第3四半期の実質GDP成長率、前期比マイナス0.5%

(チェコ)

プラハ発

2023年12月07日

チェコ統計局の12月1日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2023年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(季節調整済み)は前期比でマイナス0.5%と、2022年第4四半期(10~12月)以来のマイナス成長を記録した(添付資料表1参照)。前年同期比ではマイナス0.7%で、第2四半期(4~6月)のマイナス0.4%よりさらに減退した(2023年9月4日記事参照)。

需要項目別にみると、家計最終消費支出が前期比0.3%減で、前期の0.6%増から再びマイナスに転じた。輸出は1.2%減で、2021年第4四半期以来のマイナスとなった。一方、2022年第2四半期からプラスを維持している政府最終消費支出は1.2%増で、前期の0.7%増より増加率を伸ばした。

産業別では、金融・保険、不動産を除く全部門で前期比から減少、あるいは横ばいだった(添付資料表2参照)。うち製造業は0.7%減で、第2四半期の0.2%減からマイナス幅を広げている。

チェコ産業連盟は、チェコ統計局が速報(速報値では実質GDP成長率が前期比0.3%減)を発表した10月31日のコメント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、2023年通年のGDP成長率がマイナスに落ち込む可能性が高くなったと懸念を表明した。同連盟のボフスラフ・チージェック経済政策部長は「チェコはEU内で、新型コロナウイルス禍前の水準まで(経済が)回復していない数少ない国の1つ」と指摘した上で、その要因について「インフレ圧力、特にエネルギー価格の高騰が内需の低下に影響している。産業部門の大半で受注減の状況が続いている。また、貿易立国のチェコにとって、最大の貿易相手国のドイツをはじめとするユーロ圏の経済状況がそれほど芳しくないことも、経済成長の妨げとなっている」と説明した。こうした状況の打開策について、同部長は「ビジネス環境の改善や許可手続きの大幅な簡素化といった措置から、研究開発に対する税額控除の拡大など企業活動の効果的な支援に至るまで、これまで以上に成長促進策の導入が必要」とコメントしている。

チェコ財務省は11月10日に公表した秋季マクロ経済見通しPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、2023年のGDP成長率を夏季見通しのマイナス0.2%からマイナス0.5%に下方修正した。2024年についても、2.3%から1.9%に下方修正している。チェコ国立銀行(中央銀行)は11月3日に発表した秋季金融政策報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の中で、2023年と2024年のGDP成長率を夏季発表時よりそれぞれ0.5ポイント減と1.1ポイント減に下方修正し、マイナス0.4%と1.2%としている。

(中川圭子)

(チェコ)

ビジネス短信 bcc44fd1b5a25211