日本からの輸出に関する制度 水産物の輸入規制、輸入手続き

マレーシアの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2020年9月

日本からマレーシアへの水産物の輸出は可能です。 ただし、水産物、水産加工品については2013年3月に発効した「2012年関税(輸入禁止)令」において「特定の方式でのみ輸入可能な品目」として指定されており、輸入に際しては品目(HSコード)ごとに各機関からの許可が必要となっています(THIRD SCHEDULE)。
なお、東日本大震災以降、日本からの食品輸入については、産地証明が必要など、規制がありましたが、2013年3月1日をもって廃止されました。

現在、日本からの輸入水産物について、えび・かにおよび活魚以外の冷凍・冷蔵などの水産物・加工品は、日本の衛生当局が発行する衛生証明書は不要です。

えび・かにおよび活魚については、1985年漁業法(Fisheries Act 1985)の規定PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、日本の衛生当局が発行する衛生証明書が必要となっています。マレーシア検疫検査サービス局(MAQIS)より輸入許可を出す段階で要求されます。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2020年9月

施設登録
日本産水産物の場合、日本側の施設登録は不要です。
日本側で用意すべき書類
エビ、カニおよびそれらの加工品(エビにあたっては、乾燥または調味したものを除く)は衛生証明書の取得が必要です。詳細は農林水産省のウェブサイト「証明書や施設認定の申請」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから「マレーシア向け輸出畜水産食品の取扱要綱」を確認してください。
日本製水産物に関しては現在、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う政府作成の産地証明は不要となっています。
経済連携協定(EPA)の適用を受ける場合は、日本商工会議所作成の特定原産地証明書が必要です。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2020年9月

マレーシア向けの水産物輸出にあたっては、衛生証明書の添付が求められています。詳細は農林水産省のウェブサイト「証明書や施設認定の申請」から「マレーシア向け輸出畜水産食品の取扱要綱」 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを確認してください。

マレーシアの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2020年10月

水産物の定義および規格は「1985年食品規則(Food Regulations 1985)」で定められています。主な水産物のカテゴリー別の定義と規格は次のとおりです。

水産物
水産物には、海洋、汽水または淡水魚、甲殻類、軟体動物、およびヒトが食べることができるほかの水生生物が含まれる。 魚卵も含まれる。これらの規則の目的のために、ヒトが消費するために養殖または飼育されている魚は、清潔な場所から調達されているものとする。冷蔵水産物とは、マイナス1℃〜10℃の温度で健全な状態に保たれた水産物であり、10℃以下の温度で解凍された冷凍水産物を含む。冷凍水産物魚とは、マイナス18℃未満の温度で健康的な状態で維持され、使用前に解凍されていない水産物を指す。副規制21(5)で指定されているように、魚には魚の等級付けに使用される許可された着色物質が含まれている場合がある。
漬物もしくは塩蔵魚
漬物もしくは塩蔵魚は、塩、砂糖、酢、またはスパイスで処理された調理済みまたは未調理の魚から調製された魚製品とする。また許可された香料と許可された食品調整剤としてのアスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸、イソアスコルビン酸ナトリウムを含む場合がある。
くん製魚
くん製魚は、塩の添加の有無にかかわらず健全な状態に維持され、漬物もしくは塩蔵魚から調製され、塗料や防腐剤を含まない木材を使った煙によるくん製品であるものとする。くん製魚には処理中に偶発的に吸収された5mg/kg以下のホルムアルデヒド、許可された風味増強剤が含まれている可能性がある。
加工魚
加工魚は、ほかの食物を加える、または加えずに全体または細かくした、調理、あるいは未調理の魚または塩漬け、くん製の魚から調製した魚肉の加工品であり、缶詰にされることがある。調理済みの魚には乾燥調理済みの魚も含まれる。許可された香料とうまみ調味料、コンディショナーが含まれている場合がある。干物加工品は、砂糖、サッカリン、サッカリンナトリウムなどで処理した魚を乾燥させたものをいい、人工的に作られた環境下で乾燥させて作る。
缶詰魚
缶詰魚は、確実に保存するために密封され、熱によって処理される清潔な容器に詰められた魚または加工された魚でなければならない。調味料、飲料水、塩水、ソース、食用油が含まれている場合がある。55%以上の魚が含まれているものとする。また許可されたうまみ調味料とコンディショナーが含まれている場合がある。総リン含有量が五酸化リンとして計算されるような比率のリン酸塩の含有量については、骨付き缶詰魚の場合は適正製造基準に準拠、骨のない缶詰魚の場合では0.5%未満、カルシウム二ナトリウムエチレンジアミン四酢酸の含有量については300mg/kg以下とする。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2020年9月

