中国の対メキシコ投資、現地での人材確保が課題に

(メキシコ、中国)

メキシコ発

2024年03月28日

メキシコで近年、中国のメキシコ投資が活発化していることが報道されている。メキシコ経済省の3月19日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2024年1月1日から3月15日までになされた投資発表は73件、投資総額の見込みは315億ドルに上る。発表ベースで4万人弱の新規雇用が創出される見込みだ。

出資国の内訳をみると、中国からの投資受け入れは6%で、米国(57%)、ドイツ(17%)、アルゼンチン(14%)に次いで4番目となっている。

中国からの主な投資案件では、自動車向けアルミダイキャスト部品を生産する中国企業アイ・ケー・ディーが挙げられている。

特に自動車分野では、テスラのギガファクトリー新設や、中国政府による中国企業への強力な国外展開支援に起因する中国系自動車部品サプライヤーのメキシコ進出ラッシュを背景に、地場系や他国籍のサプライヤーからは、顧客の奪い合い激化への懸念が聞かれる。しかし、ジェトロが2月19~23日に実施した北東部や中央高原(バヒオ)地帯の進出日系企業へのヒアリングからは、在メキシコ日系製造業で中国系企業の参入による売り上げへの影響はまだ限定的なことが分かった。

一方で、中国系を含む新規進出企業との間の労働者の奪い合いが特に北東部を中心に起こりつつあるという。最低賃金引き上げや有給休暇の増加、労働時間削減を視野に入れた憲法改正(2023年12月21日記事参照)など、労働者の権利拡充に向けた動きが進む中で、どのように人材を確保し、定着させるかが持続可能なオペレーションのカギになりそうだ。福利厚生の充実化や従業員向け送迎バスのルート拡充、食堂サービスの向上など、賃金以外の面でも工夫が求められている。

(渡邊千尋)

(メキシコ、中国)

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