燃料補助金撤廃反対のゼネストを回避

(ナイジェリア)

ラゴス発

2023年10月13日

ナイジェリア労働会議(NLC)と労働組合会議(TUC)は燃料補助金の撤廃(2023年6月2日記事参照)に反対したゼネラルストライキ(ゼネスト)を10月3日に実施すると予告していたが、当面回避された。9月5日と6日に警告ストライキが行われたが(2023年9月6日記事参照)、連邦政府との交渉の末、実施予告日前日に妥結に至った。

10月1日はナイジェリアの63回目の建国記念日に当たり、それを祝してボラ・ティヌブ大統領が演説した際には、ゼネスト予告も見据え、国民の団結を訴えながら、暫定的な最低賃金の引き上げや、中央銀行の改革、圧縮天然ガス(CNG)バスの運用などにも言及し、現在の施策にかかわる国民の負担と、自身が今後も真摯(しんし)に国に尽くしていくとして理解を求めていた。

NLCとTUCは連邦政府との交渉の末、10月2日に最低賃金委員会を合意の日から1カ月以内に発足させることや、新しい全国最低賃金に連邦政府が署名するまでの間、9月から全ての連邦政府労働者に対して3万5,000ナイラ(約7,000円、1ナイラ=約0.2円)の賃金を支給すること、ディーゼルに対する付加価値税(VAT)徴収を10月から6カ月間停止すること、国内の大量輸送用に大容量のCNGバスを提供するために連邦政府が1,000億ナイラを投じることなど15項目の内容で妥結し、労働組合側は以後30日間はストライキを見合わせることとなった。

当地の報道では、賃金引き上げが民間や州政府に言及していないことや、州によっては財政面で賃上げに対応できないところもあることが懸念されている。有害な排出ガスが少ないとされるCNGのバス運用に関しては、上院議会で予算と法律の規定が今後審議される予定になっている。

(奥貴史)

(ナイジェリア)

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