中国、外国人向け決済サービスの利便性向上へ向けた取り組みを発表

中国人民銀行、文化観光部、国家外貨管理局、国家文物局は4月9日、「重点文化観光施設の決済サービスのさらなる最適化および支払いの利便性向上に関する通知」を公表した。本通知は「国務院弁公庁による決済サービスの最適化と支払いの利便性向上に関する意見」（2024年4月9日付地域・分析レポート参照）の着実な実施を図り、高齢者や外国人旅行者の支払いの利便性を向上させることを目的とする。

主な内容は次のとおり。

1. 3つ星以上のホテル、国家5A級および4級の観光地(注)、国家級および省級の観光リゾート、国家級の観光地において、国内・海外の金融機関などが発行するカードによる決済への対応を実現する。
2. 重点文化観光施設の運営者は有人のチケット窓口を維持し、現金での支払いをサポートすることで、消費者の支払い方式の選択権を保障する。
3. 外国人旅行者が多い文化観光施設やホテルへの外貨両替所の設置を積極的に推進する。
4. モバイル決済サービスを継続的に改善し、業務プロセスを最適化し、製品機能を充実させ、受け入れ範囲を拡大する。モバイル決済について、あらゆる面で使いやすさと利便性を向上させる。

4月11日の「新華網」の報道によると、2024年の政府活動報告（2024年3月6日記事参照）では、外国人の中国での就労、留学、観光の利便性の向上、決済サービスの最適化が必要だと示された。支払いにおける「閉塞」が、消費の潜在力を制約する要因として、その解消により、消費の安定成長という目標を効果的に推進する助けになると解説した。

次のステップとして、本通知の各取り組みを実施するために、中国人民銀行は地方政府と密接に協力し、金融業界および文化観光業界に対する指導監督などを行うとしている。また、本通知での取り組みを進めるために、中国人民銀行は4月11日と12日、それぞれ浙江省杭州市、江蘇省南京市・蘇州市で決済サービスの最適化を推進する会議を開催した。

（注）中国の観光地等級は、国家標準「観光地品質等級の区分と評定」などに基づき評定されるもの。等級は交通の便利さ、安全性、衛生面、観光者数など12要件で評定され、A（最低）、AA、AAA、AAAA、AAAAA（最高）の5等級に区分される。

（蔣春霞）