2023年の貿易赤字、前年比3.2%減に縮小

(トルコ)

イスタンブール発

2024年02月06日

トルコ統計機構(TUIK、1月31日付外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2023年の輸出は前年比0.6%増の2,557億7,740万ドル、輸入は0.5%減の3,617億7,404万ドルで、貿易赤字は3.2%減の1,059億9,665万ドルとなった。

2023年の輸出を品目別にみると、最大の輸出品目の自動車・同部品が前年比15.1%増、貴金属類が33.7%増と、両品目の寄与が大きかった。一般機械(11.3%増)、電気機器(12.0%増)も好調だった。一方、鉄鋼が39.6%減で最大のマイナス寄与となった。ニット衣類(6.6%減)、非ニット衣類(4.9%減)とも、欧州向けの冷え込みを要因に低迷した(添付資料表1参照)。防衛産業の好調が続く中、航空機・同部品は38.7%増だった。トルコの防衛・航空機産業は、2023年に全体で前年比27.1%増の55億ドルをはじき出している。

国・地域別の輸出では、輸出額全体の40.8%を占めるEU向けが前年比1.2%増と伸び悩み、国別で首位のドイツも0.2%減だった。2位以下を輸出額順にみると、米国(12.2%減)、イラク(7.0%減)、英国(4.1%減)など、主要国はほぼ軒並みマイナスだった。他方、欧米の制裁対象国となっているロシア向けは16.9%増だった。ロシア向け輸出は上半期に急増する傾向にあったが、米国からの制裁に関する警鐘を受け、9月以降は減少傾向にある。また、包括的経済連携協定(2023年6月21日記事参照)を結ぶなど経済関係強化が進んでいるアラブ首長国連邦(UAE)への輸出は貴金属を主力に63.6%増で、最大寄与となった(添付資料表2参照)。同様にサウジアラビア向けも2.5倍に伸ばしている。

2023年の輸入を品目別にみると、最大の輸入品目の鉱物性燃料が前年比28.4%減だった。そのほか、鉄鋼(14.8%減)、プラスチック製品(14.6%減)、有機化学品(17.4%減)が2桁のマイナスになった。一方、自動車・同部品は82.5%増と急増しており、最大寄与となった。また、金を主体とする貴金属類も第4四半期(10~12月)に鈍化したものの、年間では44.6%増と好調だった(注)。一般機械(18.4%増)、電気機器(29.2%増)なども伸びた(添付資料表3参照)。

国・地域別の輸入では、金の需要を受け、UAEから貴金属を中心に前年比で2.6倍となり、スイスから29.8%増と好調だった。EUからは、ドイツ(19.4%増)、フランス(22.4%増)、スペイン(35.4%増)などが伸び、EU全体では13.6%増だった。国別で最大の輸入元は前年と同様に、天然ガスを主力とするロシアだが、輸入額は22.5%減、次いで中国が8.8%増だった(添付資料表4参照)。

(注)8月に需要抑制のため20%の追加財政義務〔EUや自由貿易協定(FTA)締結国以外で生産された対象品目の輸入に対する課徴金〕が課されるようになった(2023年8月15日記事参照)。

(中島敏博)

(トルコ)

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