マレーシアでは残留農薬(最大許容残留値、使用禁止農薬)について、「1985年食品規則」(Regulation 41ならびにSIXTEENTH SCHEDULE)において品目ごとに定められています。
本規則内で、水産物について個別の基準値は指定されていませんが、そのような食品に関しては、CODEXが定める基準値に従うものとし、CODEXでも特に定めのない農薬についてはすべて0.01mg/kgの最大許容残留値が適用されます。

輸入された活エビは、登録された輸入業者の施設で14日間検疫(Quarantine)を受けます。 輸入業者は、水産局が定めた輸入後の手続きに準拠しなければなりません。

ワクチン、その他の医薬品の規定・検査については、基本的に「1985年食品規則(Food Regulations01985)」に記載されている部分だけで、養殖魚用ワクチンに対する個別の規制は明記されているものはありません。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2020年9月

マレーシアで消費されるすべての食品に関する重金属および汚染物質(最大許容残留値)については、「1985年食品規則」(Regulation 38ならびにFOURTEENTH SCHEDULE)において品目ごとに定められています。
水産物に関する重金属(ヒ素、鉛、水銀、カドミウム)の最大残留基準は、それぞれ次のとおりです。

水産物に関する重金属および汚染物質の最大残留基準値(mg/kg)
種類 ヒ素 水銀 カドミウム
食用の魚 1# 1 1* 1
そのほかのもの(二枚貝、頭足類(内臓を除く)、甲殻類を除く 1# 1 0.5* 1
二枚貝 1# 1.5 0.5* 2
頭足類(内臓を除く) 1# 1 0.5* 2
甲殻類 1# 1 0.5* 1
海藻類 1# 2 0.5* 1
特に指定がされていないすべての食品
(水および食品添加物を除く)
1 2 0.05* 1

また、病原微生物が含まれたすべての食品の輸入が禁止されているほか、細菌、微生物の最大残留基準は次のとおりです。

水産物に関する細菌の最大残留基準値
種類 生菌数
(37℃、48時間)
大腸菌群数
(37℃、48時間)
魚ならびに水産加工品(密封容器に入れられたものを除く) 1gあたり106 1gあたり5×10
水産物に関する微生物の最大残留基準値
種類 微生物 最大残留基準値 (μg/kg)
その他のもの アフラトキシン(B1、B2、G1、G2の合計) 5

なお、鮮魚ならびに殻付きのエビの保存のために使用される氷に関しては、クロルテトラサイクリンならびにオキシテトラサイクリンのいずれかが5ppm以上検出されてはなりません。

マレーシアで消費されるすべての食品に含有が禁止されている物質については、「1985年食品規則」(Regulation 40ならびにFIFTEENTH A SCHEDULE)において品目ごとに定められています。

冷蔵用の氷については、二酸化塩素(または過酸化塩素)の含有量は20mg/kg以下と定められています。

4. 食品添加物

調査時点:2020年9月

マレーシアで消費されるすべての食品添加物は、「1985年食品規則」(PART V)に定められています。食品添加物は「食品が有している品質、質感、堅さ、外見、匂い、味、アルカリ度または酸性度に影響を与えるために、もしくは食品の製造、加工、調製、処理、梱包、包装、運搬または保存において、そのほかの技術的な機能を付与するために、意図的に食品に少量導入される、および、その結果、直接的または間接的に当該物質またはその副産物が食品の一成分となるか、なることが合理的に期待される、あらゆる安全な物質をいい、すべての保存料、着色料、香料、風味増強剤、酸化防止剤、食品調整剤などを含むが、栄養強化剤、偶発的成分あるいは塩は含まれない」と定義されており、これらに関する使用については、次のように定められています(Regulation 19)。

  • 食品添加物として許可されていない物質は食品添加物として使用してはならない。
  • 食品規則で具体的に定められた基準に準拠しない認可食品添加物もまた食品に使用してはならない。
  • 食品添加物の食品への添加は、食品規則で認可が明文化されていない限り禁止する。
  • 食品に使用される食品添加物は、その最大許容値を超えないこと。

添加物としてのポジティブリストや使用許容値は、食品添加物の種類および対象となる食品ごとに細かく数値が定められています。詳細は各食品規則(表参照)を確認してください。

食品添加物の種類別食品規則および付表
添加物の種類 食品規則 附表
保存料 Regulation 20 SIXTH SCHEDULE
抗菌剤 Regulation 20A SIXTH (A) SCHEDULE
着色料 Regulation 21 SEVENTH SCHEDULE
香料 Regulation 22 EIGHTH SCHEDULE
風味増強剤 Regulation 23 NINTH SCHEDULE
酸化防止剤 Regulation 24 TENTH SCHEDULE
食品調整剤 Regulation 25 ELEVENTH SCHEDULE
栄養強化剤 Regulation 26 TWELFTH SCHEDULE
ビフィズス菌 Regulation 26A TWELFTH A SCHEDULE

