中銀、政策金利を連続引き下げ、7.25%に

(ペルー)

リマ発

2023年10月10日

ペルー中央準備銀行(BCR)は10月5日、金融政策決定会合で政策金利を7.50%から7.25%に引き下げると発表した。9月の3年5カ月ぶりの利下げ(2023年9月19日記事参照)に続く引き下げとなる。BCRは今回の決定について、引き下げのサイクルは今後も継続するものではなく、あくまでもインフレ状況などの各種経済指標に鑑みた上で調整が行われると補足した。また、今回の決定については次の6点を考慮したと説明している。

  1. 9月のインフレ率は0.02%で、食料とエネルギーコストを除くと0.13%。直近12カ月間の累計インフレ率は8月の5.60%から9月には5.00%に低下した。同様に食料とエネルギーコストを除いた12カ月間の累計インフレ率も8月の3.80%から9月には3.60%に低下。いずれも2023年初頭から低下が続くも、依然として政府目標値(1~3%)を上回っている。
  2. 2021年後半の顕著なインフレ率の上昇は、2023年に入り、多くの国々では低下傾向にある。ペルーの場合は、一部食料の供給不足(注)による影響で一過性のインフレ率上昇が記録されているが、6月以降は徐々に正常化傾向にある。
  3. 今後12カ月の累計インフレ率の見通しは3.40%と比較的安定を維持しており、政府目標値(1~3%)に近づいている。
  4. インフレ率が今後も低下傾向を続け、前年比で政府目標値(1~3%)内に収まるのは、さまざまな分野の国際価格の高騰が緩和され、農産業分野の需給ショックが回復し、インフレ率予想が低下に転じる2024年初頭となる見通し。ただし、気象変動リスクによる影響は残されている。
  5. 9月の経済評価速報値や見通しなどの指標は前月比で悪化傾向にあり、依然として悲観的見通しが続いている。その背景には、社会争議やエルニーニョ現象などが予想以上に経済活動や内需に影響したことがある。
  6. 先進国の金融引き締めや中国の成長鈍化、国際紛争の影響などによるグローバルリスクが残るものの、世界経済の成長見込みは緩やかに上昇傾向にある。

BCR理事会では、インフレ率とその見通しや経済動向などを引き続き注視しながら、必要に応じて緩和的金融政策を維持しつつ、不安定な金融市場を下支えしていくとしている。次回のBCR金融政策決定会合は2023年11月9日を予定している。

(注)エルニーニョ現象による気象変動の影響で、レモンやタマネギなど一部の野菜の生産量が減少し、市場への供給不足が発生している。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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