米カリフォルニア州、自動運転車規制法案が上院地方政府委員会を通過

(米国)

サンフランシスコ発

2024年04月22日

米国カリフォルニア州議会の上院地方政府委員会は4月17日、「自動運転車規制法案(SB915:自動運転車サービスの展開とデータの透明性に関する法案)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を可決した。次のプロセスとなる上院での第2読会は4月下旬になる見通しだ(NBCベイエリア4月17日)。

カリフォルニア州では、カリフォルニア州運輸局(DMV)が全ての道路の運航規制を所管し、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)がタクシーなど配車サービスの規制権限を持つ。現段階では自動運転車サービスの規制に関して、地方自治体や警察などには発言権がないことから、2024年1月にデーブ・コルテス上院議員(民主党)がSB915を起草したものだ。

同法案は、同州内の各市や郡に対し、自動運転車サービスに関する条例を制定し、公共の健康、安全、福祉を保護する権限を与えるものだ。加えて、各自治体が制定する条例には、公道を走行する自動運転車の台数上限や走行時間制限の設定を含む各種許可、自動運転車サービス事業実施の際の自治体の財政責任や安全対策、事業参入企業に対するデータの透明性やアクセシビリティーの要求といった一定の条項を含めることを義務付けている。

同法案に対し、2月に全米最大の労働組合のチームスターズが支持を表明して以来、サンフランシスコ市議会、オークランド市議会、ロサンゼルス郡監督委員会、サンマテオ郡監督委員会が同法案を支持する決議案を相次いで可決した。チームスターズによると、このように同法案の推進が急速に進む背景には、人々の自動運転車に対する不安と規制当局の対応への不満があるようだ。

コルテス上院議員が、同法案を上院地方政府委員会に提出したのは、3月1日にCPUCとDMVが運転者なしの自動運転配車サービスを展開するウェイモの営業拡大を許可した一連の動きが背景にある(2024年3月7日記事参照)。同法案の意図について、「自分たちの地域のことをよく知っている地方自治体に、速度制限や降車ゾーン、説明責任に関する一般的なの地方の規則を制定する機会を与えるものだ」と述べ、自動運転車を安全に導入するために、州の権限を侵食することなく地域の意向を反映させられるようになることに期待を示した。

(松井美樹)

※一部内容に追記・修正を加えました(424日)。

(米国)

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