリランカ政府のビジョンを紹介した(2023年8月15日記事参照)。さらに、スリランカにとってタイがASEANへの玄関口になるとともに、スリランカは南アジアや中東、アフリカの大市場への玄関口になる戦略的な位置にあると強調した。

スリランカのシンクタンクである政策研究所(Institute of Policy Studies of Sri Lanka:IPS)は、仮にスリランカ・タイFTAが発効し両国間の現在の関税をすべて撤廃した場合、スリランカのタイに対する貿易赤字が26%拡大すると試算している。スリランカからタイへのアパレル製品、紅茶や小麦粉といった食品の輸出拡大が期待される一方で、タイからはスリランカへのゴム・プラスチック製品、エアコンや冷蔵庫といった電気機器や貨物輸送用自動車などの輸出拡大が見込まれるという。

(大井裕貴)

(スリランカ、タイ)

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