縫製産業工員の最低賃金、月額1万2,500タカに改定

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年12月22日

バングラデシュ労働雇用省傘下の最低賃金委員会の11月26日の最終会合で、労働者と雇用者の代表者は縫製産業(一般の縫製工員)の最低賃金を月額1万2,500タカ(約1万6,250円、1タカ=約1.3円)とすることで最終合意した。内訳は基本給が6,700タカ、住宅手当が3,350タカ、医療手当が750タカ、通勤手当が450タカ、食事手当が1,250タカとなっている。12月から適用し、実際の支払いは2024年1月分の賃金から反映される予定だ。今回の改定により、縫製工員は熟練度に応じて4つのグレードに分けられ、この最低賃金は、その中で最も低いグレード4に対して適用される(添付資料表参照)。

最低賃金委員会の議論では、2万3,000タカを要求する労働者代表に対し、複数の雇用者代表が1万400タカを提示していたことが報じられている(「ビジネス・スタンダード」紙11月26日)。通常、バングラデシュでは5年に1度行われる総選挙前に、縫製産業の最低賃金が改定されており、他の産業もこの改定に準じて、産業別に賃金が改定される。前回(2018年末)の総選挙に際しては、同委員会の最終会合で、最低賃金を5,300タカから7,000タカに改定することで決着したものの、シェイク・ハシナ首相の指示により、8,000タカまで上積みされた(2018年10月1日記事参照)。

今回の改定により、最低賃金は現地通貨ベースで56.3%の引き上げとなる。同国では通貨タカ安の進行が抑制されているものの(2023年10月23日記事参照)、前回選挙時の対ドルレート(1ドル=83.90タカ)で最低賃金(8,000タカ)は約95ドル相当だったが、現在の同レート(1ドル=110.25タカ)では今回の同賃金(1万2,500タカ)は約113ドルとなり、ドルベースでは18.9%増となる。

バングラデシュの基幹産業で、輸出額全体の約85%を占める縫製産業の最低賃金は、進出日系企業の生産コストに直結するが(2023年12月11日記事参照)、1月7日に予定されている総選挙の結果に影響する要素の1つとも言われ、関連の情勢が引き続き注視される。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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