第3四半期GDPは3期連続のマイナス成長、経済不況に

(ペルー)

リマ発

2023年11月28日

ペルー国家統計情報庁(INEI)は11月23日、2023年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率が前年同期比マイナス1.0%と発表した。第1四半期(1~3月)と第2四半期(4~6月)に続いて3期連続のマイナスとなった(2023年6月1日記事8月28日記事参照)。INEIでは、今回のマイナス成長の背景について、強いエルニーニョ現象による影響を指摘している。特に農産業(前年同期比7.7%減)と水産業(同8.3%減)、製造業(同8.9%減)のいずれも、前期に続いて低迷しており、新規投資の低迷や民間消費の落ち込みなどから、内需は3期連続でマイナス成長(前年同期比2.0%減)を記録している(添付資料表1参照)。また、国が経済不況にあることを認めてこなかった経済財政省(MEF)のアレックス・コントレーラス大臣も10月には不況状態を認めた。

強いエルニーニョ現象の影響は多分野にわたっている。農産業では主要輸出品目であるブルーベリーの生産量(前年同期比49.2%減)やマンゴーの生産量(同35.5%減)などが減少した。水産業も、魚粉や魚油の原料のカタクチイワシの第1漁期が資源量の減少から中止になり(2023年6月16日記事参照)、非食用(飼肥料用)消費量が61.4%減少している。また、製造業では、食品産業(前年同期比8.3%減)や繊維皮革産業(同26.9%減)などが影響を被った(添付資料表2参照)。

投資分野では、依然として低迷する民間投資(前年同期比7.4%減)に加えて、今期は公共投資も6.5%減少し、総固定資本形成全体では7.2%減少している。特に住宅・非住宅などの建設分野の減少(同9.2%減)が著しく、その他設備投資も輸入品を中心にオフィス関連機器(同15.9%減)、農業関連機器(同11.4%減)、産業機械(同9.6%減)などが減少した。

財貨・サービスの輸出は、鉱物資源を中心に前年同期比で1.3%の伸びを記録した。仕向け先別では中国(全体の37.1%)、米国(13.8%)、インド(4.8%)、カナダ(4.2%)、韓国(3.6%)の5カ国が上位を占めた。一方で、輸入は全体で2.3%減少しており、主に自動車(前年同期比11.9%減)やトラック(同11.5%減)などが減少している。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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