輸出入手続

最終更新日:2023年09月01日

輸出入許可申請

輸出入許可申請には、事前に商業登記番号が必要。
特定の品目については、ライセンスや事前申告が必要。2015年5月から輸出入手続きが電子化。一般の輸入申請、輸入ライセンス申請、輸出ライセンス申請は、オンライン申請窓口「PortNet」を利用する。

産業・貿易省

オンライン申請窓口:PortNet外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

輸入

輸入禁止品目、および輸入ライセンス・事前輸入申告が必要な品目以外の輸入については自由。

  1. 申請前の手続き
    モロッコへの輸入に際しては、商業登記番号が必要となる。商業登記番号は、輸入業者の主要な事業所、あるいは本社所在地の第一審裁判所から付与される。
  2. 一般の輸入申請

    輸入業者は、オンライン申請窓口「PortNet」を利用して利用者登録を行い、輸入契約(engagement d’importation)を作成、インボイス(単価(工場出荷価格、FOB、FASまたはFCA)、輸入量、輸入される品目の商品名、納入条件、原産国、支払条件を記入)を添付し、取引銀行に開設した口座を手形支払い先としてオンラインで指定する。手形支払い先の指定ができると、輸入契約は、為替局、貿易担当省、管轄の税関、輸入業者に、オンラインで自動的に通知される。輸入契約の有効期間は、手形支払い先指定完了後から6カ月。
    代金支払いを伴わない輸入には、輸入契約は不要。
    商業登記していない事業者、自然人・法人(農協、大学、大使館、観光客など)による輸出の際には、税関で、商業登記番号に代わる番号が与えられる。これらは、すべてオンラインで可能。

  3. 輸入ライセンスが必要な品目の輸入申請

    輸入業者は、オンライン申請窓口「PortNet」を利用して利用者登録を行い、オンラインで取引先銀行の手形支払先を仮指定(Pré-domiciliation)する。輸入ライセンス(Licence d’importation)申請を作成し、インボイス(前記2.一般の輸入申請を参照)を添付して、オンラインで貿易担当省に提出する。同省からライセンス付与の可否が通知される。ライセンスが下りると、輸入業者の取引銀行において手形支払い先が指定(domiciliation)され、輸入ライセンスが為替局、貿易省、管轄の税関にオンラインで自動的に通知される。輸入ライセンスの有効期間は、貿易担当省の査証発行日から6カ月。これらは、すべてオンラインで可能。

  4. 事前輸入申告が必要な品目の輸入申請

    貿易に関わる法律第13-89号とその適用法に基づき、国内産業に大きな損害を与える可能性がある品目の輸入には、事前輸入申告が必要となる場合がある。大量輸入、輸出国で補助金を受けている品目の輸入、ダンピングに相当する価格で輸入される品目などに対して、追加関税や輸入量制限(contingent)を導入するか否かを審査する間(通常9カ月~18カ月の間)に、当該品目に対して申告が義務化されている。申告は、輸入量制限や輸入許可を課すことではなく、実際の輸入者、輸入量、輸入元、輸入価格などの詳細なデータを取ることを目的としている。
    一方で、オンライン申請窓口「PortNet」が導入され、自動的に当該品目の輸入に関するデータが収集・分析できるようになってから、事前輸入申告は実質的に不要となり、制度としては形骸化している。

  5. 免税の対象となる品目の輸入申請

    自由貿易協定/関税・貿易協定の枠内で、輸入は自由である(ライセンスの対象とならない)が輸入量割当の対象となる品目に関しては、免税措置について申請が必要となる。関税免除申請書(Demande de Franchise Douanière:DFD)の申請は2020年4月以降、「PortNet」で可能。DFDをオンラインで作成し、インボイスをPortNet上でアップロードする。貿易担当省による免税査証付与の進捗および可否もオンラインで確認できる。
    申請ガイドは、PortNetのオンライン申請手続きガイド・ポータルサイトで取得可能(Guide utilisateur PortNet-Demande de Franchise Douanière外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(1.45MB))。
    オンラインでの申請ができない場合は、関税免除申請書(DFD)をPDFで作成し、インボイス(前記2.一般の輸入申請を参照)とともに貿易担当省にメールで提出する。免税許可の有効期間は、査証発行から最長で6カ月間。

  6. 輸入品の審査・検査
    1. 工業製品の規格順守証明(必要に応じて)および検査

      規格適用が義務付けられる工業製品の輸入には、産業担当省交付の規格順守証明(Attestation / Certificat de conformité aux normes)の提出が必要な場合がある。
      規格適用が義務付けられる工業製品のリストについては以下を参照。

      商業保護・規制局:規格適用義務の対象となる工業製品リスト(2022年5月30日更新)(Liste des produits contrôlés à l'origine外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(1.18MB)

      規格適用が義務付けられる工業製品は、品質に関するサンプル検査の対象となることもある。サンプル検査の対象品目リストについては、以下を参照。

      商業保護・規制局:モロッコ輸入時検査品目リスト(2022年5月30日更新)(Liste des produits contrôlés à l'arivée au Maroc外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(1.04MB)

    2. 動物・動物性/植物性食品・水産品等の原産国の衛生証明

      生きた動物、動物性/植物性食品、動物/植物由来の製品(殺虫剤・農薬・化粧品・肥料含む)、食品添加物、水産品、飼料の輸入に際しては、原産国(あるいは通過国)による公式な衛生証明書が必要。また、保健衛生上の検査や輸入量の検査ができる港湾・空港でのみ、通関が可能。検査当局は食品安全衛生局(ONSSA)で、検査費用は輸入者が負担する。食品の輸入に際して必要な検査・証明書発行の費用は、ONSSAウェブサイトのPDF "PAIEMENT DES PRESTATIONS ET SERVICES RENDUS PAR L'OFFICE NATIONAL DE SECURITE SANITAIRE DES PRODUITS ALIMENTAIRES外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(17.8MB)"で確認可能。必要と判断される場合は、ONSSAでの精密検査を実施。

