第3四半期のGDP成長率、前期比マイナス0.3%

(ニュージーランド)

シドニー発

2023年12月21日

ニュージーランド統計局は12月14日、2023年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率が前期比マイナス0.3%(季節調整済)と発表した。マイナス成長は第1四半期(1~3月)以来2四半期ぶり(添付資料表参照)。前年同期比ではプラス1.3%だった。特に製造業など第二次産業の全てがマイナスとなった。支出面では、輸送設備や建設などへの投資が減少し、国内総固定資本形成が前期比3.4%減、食品や農林水産品、資源などの輸出減少で財・サービス輸出が同2.6%減、耐久消費財の消費減少により民間最終消費支出は同0.6%減だった。

産業別でみると、製造業は前期比3.4%減で、主に石油、化学、プラスチック、ゴムなど工業品や、食品、飲料品、たばこの製造の減少によるものだった。輸送・倉庫業は同4.5%減で、物品輸出の落ち込みによる貨物輸送の減少によるものだった。建設業は同1.7%減で、非住居用建物の建設や建設サービスが減少した。卸売業も同1.9%減だった。一方、医療・保健・社会支援サービスは、民間や政府関連のヘルスケアサービスなどが増加し、2.3%増だった。レンタル・不動産サービスも同1.0%増で、持ち家不動産事業やレンタルサービスの増加によるものだった。

11月27日に新しく就任したニコラ・ウィリス財務相は12月14日に発表したメディアリリースで、ニュージーランドの経済状況が依然厳しい状況にあると述べた。また、長引くインフレに対応するための政策金利上昇が生活費の高騰で苦しむ家計を圧迫していると現在の状況を説明した。

ラクソン新政権、公約の「政権発足から100日間に行う行動計画」実行に着手

11月に発足したクリストファー・ラクソン首相の新政権は、中央銀行がインフレ対策により集中するため、2018年から中銀の所掌事項に追加した雇用の安定化を外し、物価安定の1つに絞る法案を提出し、12月13日に議会で可決された。また、労働党の前政権による環境対策で、ユートと呼ばれるピックアップトラックなど排出量が多い車に課する税金(注)と低公害車〔電気自動車(EV)やハイブリッド車など〕購入支援策を廃止する法案を議会は可決した。これらは11月29日に発表した「政権発足から100日間の行動計画」に掲げた項目だった。(2023年12月11日記事参照)ウィリス財務相はこれら新しい施策に触れつつ、新政権が国民のために引き続き素早く行動し、経済の立て直しを図っていくことを強調した。

(注)労働党前政権が2021年から導入した排出量が多い車、ユート(ピックアップトラック)などに対して税金を課し、その税収を低公害車購入支援策に充てる政策。

(青島春枝)

(ニュージーランド)

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