現地調達率向上と裾野産業支援へ、ドンナイ省で製造業のビジネスマッチング会を開催

(ベトナム)

ホーチミン発

2023年11月21日

日系製造業が多数進出しているベトナム南部ドンナイ省(注1)のホテルで、ドンナイ省人民委員会、ホーチミン日本商工会議所(JCCH)および経済産業省近畿経済産業局は11月9日、製造業を中心とした日系企業とベトナム企業とのビジネスマッチング会を開催した。本イベントは、日系企業の現地調達率向上とベトナム裾野産業支援を目的に、2017年から開催されている(注2)。

開会式でドンナイ省人民委員会のグエン・ティ・ホアン副委員長は、同省における日本の対内直接投資の認可額は52億ドルで、国・地域別で日本が3位と紹介した。また、同省の裾野産業発展のためには、日系企業とベトナム企業のビジネスマッチングが重要だと指摘した上で、「日越企業間のビジネスを促進するため、本イベントを毎年実施していく」と述べ、継続的な取り組みの重要性を強調した。

本イベントには、金属、機械加工、金型メッキ分野に強みを持つベトナム企業42社がブース出展した。出展企業の選定は、ドンナイ省コーディネータグループ(注3)がJCCHと連携し、事前に日系企業の現地調達ニーズのヒアリング調査を行い、その結果に基づいて行われた。

近畿経済産業局の植田麻有子通商部国際事業課総括係長は、ベトナム企業との取引拡大を望む日系企業は多いが、依然として現地調達の難しさを課題に挙げる声が多い(注4)と指摘した上で、「本イベントは、日系企業のニーズに基づいて発掘したベトナム企業との商談機会を設けており、参加企業の満足度は非常に高い」と話した(ジェトロによるヒアリング11月9日)。

さらに同開会式で、ドンナイ省コーディネータグループがロンドゥック工業団地を管理するロンドゥック・インベストメントと、裾野産業育成に関する協力覚書を締結した。11月2日には、池田泉州銀行(大阪市)とアーンスト・アンド・ヤング(EY)ベトナムとの間でも同様に協力覚書を締結しており、同省における裾野産業育成に向けた支援体制の構築を進めている(注5)。

写真 ビジネスマッチング会の様子(ジェトロ撮影

ビジネスマッチング会の様子(ジェトロ撮影

(注1)JCCHによると、会員企業数1,050社のうち、約40%が製造企業となる。また、ドンナイ部会はJCCHの中で3番目の規模で、所属する製造企業数は120社となる(11月9日時点)。

(注2)2017年と2018年はJCCHとドンナイ省人民委員会の2者で開催。2019年以降は開催者に近畿経済産業局が加わった。

(注3)ドンナイ省コーディネータグループは、2019年5月に、近畿経済産業局が実施する人材育成事業で研修を積んだベトナム人コーディネータをメンバーとして、ドンナイ省人民委員会の承認を受けて設立された。同グループの詳細については近畿経済産業局のホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載している。

(注4)ジェトロの「2022年度海外進出日系企業実態調査」によると、ベトナムにおける日系企業の現地調達率は37.3%(地場企業からの調達は15.0%)で、新型コロナ前(2019年)の36.3%からあまり変化がなく、近年はほぼ横ばいで推移している。

(注5)ジェトロでは、ハノイ市とホーチミン市で交互に部品調達展示商談会を毎年開催するとともに(2023年8月25日記事参照)、日本企業が求める品質レベルの部品を供給できる可能性が高いベトナム企業の情報を定期的に更新している。

(児玉良平)

(ベトナム)

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