2024年の最低賃金は49%増

(トルコ)

イスタンブール発

2024年01月10日

トルコ労働社会保障省の12月22日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、1月1日以降の1日当たり最低賃金は666.75リラ(約3,200円、1月5日付換算レートで1リラ=約4.8円)に引き上げられた。2023年7月1日~12月31日の1日当たり447.2リラから49%増、同年1月(333.6リラ)からは100%増だ。最低賃金の月額グロスは2万2.5リラ、同ネットで1万7,002.12リラとなった。また、雇用者側の負担は合計で2万3,502.94リラとなる(添付資料表参照)。

ベダト・ウシュクハン労働社会保障相は、2023年7月に行った年度途中での2度目の最低賃金引き上げ(2023年6月23日記事参照)は臨時措置だったと述べ、2024年の引き上げは今回の1度だけとした。同大臣は、経済指数が順調に推移しており、インフレ抑制が期待できるとした。

2023年のトルコの物価上昇率(12月の前年同月比)は、消費者物価指数(CPI)上昇率が64.77%、国内生産者物価指数(D-PPI)上昇率が44.22%と、高い水準が続いており、国民の購買力低下が続いている(2024年1月9日記事参照)。

経済界は政府決定をおおむね好意的に受け入れているが、雇用側のコスト圧力を軽減し、競争力を失わないために、政府の支援が期待されているとした(12月27日付ブルームバーグHT)。

他方、トルコ労働者組合連合(TÜRK-İŞ)は、労働者側の要求は最低賃金1万8,000リラで、賃上げ交渉は(2022~2023年同様)年2回だったと不満を示した(12月27日付BBC News Türkçe)。また、革命的労働組合連合(DİSK)のアルズ・チェルケゾール議長は政府決定の前に、トルコの労働者の約 50%が最低賃金か同程度の賃金で働いており、その割合は民間部門では約70%に達するとし、トルコの1世帯(4人家族)当たりの貧困ラインの月額所得は4万5,000リラを超え、飢餓ラインの月額所得が1万4,432リラ(注)とされる中、政府の提示する最低賃金では、国民は最低限の生活すら満たすことはできないと反発していた。

(注)TÜRK-İŞによる調査。12月(月末発表)の最新データでは、貧困ラインの所得(衣食住など最低限を保証する水準)は月額4万7,009リラ、飢餓ライン(食費のみ)は月額1万4,432リラ。

(中島敏博、ディラ・イェネル)

(トルコ)

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