モンゴルのフレルスフ大統領、北京での「一帯一路」フォーラムに出席、プーチン大統領と会談

(モンゴル、ロシア)

北京発

2023年10月26日

中国・北京市で開催された第3回「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラム(2023年10月24日記事参照)に出席したモンゴルのオフナー・フレルスフ大統領は10月17日に同市で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談した。

両大統領は、モンゴルがロシアに供給する肉製品や羊毛、カシミア、皮革などの畜産品に対する関税引き下げ問題について、近くウランバートルで開催される政府間委員会の定例会議で議論し、解決することで合意した。

また、モンゴルの増大する電力需要を満たすことを目的とした協力の枠組みの中で、双方はエグ川に水力発電所を建設する問題(2022年9月29日記事参照)について詳細に検討することを決定した。

さらに、両国協力の象徴の「ウランバートル鉄道」(注1)の効率化に向けた改革や、モンゴル西部、東部の縦貫鉄道(注2)建設への協力についても意見交換した。

フレルスフ大統領は、両国間の包括的戦略パートナーシップを深化・充実させるためにはロシアの関税の引き下げと、インフラ・エネルギー分野の大型プロジェクトの共同実施が重要と強調した。

また、ロシアがモンゴルに燃料を継続的かつ安定的に供給するとプーチン大統領が述べたことに感謝の意を表明した。

会談ではこのほか、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相、アレクサンドル・ノワク副首相、マクシム・レシェトニコフ経済発展相、ビタリー・サベリエフ運輸相、ロシア鉄道のオレグ・ベロジョロフ社長、ガスプロムのアレクセイ・ミレル会長、石油採掘大手ロスネフチのイゴール・セチン最高経営責任者(CEO)らがロシアとモンゴルの協力に関する情報を提供し、関連する提案を発表した。

経済以外の分野については、両大統領は会談で、文化や教育、人道分野の協力を拡大し、両国民の友好関係を強化することの重要性を強調した。

両国首脳はまた、2024年に85周年を迎えるハルハ川戦争(注3)戦勝記念を共同で祝賀することが両国の友情を永続させ、若者や将来の世代に歴史の真実を認識させるために重要との認識で一致した。プーチン大統領はフレルスフ大統領からの同戦勝記念行事への参加招待に感謝し、これを受け入れたとしている。

(注1)北のロシア国境から南の中国国境までを結ぶ鉄道。モンゴルとロシアの合弁企業が経営している。

(注2)ウランバートル鉄道と西部縦貫鉄道、東部縦貫鉄道はそれぞれ、モンゴル・ロシア・中国経済回廊(2019年1月31日記事参照)を構成する一部だ。西部縦貫鉄道はアルツソーリ(モンゴル・ロシア国境)~ナリーンスハイト~シベーフレン(モンゴル・中国国境)を結ぶ1,255キロ、東部縦貫鉄道はチョイバルサン~フート~ビチグト(モンゴル・中国国境)を結ぶ426.6キロで、東部縦貫鉄道のエレーンツァブ(モンゴル・ロシア国境)~チョイバルサン間は敷設済み。2023年6月16日に国営モンゴル鉄道が西部縦貫鉄道と東部縦貫鉄道について、プロジェクトを実施する特別目的会社(SPV)とそれぞれ契約を締結した。シベーフレン国境から中国側セヘ国境までの7.1キロの鉄道建設は2023年5月27日に着工、11月に完成予定で、10月19日にモンゴル経済開発省、道路運輸開発省と中国国家発展改革委員会が「シベーフレン~セヘ間越境鉄道の作業部会設立に関する相互理解覚書」を締結した。

(注3)日本ではノモンハン事件として知られている。

(藤井一範)

(モンゴル、ロシア)

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