中国政府、上海市での「シルクロード電子商取引協力先行区」設置案を承認

(中国)

上海発

2023年10月31日

中国国務院(内閣)は10月23日、中国と諸外国が電子商取引(EC)分野で協力を深める「シルクロード電子商取引協力先行区」を上海市に設置する案を承認したと発表した。

シルクロード電子商取引とは、中国が提唱するイニシアチブで、「一帯一路」構想に基づき、中国のEC取引に関する技術や市場規模といった優位性を活用し、電子商取引分野で国際協力を推進するものだ。中国は同イニシアチブに基づき、各国との2国間協力覚書を結んでおり、政策対話や企業間対話といった交流を強化してきた。2023年9月にインドネシアと協力覚書を締結したことで、中国とEC取引の協力覚書を結んだ国は30カ国に達した。

今回、上海での設置が承認された「シルクロード電子商取引協力先行区」には、国際協力をさらに深める狙いがある。商務部電子商務和情報化司(局)の朱咏司長は同先行区について、次の3点を重点としていると説明した。

  1. 制度的メカニズムの革新。国際的なデータサービスの拡大、貿易のデジタル化や利便性の向上、パートナー国間の情報共有といった面で革新的な試行をする。
  2. 越境EC取引の物流センターを建設し、サプライチェーンの最適化を図る。また、国際競争力のあるEC企業を集め、国際経済貿易協力の新たな牽引役を作る。
  3. 国際協力の深化。国際シンクタンクやデジタル技術応用センターを設立し、パートナー国との共同発展を促進する。

先行区の設置は、10月18日に開催された第3回「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラムで習近平国家主席が発表した、「一帯一路」の質の高い共同建設に向けた8項目の行動指針の「開かれた世界経済の構築」で目標として掲げられている(2023年10月24日記事参照)。

(尹世花)

(中国)

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