中銀が5カ月連続で政策金利を引き下げ、6.50%に

(ペルー)

リマ発

2024年01月22日

ペルー中央準備銀行(BCR)は1月11日、金融政策決定会合で政策金利を現行の6.75%から6.50%に引き下げると発表した。BCRは、前回(2023年12月14日)にも当時の7.00%から6.75%への引き下げを発表しており、今回で2023年9月から5カ月連続での利下げとなる。BCRは、今後の政策金利を判断するにあたっては利下げサイクルを継続することなく、インフレ率や関連経済指標に鑑みた上で調整を行うとした。さらに今回の決定については、次の点を考慮したと説明している。

(1)12月のインフレ率が0.41%で、食料とエネルギーコストを除くと0.36%を記録。直近12カ月間の累計インフレ率は11月の3.60%から12月には3.20%に低下した。また、食料とエネルギーコストを除いた12カ月間の累計インフレ率も11月の3.10%から12月には2.90%に低下した。いずれも2023年初頭から低下を続けており、特に後者については今回初めて政府目標値内(1~3%)に収まった。

(2)2021年後半から続いてきた顕著なインフレ率の上昇は、多くの国々では2024年に入ってから落ち着きつつある。ペルーの場合は一部食品の供給不足(注)による影響で一過性のインフレ上昇(2023年11月13日記事参照)がみられたが、2023年の6月から12月にかけては顕著に低下傾向にある。

(3)今後12カ月の累計インフレ率の見通しは、11月から12月にかけて3.15%から2.83%に低下しており、政府目標値(1~3%)内に収まっている。

(4)インフレ率は今後も低下を続け、前年比で政府目標値(1~3%)内に収まるのは今後数カ月以内となる見通し。一方で、エルニーニョ現象を主とした気象変動リスクによる影響は残されている。

(5)12月の経済評価速報値や見通しなどの指標は、前月比で改善と悪化が混在しており、景況感についてはわずかに改善してきているものの、依然として多くの指標で悲観的見通しが続いている。その背景には、2023年初頭の武力衝突を伴った社会争議やエルニーニョ現象などが、経済活動や内需に影響を及ぼしたことがある。

(6)国際経済の成長見込みは緩やかに上昇傾向にあるが、引き続き先進国の金融引き締めや中国の成長鈍化、国際紛争の影響などによるグローバルリスクが残されている。

BCR理事会では、インフレ率とその見通しや経済動向などを引き続き注視しながら、必要に応じて緩和的金融政策を維持しつつ、不安定な金融市場を下支えしていくとしている。次回のBCR金融政策決定会合は2024年2月8日を予定している。

(注)エルニーニョ現象による気象変動が影響している。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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