2023年のGDP成長率予測をマイナスに修正、政府はグリーン投資拡大などで回復目指す

(ドイツ)

ベルリン発

2023年10月20日

ドイツ経済・気候保護省は10月11日、秋季経済予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、2023年の実質GDP成長率をマイナス0.4%とした。エネルギー価格高騰と世界経済の減速の影響を受け、2023年4月に発表した春季経済予測の0.4%外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから大幅に下方修正した。2024年の成長率は1.3%とプラス成長を予測した(添付資料表参照)。

秋季経済予測では、消費者物価指数は2023年に6.1%上昇するが、2024年には2.6%上昇と大幅に鈍化するとの見通しが示された。なお、連邦統計局の10月11日発表によると、9月の消費者物価指数(速報値)は前年同月比4.5%の上昇外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますだった。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始以降、上昇幅が最も縮小した。

ロベルト・ハーベック経済・気候保護相は、経済の回復は予想より遅れているとしながらも、2024年の経済予測について、インフレ率の低下、賃金の上昇、堅調な需要により好転するとの見方を示した。特に、経済の成長には投資の促進が不可欠であることから、グリーン投資を促す気候・変革基金の拡充(注1)、減税パッケージの「成長機会法」(注2)などの施策を強調した。さらに投資の促進には、ドイツの構造的な問題である過剰な行政手続きと労働者不足という、大きな課題を解決する必要があると指摘。行政手続きは迅速化・簡素化を進めるとともに、労働者不足については、職業資格取得、ワークライフバランスの向上、高齢者の勤務延長などを通じた国内労働力の活用促進に対する支援策とともに、専門人材移民法の改正により専門能力を持つ移民受け入れを促進するなどの施策実施を示した。

(注1)特別基金の気候・変革基金〔Klima- und Transformationsfonds(KTF)〕は、2024年から2027年までに、ドイツの気候中立への転換推進に適した投資や対策を促進するため、約2,118億ユーロを当てる予算計画。同予算は8月9日に閣議決定され(2023年8月23日記事参照)、連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)で2024年国家予算案の枠内で審議される。

(注2)「成長機会法」は通称で、正式名称は「成長機会、投資、イノベーション、税制の簡素化と税制の公平性を強化するための法案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」。投資促進などにつながる減税措置が盛り込まれており、10月13日に連邦議会(下院)で審議が始まった。

(中村容子)

(ドイツ)

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