中銀、政策金利を6.25%に引き下げ、利下げ継続は明示せず

(ペルー)

リマ発

2024年02月15日

ペルー中央準備銀行(BCR)は2月8日の金融政策決定会合で、政策金利を現行の6.50%から6.25%に引き下げると発表した。BCRは2023年9月から6カ月連続で同金利の利下げを続けているが、依然として将来へ向けての利下げサイクルの継続については否定している。その上で、今後もインフレ率や関連経済指標に鑑みた上で調整を行うことを示唆した。さらに、今回の決定については、次の点を考慮したと説明している。

  1. 1月のインフレ率が0.02%で、食料とエネルギーコストを除くと0.01%と、いずれも前月比で減少した。直近12カ月間の累計インフレ率も2023年12月の3.20%から1月には3.00%に低下している。この傾向は食料とエネルギーコストを除いた場合も同様で(12月:2.90%、1月:2.86%)、いずれも政府目標値(1~3%)内に収まっている。
  2. 2021年後半から続いてきた顕著なインフレ率の上昇は、多くの国々では2023年以降から低下傾向にある。ペルーの場合は、一部食品の供給不足による影響で、一過性のインフレ上昇(2024年1月22日記事参照)がみられたが、2023年6月から12月にかけては顕著に低下傾向にある。
  3. 今後12カ月の累計インフレ率の見通しは、12月から1月にかけて2.83%から2.64%に低下しており、2カ月連続で政府目標値(1~3%)内に収まっている。
  4. インフレ率は今後もしばらく低下傾向を続ける見通しで、エルニーニョ現象を主とした気象変動リスクによる影響の可能性についても低くなっている。
  5. 1月の経済評価速報値や見通しなどの指標は、前月比で改善と悪化が混在し続けているが、今後の景況感については改善がみられた。しかし、多くの指標では依然として悲観的見通しが続いている。
  6. 国際経済の成長見込みは、インフレ圧力からの脱却によって緩やかに上昇傾向にあるが、国際紛争などの影響による燃料や輸送コストの上昇リスクの可能性が引き続き残っている。

BCR理事会では引き続き、インフレ率やその見通しなどの経済動向を注視しながら、必要に応じて緩和的金融政策を維持しつつ、不安定な金融市場を下支えしていくとしている。次回のBCR金融政策決定会合は2024年3月7日を予定している。

(注)エルニーニョ現象による豪雨や気温上昇による生産量の減少が影響。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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