ブリンケン米国務長官が中東諸国歴訪、ネタニヤフ首相はハマスの休戦案拒否

(米国、イスラエル、パレスチナ、サウジアラビア、エジプト、カタール)

テルアビブ発

2024年02月09日

米国のアントニー・ブリンケン国務長官は2月4~8日に中東諸国を歴訪した。ブリンケン長官の中東歴訪は、2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの攻撃(2023年10月10日記事参照)以来5度目となり、パレスチナ自治区ガザ地区で拘束されている残りの人質全員の解放や、ガザ地区での人道支援の拡大、統合された平和な地域の確立などを目的に、サウジアラビア、エジプト、カタール、イスラエル、ヨルダン川西岸を訪問し、協議を行った。

ブリンケン長官は2月7日にイスラエルのエルサレムで、ベンヤミン・ネタニヤフ首相、アイザック・ヘルツォーク大統領らと会談した。

米国務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ネタニヤフ首相との会談で、ブリンケン長官は10月7日のようなテロ攻撃が二度と繰り返されないようにするイスラエルの権利に対する米国の支持について再確認するとともに、ガザ地区の民間人を保護するためにあらゆる可能な措置を講じる重要性を強調した。また、同長官は、イスラエル人とパレスチナ人の双方にとって永続的な平和と安全や中東地域のより大きな統合を確保する最善の方法として、パレスチナ国家の樹立に対する米国の支持をあらためて表明した。

ヘルツォーク大統領との会談の冒頭外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、同大統領は「イスラエルは国際人道法を順守しており、われわれはハマスと戦争をしているのであって、ガザ市民とは戦争をしていない」と述べた。また「イスラエルとサウジアラビアの国交正常化に向けて希望の光があることを願っている」と述べた。ブリンケン長官は「イスラエルがこの地域に真に統合し、最も重要な安全保障のニーズに対処し、パレスチナ人の願望にも応える非常に前向きで力強い未来が実現する可能性があると信じている」と述べた。

ネタニヤフ首相は7日夜に記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行い、「ハマスの壊滅、人質の解放、ガザがイスラエルにとって脅威とならないようにするという目標を達成することで、イスラエルの安全が確保され、アラブの近隣諸国との歴史的な和平合意への道がさらに開かれる」と主張した。「平和と安全保障には、ハマスに対する完全な勝利が必要」と述べ、ハマス側が7日に提案した135日間にわたる3段階の休戦案(2月7日付「ロイター」)を拒否する姿勢を示した。

ブリンケン長官も7日夜に記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行い、ハマス側の人質解放提案に関し、「明らかにうまくいかない部分があるが、合意に達する余地があると考えている」と述べ、合意に達するまで引き続き取り組んでいくとした。イスラエルの軍事作戦については「罪のない市民に与え続けている犠牲はあまりにも大きい」と指摘し、「より多くの援助がガザのより多くの人々に届くようにするため、イラスエルが取るべき措置を幾つか強調した」と述べた。最後に、イスラエルの政府高官を含め、緊張をあおり、国際的な支援を弱め、イスラエルの安全保障に大きな負担をかけるような言動について、深い懸念を表明した。

イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。

(中溝丘)

(米国、イスラエル、パレスチナ、サウジアラビア、エジプト、カタール)

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