IMFの2024年アフリカ経済見通し、GDP成長率を3.8%に下方修正、ODA減少で資金繰りはさらに逼迫

(アフリカ、世界、ニジェール、ルワンダ、コートジボワール、エチオピア、ガンビア、ケニア、ナイジェリア、ガーナ、モザンビーク、カーボベルデ)

調査部中東アフリカ課

2024年05月09日

IMFは4月14日、「地域経済見通し(サブサハラ・アフリカ)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、サブサハラ・アフリカ地域(SSA)の2024年の実質GDP成長率を3.8%と予測した。2023年10月の前回発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから0.2ポイントの下方修正となった。2025年は4.0%の成長を見込んでいる(添付資料表参照)。

IMFは、SSAで続く資金繰りの逼迫を強調した。国内資源の利活用が進まない中、資金不足、高い借り入れコスト、ロールオーバーリスク(注)を抱え、2024年と2025年には多額の債務返済期限が迫っている。資金調達の難しさからSSA各国は公共支出を削減し、開発資金を債務返済に充てざるを得ない状況にあり、将来の成長見通しが危ぶまれるとしている。

資金繰りの逼迫は、これまでアフリカ諸国が資金源としてきた政府開発援助(ODA)が伸び悩んでいる影響を受けており(2024年4月23日記事参照)、ドナー国からの譲許的資金は減少しているという。SSA各国政府は代替的な資金を模索しているが、それらの多くは手数料が高く、透明性も低い。一方、IMFはSSA地域の低所得国に対する対外総資金需要は、今後4年間で年間700億ドル(GDPの6%)を超えると推定している。

資金調達が難しさを増す中、借り入れコストも上昇し高止まりしている。2023年のSSA各国の中央値では、政府の利払いが歳入(贈与を除く)に占める割合は12%(10年前の2倍以上)を記録し、民間セクターも金利上昇の圧力を感じはじめている。

2024年の実質GDP成長率の予測値を国別にみると、ニジェールが10.4%と最も高いほか、ルワンダが6.9%、コートジボワールは6.5%、エチオピアとガンビアが6.2%と高い予測になっている。主要国では、ケニアが5.0%、ナイジェリアが3.3%と予測する一方で、南アフリカ共和国では0.9%と2023年に深刻化した電力不足などの影響で引き続き低成長を見込んでいる。

2024年のSSAの消費者物価上昇率(年平均)は、15.3%と依然として2桁台が見込まれる。国別にみると、2023年に引き続きジンバブエが561.0%と高いほか、ナイジェリアが26.3%、エチオピアが25.6%、ガーナが22.3%と高いインフレ率を見込んでいる。

GDPに占める公的債務残高の割合は2024年に58.5%になるとされる。また、対外債務残高のGDPに占める割合は27.2%になると予測されている。対外債務残高を国別にみると、カーボベルデが93.3%と高かったほか、2022年12月に債務不履行に陥ったガーナ(2022年12月21日記事参照)が依然として46.5%と高く、2023年12月に債務不履行となったエチオピア(2023年12月27日記事参照)は13.9%を見込んでいる。その他、モザンビークが65.5%、コートジボワールが37.7%、ケニアが38.3%、ナイジェリアが18.0%と予測されている。

(注)ロールオーバーリスクとは、債務が満期を迎え、新たな債務に借り換え(ロールオーバー)が必要になる際のリスクを指す。例えば、古い債務の契約期間に金利が上昇していた場合、より高い借り入れコストが発生することになる。

(吉川菜穂)

(アフリカ、世界、ニジェール、ルワンダ、コートジボワール、エチオピア、ガンビア、ケニア、ナイジェリア、ガーナ、モザンビーク、カーボベルデ)

ビジネス短信 79a6e5e9c6606c0b