韓国政府、世界トップのバイオ製造拠点目指し、「バイオ製造革新戦略」発表

(韓国)

ソウル発

2024年04月08日

韓国産業通商資源部は4月1日、「バイオ製造競争力強化会議(第5回輸出懸案戦略会議)」を開催した。会議にはサムスンバイオロジクスやセルトリオンなどのバイオ医薬品製造企業や、バイオ素材・部品・装置メーカー、韓国バイオ協会などの関係機関が参加した。会議では、産業通商資源部が「バイオ製造革新戦略」を発表し、韓国が世界トップ(注1)のバイオ医薬品製造拠点になるべく、2030年までに「バイオ医薬品生産額15兆ウォン(約1兆6,500億円、1ウォン=約0.11円)、輸出額100億ドル」を達成するとした目標を掲げた。

目標達成のための戦略として、次の4点を挙げた。

  1. バイオ医薬品製造で圧倒的優位を確立:2030年までに予想される17兆7,000億ウォン規模の民間投資を全力で支援するために、政策金融4兆2,000億ウォンを供給する。韓国版BioMADE(バイオ製造革新プラットフォーム、注2)を構築する。
  2. 世界的なバイオ素材・部品・装置企業を育成:「2030年国産比率15%」の達成に向けた技術開発を支援する。規制改革や実証事業などにより素材・部品・装置の民間投資を促進する。安定的なサプライチェーンの構築を支援する。
  3. グローバル生産拠点への跳躍基盤を構築:「バイオ国家先端戦略産業特化団地」を指定する(2024年上半期、2024年4月3日記事参照)。研究職人材、技能職人材を育成する教育機関を整備する。
  4. バイオ医薬品の「経済領土」を拡大:KOTRA(大韓貿易投資振興公社)貿易館内に「K-Bioデスク」を設置し、海外支援拠点を拡大する(北米と欧州の4カ国、中東3カ国の計7カ国)。韓国バイオ協会内に輸出・投資の専門相談窓口を設置する。政府間対話のチャンネルや通商協定などを活用した国際協力を強化する。

安徳根(アン・ドックン)産業通商資源部長官は会議冒頭のあいさつで「バイオ産業は第2の半導体産業に成長し得る未来の主力産業であり、保健分野の安全保障でも不可欠な産業だ」と述べ、バイオ産業発展の意義を強調した。

(注1)2021年のバイオ医薬品の受託生産量は、1位米国、2位韓国、3位ドイツの順だった。

(注2)米国のバイオ産業における製造技術の開発、教育、業界連携などを担う機関として、2020年に発足した研究所。

(橋爪直輝)

(韓国)

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