中銀、3カ月連続で政策金利を引き下げ、7.00%に

(ペルー)

リマ発

2023年11月13日

ペルー中央準備銀行(BCR)は11月9日、金融政策決定会合で政策金利を7.25%から7.00%に引き下げると発表した。9月から3カ月連続の利下げとなる(2023年9月19日記事2023年10月10日記事参照)となる。BCRは今回の決定について、利下げサイクルは無条件に継続するものではなく、今後のインフレ率や関連経済指標に鑑みた上で調整を行うとした。さらに、今回の決定については次の点を考慮したと説明している。

  1. 10月のインフレ率がマイナス0.32%で、食料とエネルギーコストを除くと0.22%。直近12カ月間の累計インフレ率は9月の5.00%から10月には4.30%に低下した。同様に、食料とエネルギーコストを除いた12カ月間の累計インフレ率も、9月の3.60%から10月には3.30%に低下。いずれも2023年初頭から低下が続くものの、依然として政府目標値(1~3%)を上回っている。
  2. 2021年後半からの顕著なインフレ率の上昇は、多くの国々では2023年に入ってから低下傾向にある。ペルーの場合は、一部の食品の供給不足(注)による影響で一過性のインフレ上昇が記録されているが、6月以降から徐々に正常化傾向にある。
  3. 今後12カ月の累計インフレ率の見通しは、9月から10月にかけて3.40%から3.30%に減少しており、政府目標値(1~3%)に近づいている。
  4. インフレ率が今後も低下傾向を続け、前年比で政府目標値(1~3%)内に収まるのは2024年初頭となる見通し。その背景には、今後、高騰したさまざまな分野の国際価格の緩和や、農産業分野の需給ショックの正常化、インフレ予想の減少転換などがある。一方で、エルニーニョ現象を主とした気象変動リスクによる影響は残されている。
  5. 10月の経済評価速報値や見通しなどの指標は前月比で悪化傾向にあり、依然として悲観的見通しが続いている。その背景には、2023年初めの武力衝突を伴った社会争議やエルニーニョ現象などが経済活動や内需に及ぼした影響がある。
  6. 国際経済の成長見込みは緩やかに上昇傾向にあるが、引き続き先進国の金融引き締めや中国の成長鈍化、国際紛争の影響などによるグローバルリスクが残されている。

BCR理事会では、インフレ率とその見通しや経済動向などを引き続き注視しながら、必要に応じて緩和的金融政策を維持しつつ、不安定な金融市場を下支えしていくとしている。次回のBCR金融政策決定会合は2023年12月14日を予定している。

(注)10月はエルニーニョ現象による気象変動の影響で、サバやアジを中心とした魚介類の不漁による価格高騰が発生している。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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