2023年のシンガポール港の取扱量、貿易活動停滞でも過去最高更新

(シンガポール)

シンガポール発

2024年01月17日

シンガポールのチー・ホンタット運輸相代行は1月12日、同国港の2023年のコンテナ取扱量が3,901万3,000トンTEU(20フィートコンテナ換算)と前年比4.6%増加し、過去最高だったと発表した(1月12日海事港湾庁ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。また、2023年の入国船舶総トン数も9.4%増の30億9,368万総トンと、過去最高だった(添付資料図参照)。

2023年に世界の貿易が減速する中でも、シンガポール港に入港するコンテナ船、ばら積み船、化学タンカーなど全ての分野で伸びを示した。国連貿易開発会議(UNCTAD)の四半期報告書(2023年12月11日発表)によると、2023年の世界貿易額は前年比5%縮小する見通しだ。シンガポール企業庁(Enterprise SG)も同年12月11日、同国の貿易総額が前年比10%程度減少するとの予測を発表しており、同国の貿易活動も急速に縮小している(2023年11月30日記事参照)。

政府は、国内5カ所ある港で扱っている海上貨物を2040年代までに、同国南西部に建設中の新港、トゥアス港に集約する計画だ(2022年9月7日記事参照)。海事港湾庁(MPA)によると、トゥアス港では現在(2024年1月12日時点)、第1期工事の8つのバースが稼働。第2期工事の埋め立て工事の70%まで完了した。

船舶燃料販売も過去最大、代替燃料補給も拡大

また、同国港の船舶燃料販売も2023年に5,182万4,030トンと、過去最高を更新した。同国は近年、海運業界の脱炭素化も推進しており、環境に優しい代替船舶燃料の販売も徐々に拡大している。MPAの統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、2023年の船舶燃料販売のうち、バイオ燃料(バイオ配合低硫黄燃料油、LSFO)が51万8,000トンと、2022年(14万200トン)を上回った。また、液化天然ガス(LNG)も2023年に11万1,000トンと、前年(1万6,300トン)を上回った。

MPAは、同国海運業界の次世代エネルギー転換を資金面から支えるため2023年10月、金融機関や保険会社などを対象に、小型船舶(ハーバークラフト)の電動化の普及推進を目的とした提案を募るべく、関心表明書(EOI、注)の募集を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。EOIは同年12月19日に締め切られ、現在審査が行われている。

(注)小型船舶電動化を支える金融・保険ソリューションに関するEOIの詳細は、MPAのホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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