ネタニヤフ首相が国連で演説、サウジアラビアとの和平「一歩手前」

(イスラエル、サウジアラビア、パレスチナ、米国、イラン)

テルアビブ発

2023年09月25日

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は9月22日、国連総会で一般討論演説を行った。

ネタニヤフ首相は、2020年のアブラハム合意が平和の新時代の幕開けを告げたことは間違いないが、サウジアラビアとの歴史的な和平というさらに劇的な突破口の一歩手前にいると信じていると述べた。このような和平は、アラブ・イスラエル紛争の終結に大きく貢献し、他のアラブ諸国がイスラエルとの関係を正常化することを促し、パレスチナ人との和平の可能性も高まるだろうとした。

写真 ネタニヤフ首相の国連一般討論演説に関する国連ジャーナルのX(旧ツイッター)でのコメント画面

ネタニヤフ首相の国連一般討論演説に関する国連ジャーナルのX(旧ツイッター)でのコメント画面

さらに、G20サミットに合わせて発表されたアラビア半島とイスラエルを横断する経済回廊計画(2023年9月11日記事参照)は、20億人以上の財、通信、エネルギーのコストを劇的に下げ、イスラエルはこれらの大陸間の平和と繁栄の架け橋となることができると述べた。

また、サウジアラビアとの和平合意には米国の役割が不可欠とし、ネタニヤフ首相は「トランプ前大統領のリーダーシップでアブラハム合意を達成したように、バイデン大統領のリーダーシップでサウジアラビアとの和平を達成できると信じている」と述べた。ネタニヤフ首相は9月20日、ジョー・バイデン米国大統領と会談し、イスラエルとサウジアラビアの間で歴史的な和平合意を結ぶ方法について話し合ったとしている(2023年9月22日記事参照)。

他方、アラブ諸国との新たな和平合意に対する拒否権をパレスチナ人に与えてはならないと主張した。ネタニヤフ首相は「パレスチナ人は、より広範な和平から大きな恩恵を受けることができる。彼らはプロセスの一部であるべきだが、プロセスに対して拒否権を持つべきではない」と述べた。なお、パレスチナ自治政府(PA)のマフムード・アッバース議長は9月21日の一般討論演説で、パレスチナ人がその完全かつ合法的で民族的な権利を享受することなしに、中東に平和がもたらされると考えるのは間違いだと指摘している(2023年9月25日記事参照)。

イランについては、同国の無人偵察機とミサイル計画は、イスラエルとアラブ近隣諸国を脅かしていると指摘し、「イランは信頼できる軍事的脅威に直面しなければならない。私がイスラエルの首相である限り、イランの核保有を阻止するために全力を尽くす」と述べた。

(中溝丘)

(イスラエル、サウジアラビア、パレスチナ、米国、イラン)

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