中国外交部、ナウルによる国交再開を評価

(中国、台湾、ナウル)

北京発

2024年01月19日

中国外交部は1月15日、ナウルが台湾と断交し、中国との国交を再開したと発表した。同部によると、2002年7月21日に中国はナウルとの国交を開始、2005年5月14日にナウルとの国交停止を発表していた。

外交部の定例記者会見で毛寧報道官は、ナウルが主権を有する独立国家として、「一つの中国」の原則を認め、台湾当局とのいわゆる外交関係を断絶し、中国との国交を再開する意思を表明したことを中国は評価し、歓迎すると述べた。また、世界に中国は一つしかなく、台湾は中国の領土の不可分の一部であり、中国政府は中国全土を代表する唯一の合法的政府との認識をあらためて示した。さらに、「一つの中国」とは、国連第2758号決議により確認され、国際社会の一般的なコンセンサスとなっており、「一つの中国」の原則に基づき、中国は世界182カ国と国交を樹立していると解説した。ナウル政府が中国との国交再開を決定したことは、「一つの中国」が人民の意思であると改めて説明した上で、ナウルとの新たな関係を築いていく意向だとした。

1月16日付の「環球時報」は、台湾の民進党当局による台湾独立の動きが台湾のいわゆる「国際空間」をますます狭めているとした。さらに、一部の人々が台湾独立を主張し続け、両岸の対立を誘発するならば、ナウルによる台湾との断交は始まりの1つにすぎないだろうと指摘とした。また、復旦大学の国際問題専門家の信強氏への取材では、ナウルによる台湾との断交は、世界各国が台湾当局の金銭的支援による外交関係(金援外交)やその他の手段に惑わされなくなっただけでなく、「一つの中国」の原則が世界のコンセンサスになっていることをあらためて示したとしている。ナウルが中国との国交再開に意欲的となった背景は、政治的な動きだけではなく、経済発展のための現実的な選択でもあるとも指摘した。

貿易統計データベースのグローバル・トレード・アトラス(GTA)によると、中国からナウルへの輸出総額は、2022年が1,200万ドル、2023年1~11月が600万ドル(注)となっている。ナウルからの中国の輸入総額は2022年と2023年1~11月ともに100万ドル以下だ。

なお、台湾側の見方については、2024年1月17日記事参照

(注)2023年1~11月の中国からナウルへの輸出品目は、HS2桁ベースで「鉱物性燃料および鉱物油など(HS27類)」「プラスチックおよびその製品(HS39類)」「陶磁製品(HS69類)」「鉄鋼製品(HS73類)」「電気機器およびその部分品(HS85類)」がある。

(亀山達也)

(中国、台湾、ナウル)

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