G7貿易相会合、大阪・堺で開催、産業界ともサプライチェーン強靭化を議論

(日本、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、米国、英国、EU、オーストラリア、チリ、インド、インドネシア、ケニア)

調査部国際経済課

2023年10月31日

日本が2023年の議長国を務めるG7の貿易相会合が10月28~29日、大阪市と堺市で開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。会合では、西村康稔経済産業相と上川陽子外相が共同で議長を務め、自由で公正な貿易秩序の維持・強化、経済安全保障の強化に向けた取り組みなどについて議論を交わした。

会合は、(1)貿易と持続可能性、(2)公平な競争条件の確保、(3)WTO・第13回閣僚会議(MC13)、(4)経済的威圧・サプライチェーン強靭(きょうじん)化をテーマにした4つのセッションで構成された。招待国・機関(注1)に加えて、G7貿易相会合として初めてG7の民間企業の代表を交えてサプライチェーン強靭化について議論するアウトリーチセッションも開催した。民間企業からは、サプライチェーンでの原材料、とりわけ重要鉱物の調達の多様性の重要性や、投資受け入れ各国における制度運用の透明性の重要性について発言があった。西村経済産業相は、信頼できるパートナー国との民間連携や情報共有を通じて、サプライチェーン強靭化を実現していきたいと述べた(経済産業省ニュースリリース2023年10月29日)。

会合後に議論の成果をまとめた声明(原文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)日本語仮訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))を発表。経済的威圧に関して「経済的依存関係を武器化する行為を非難し、自由で公正かつ互恵的な経済・貿易関係を構築し、より広い国際社会との連携を加速させることを約束する」という表現を盛り込んだ。また、声明では、首脳サミットの「経済的強靭性および経済安全保障に関するG7首脳声明(2023年5月23日記事参照)」や2023年4月15~16日に開催したG7気候・エネルギー・環境相会合で決定した「重要鉱物セキュリティのための5ポイントプラン」(2023年4月18日記事参照)に触れ、これらの取り組みの進展に期待を示した。

日本産水産物の輸入規制について、「G7メンバーは、新たに導入された日本の食品への輸入規制を含め、不必要に貿易を制限するいかなる措置も直ちに撤廃されることを強く求める。」という文言が声明に盛り込まれ、食品輸入規制が科学に基づいてWTOやその他の国際ルールに従ってのみ適用されることの重要性をあらためて示した(注2)。

(注1)G7以外の招待国は、オーストラリア、チリ、インド、インドネシア、ケニアの5カ国。国際機関はWTO、OECD、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)が参加。

(注2)EUは2023年8月、東日本大震災後に導入していた一部の日本産食品の輸入規制を全廃した(2023年7月18日記事参照)。米国、英国、カナダも既に規制を撤廃済み。

(板谷幸歩)

(日本、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、米国、英国、EU、オーストラリア、チリ、インド、インドネシア、ケニア)

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