一部地域でデータセンターなどの外資出資比率の規制緩和を試行

(中国)

北京発

2024年04月22日

中国工業情報化部は4月10日、「付加価値電信業務の対外開放拡大の試行事業の実施に関する布告(工信部通信函〔2024〕107号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同布告は、高水準な対外開放を実践し、経済貿易の国際標準との接続を率先して行い、外資系企業のビジネス環境を最適化するため、一部地域で付加価値電信業務(注)の開放を拡大するとしている。「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2021年版)PDFファイル(293KB)」では、付加価値電信業務は外資の割合が50%を超えてはならない(電子商取引、国内マルチ通信、データ保存転送、コールセンターを除く)とされている。

今回の布告では、対象地域として、(1)北京市サービス業開放拡大総合モデル区(2023年12月1日記事参照)、(2)上海自由貿易試験区の臨港新区と社会主義現代化建設リード区(2019年8月15日記事参照)、(3)海南自由貿易港、(4)深センの中国の特色ある社会主義先行モデル区(2019年8月26日記事参照)の4カ所を挙げている。これら4カ所の試行地域が属する省(直轄市)政府は布告に添付された「付加価値電信業務の対外開放拡大試行プラン」に基づき、試行実施プランの制定を手配し、工業情報化部は試行実施プランと実施条件などに対する評価を行うものとされた。

布告によると、上記の対象地域では、(1)インターネットデータセンター(IDC)、(2)コンテンツ配信ネットワーク(CDN)、(3)インターネットサービスプロバイダー(ISP)、(4)オンラインのデータ処理・取引処理、(5)情報サービスの情報配信プラットフォームや、配信サービス(インターネットニュース情報、インターネット経由による出版、インターネット経由での視聴、インターネットコンテンツ経営を除く)、(6)情報保護、処理サービスの各業務で外資による出資比率制限が撤廃される。

布告では、上記試行地域で付加価値電信業務を実施する外資系電信企業は関連規定に基づき、工業情報化部に対して申請が必要としている。また、試行地域での実施状況に基づき、適宜試行地域を拡大するとしている。

工業情報化部情報通信発展司の責任者は「次のステップとして、工業情報化部は電信分野の開放を秩序立てて推進する。試行を推進し、政策の周知を強化し、試行地域の経験や事例などをまとめ、電信分野の対外開放政策を深く研究し、電信分野のビジネス環境を絶えず最適化していく」と解説した(「経済日報」4月17日)。

なお、在中国日系企業などで構成する中国日本商会が発行する「中国経済と日本企業2023年白書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、付加価値電信業務のライセンス取得に関する外資規制の緩和などを求めている(2024年3月6日記事参照)。

(注)付加価値電信業務とは、公共通信基盤を利用して提供する電気通信・情報サービスの業務を指す。

(蔣春霞)

(中国)

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