香港行政長官の施政報告、地域の知的財産権取引センターへの発展へ取り組み発表

(香港、中国)

香港発

2023年11月01日

香港特別行政区政府の李家超(ジョン・リー)行政長官は10月25日、施政報告(施政方針演説)を行った。その中で知財に関して次のように言及している。

報告では、「地域の知的財産権取引センター」(Regional Intellectual Property Trading Centre)と題する項目を設けた。法律、税制、専門サービスでの香港の優位性を生かしつつ、香港を地域の知的財産権取引センターに発展させるために、次の(1)~(4)の具体的な取り組みを挙げている。

(1)知財法制度の強化

デジタル環境で著作権保護を強化するための著作権条例を2023年5月に施行した(2023年5月9日記事参照)。2024年は人工知能(AI)技術開発の保護に関する条例についてさらなる強化を協議する予定。

(2)「パテントボックス」税制優遇措置の実施

研究開発活動や特許発明の転換や商業化を促進するため、特許から派生した適格性のある利益税率を現行の16.5%から5%に引き下げる法案を2024年前半に立法院に提出予定。

(3)特許代理人サービスに関する規制

特許代理人(日本でいう弁理士)の専門資格要件や登録、規制モデルや枠組みを含む現地特許代理人サービスに関する規制の整備を計画予定。

(4)現地オリジナル作品の取引促進

各種イベントやアジア知的財産権取引プラットフォーム(Asia IP Exchange)のポータルサイトで、ビジネスマッチング活動や専門サポートサービスに関する情報提供を含む取引要素のさらなる充実化を通じた取引促進。

報告には、意匠登録に関する費用を引き下げる補助法改正案を2024年前半に立法院に提出することや、同年に香港で「標章の国際登録に関するマドリッド協定の議定書」(2020年6月24日記事参照)を実施するための準備作業を進めることも言及した。

施政報告の詳細は香港政府のウェブサイトで、そのうち知財部分については香港知識産権署(HKIPD)のウェブサイトでも確認できる。

(島田英昭)

(香港、中国)

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