    3. 植物検疫

      1927年9月20日の王令(Dahir)にて、一部植物および植物性食品の輸入に際しては、無条件かつ強制的に衛生検査が行われると決められている。同王令は後年の王令や省令により改変され、現在の衛生検査対象の植物性品目のリストは税関・間接税規則第12編3章1節に掲載されている。食品安全衛生局(ONSSA)による証明書の発行をもって、輸入が許可される。また、保健衛生上の検査や輸入量の検査ができる港湾・空港でのみ、通関が可能。

    4. 医薬品・化粧品
      医薬品・化粧品の輸入に関しては、保健省への事前の製品登録が必要。
  7. 貨物申告書(Déclaration unique des marchandises:DUM)の作成・提出

    輸入品が到着すると、運送業者により、通関用システム「BADR」を通じて税関への簡易申告(déclaration sommaire)が行われる。輸入業者あるいはその代理人は、簡易申告から60日以内に、「BADR」を通じて詳細申告(déclaration en détail)を行う(2018年12月26日の通達N°5885/312をもって詳細申告は完全にペーパーレス化)。詳細申告では、インボイス、輸入契約関係書類、品目によって必要とされるその他の書類を、オンラインで提出する。

輸出

輸出禁止品目と輸出ライセンスが必要な品目以外、輸出は自由。

  1. 輸出申請前の手続き

    モロッコからの輸出に際しては、商業登記番号が必要となる。商業登記番号は、輸出業者の主要な事業所もしくは本社がある場所の第一審裁判所から付与される。
    商業登記していない事業者、自然人・法人(農協、大学、大使館、観光客など)による輸出の際には、税関で商業登記番号に代わる番号が与えられる。
    手工業品を輸出するにあたっては、手工業担当省に、手工業品輸出業者としての登録を申請しなければならない。

  2. 一般の輸出申請

    以前必要だった所定フォーム「為替契約・輸出ライセンス(Engagement de change, Licence d’exportation)」は廃止され、輸出ライセンスが必要な品目以外の一般的な輸出に関しては、通関以外の手続きは不要となった。

  3. 輸出ライセンスが必要な品目の輸出申請

    輸出ライセンスが必要な品目については、1994年4月19日付貿易・外国投資・手工業省令第1308-94号のリスト2を参照。
    オンライン申請窓口「PortNet」の利用者登録を行い、輸出ライセンス申請を行う。申請内容が貿易担当省に送付され、関連省での検討を経て、オンラインで、ライセンス査証付与の可否が通知される。

  4. 原産地証明書の作成
    貿易・関税協定および自由貿易協定などによって免税の対象となる品目には、所定の書式を利用した原産地証明が必要となる。書式は、輸出先によって異なる。
  5. 輸出品の検査・審査

    輸出品は、税関などによる検査の対象となる場合もある。
    輸出先の国からの要請がある場合には、植物および植物由来の品目の輸出については、食品安全衛生局(ONSSA)による植物検疫証明書が、動物性および動物由来の品目の輸出については、ONSSAによる獣医学上の衛生保護検診が必要。
    手工業品に関しては、手工業担当省が検査を担当し、査証を付与する。検査対象の手工業品は、包装に検査済みの査証が付与される(必要によって原産地も記載)。
    輸出用食品の製造・加工・包装を行う事業所は、食品輸出検査機関(FOODEX / EACCEと記載されることもある)の認可を得る必要がある。
    税関・間接税規則第12編2章2節に掲載される品目(主に食品)は、輸出に際してFOODEX / EACCEの技術検査証明書が必要。
    医薬品に関しても保健省からの事前の許可取得が必要。

  6. 貨物申告書(DUM)の作成・提出
    輸出時には、DUMを作成し、通関用システム「BADR」を利用して詳細申告(déclaration en détail)を行う。詳細申告では、インボイス、輸出契約関係書類、品目によって必要とされるその他の書類をオンラインで提出する。

問い合わせ先

税関の支局については「関税制度」の項を参照。

必要書類等

輸入には、輸入契約または輸入ライセンスの申請(オンライン申請)、輸出には、輸出ライセンス申請(オンライン申請)が必要。
その他必要書類としては、インボイス、貨物申告書(DUM、オンライン申請)、輸送証券・運送状、原産地証明(免税対象品目の場合)、包装明細書(パッキングリスト)、各種検査・認可証明書などがある。

査証

一部の輸出者、一部の輸出入品に関しては、査証が必要となる。

輸入品に関わる査証

輸入ライセンスと事前輸入申告の対象となる輸入業務には、貿易担当省の査証が必要。

輸出品に関わる査証

輸出ライセンスの対象となる輸出業務には、貿易担当省の査証が必要。
手工業品の輸出には、手工業担当省による品質査証も必要。

代価のない輸出に関しては、基本的には為替局の事前許可が必要となるが、次の場合は事前許可の必要はない。

  • 価格が1万ディルハム以下の製品を代価なしで輸出する場合
  • 価格が2万ディルハム以下のサンプルを代価なしで輸出する場合
  • 不良品の欠損部品や不良品の代替品を輸出する場合
  • 発注に適応していない製品や不良品の返品を輸出する場合

事前許可の必要がないケースは税関・間接税規則第7編2章2節(Titre 7, Chapitre 2, Section2外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に列挙される。

その他

特になし。