2023年の欧州ヒートポンプ販売数、2013年以降初の前年比減

(EU、英国、スイス、ノルウェー)

ブリュッセル発

2024年03月04日

欧州ヒートポンプ協会(EHPA)は2月27日、2023年の欧州14カ国(注)のヒートポンプの販売数は前年比5%減の約264万ユニットだったと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。販売数は2013年以降、右肩上がりだったが、初めて前年を下回った。EHPAはEUの気候やエネルギー分野の目標達成にも影響を及ぼすとして、市場成長に向けたてこ入れが必要とした。

販売数を国別にみると、フランスやイタリアなど8カ国で前年を下回り、ドイツ、スペインなど6カ国では前年を上回った。前年比増の国でも、多くの国で2023年後半にかけて減速。2024年も販売数は減少する見通しで、既に6社が従業員の削減や一時休業を発表し、約3,000人の雇用に影響が出るとされている。

販売減速の背景には、多くの国でヒートポンプ購入支援策が縮小または廃止されたことや、ガス価格が低下する一方、電力価格は高止まりしていることがある。電力価格がガス価格の4倍まで高騰している国もある。EHPAは、購入支援策の継続と、適切な炭素価格の設定や減税などを通じ、電力価格をガス価格の約2倍に抑えることが消費者の需要喚起や冷暖房設備の脱炭素化に資するとした。企業は人材育成や生産能力拡大に投資しており、EUの支援策が重要だと強調。欧州委員会に対して「EUヒートポンプ行動計画」の早期発表をあらためて要請した(2024年2月2日記事参照)。

なお、EHPAによると、欧州(EU27カ国、英国、スイス、ノルウェー)のヒートポンプ総数は、2023年販売数を含め、約2,300万ユニットに達する見込み。英国は今回発表の統計に含まれていないが、2023年の販売数は前年比4%増だった。

(注)EU12カ国(ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ベルギー、オランダ、オーストリア、ポーランド、スウェーデン、フィンランド、デンマーク)と、スイス、ノルウェー。これらの14カ国で2023年の欧州の販売全体の9割を占めた。

(滝澤祥子)

(EU、英国、スイス、ノルウェー)

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