なお、食品調整剤はさらに次のサブカテゴリーに分類され、基準が整理されています。

  • 乳化剤
  • 消泡剤
  • 安定剤
  • 増粘剤
  • 加工でん粉
  • ゲル化剤
  • pH調整剤
  • 酵素
  • 溶剤
  • 固化防止剤

栄養素が添加されていない甘味物質は、「1985年食品規則」Regulation 133および第17付則(SHEDULE 17)で規定されています。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2020年10月

食品容器に関しては、「1985年食品規則」(PART VI)に次のとおり定められています。

  1. 食品包装に使用される梱包材料は、中身の食品に対して有毒、有害なものであってはならず、汚染物質を含まず、食品の劣化を早めるようなものであってはならない。
  2. 容器にセラミック〔カテゴリーA: 磁器、ボーンチャイナ、ファインチャイナ、溶化磁器その他吸水率が0.4%以下のもの、カテゴリーB: 陶器、せっ器(ストーンウェア)〕を使用する場合は、マレーシア規格(MS:Malaysian Standard)の「MS ISO 6486-1食品と接触するセラミック容器、ガラスセラミック容器およびガラス食器」に従わなければならない。また、セラミック容器に含まれる鉛とカドミウムの最大許容量には制限がある(次の表を参照)。
セラミック容器に含まれる鉛とカドミウムの最大許容量
種類 単位 カドミウム
平らな容器 mg/dm2 0.8 0.07
深みのある容器(小) mg/l 2.0 0.5
深みのある容器(大) mg/l 1.0 0.25

また、セラミック容器は次の要件を満たさなければなりません(テスト方法はマレーシア規格MS ISO 6486-1を参照)。

セラミック容器の要件
パラメータ カテゴリーA カテゴリーB陶器 カテゴリーBせっ器
吸水率(%) 0.4%以下 3.0%以上7.0%以下 3.0%以下
熱衝撃(℃) 160 160 160
耐チッピング性(J)
プレート直径>220mm 0.25 該当なし 該当なし
プレート直径≦220mm 0.18 該当なし 該当なし
カップ/マグ/ボウル
(注ぎ口あり)
0.10 該当なし 該当なし
カップ/マグ/ボウル
(注ぎ口なし)
0.12 該当なし 該当なし
クレージング すべてのテスト片でクレージングがないこと
  1. 1キログラムあたり1ミリグラム以上の塩化ビニルモノマーを含んだポリ塩化ビニルを利用した容器は禁止されている。
  2. 1キログラムあたり0.05ミリグラム以上の塩化ビニルモノマーを含んだポリ塩化ビニルに梱包された食品の輸入、販売をしてはならない。
  3. 非食品用に製造された容器を食品用に使用してはならない。
  4. ナチュラルミネラルウオーターの容器として使用した20リットル以下のポリカーボネート容器を同じ目的で使用することは認められているが、それ以外の次のような容器のリサイクルは認められていない。
    1. 何らかの用途として使用された袋を砂糖や小麦粉、その他の粉類の容器として使用すること。
    2. 何らかの用途として使用されたボトルや金属容器(食用脂や食用油用のサイロやタンカーを除く)を食用脂や食用油の容器として使用すること。
    3. 豚由来の製品の容器として意図されたもの、あるいは豚由来の製品の容器として使用された容器を非豚由来の製品の容器として使用すること。
    4. 何らかの用途として使用されたプラスチック容器を、食品の容器として使用すること。
    5. アルコール類やシャンディ(飲み物)の容器として使用された容器を、それらを除く食品の容器として使用すること。
  5. 次のような類似用途のための容器のリサイクルも認められていない。
    1. 別の用途として使用されたガラス瓶を牛乳、清涼飲料水あるいはシャンディの容器として使用すること。
    2. 別の用途で使用された箱や木箱を野菜、魚、果物の容器として使用すること。
    3. 別の用途で使用された麻袋を精米の容器として使用すること。
  6. アルコール飲料、シャンディ、野菜、果物のための、次のような容器のリサイクルは認められる
    1. アルコール飲料の容器として使用されたガラス瓶を、シャンディの容器として使用すること(あるいはその逆)。
    2. 野菜の容器として使用された箱や木箱を、果物の容器として使用すること(あるいはその逆)。
  7. ある食品の容器として使用されている容器に、それとは別の食品のラベルやマークが表示されていた場合、その容器は以前にそのラベルやマークの食品用途として使用されたものであると推定する。
  8. 破損した容器の使用は認められていない。
  9. 食品の容器の中に玩具やコイン、その他のものを入れてはならない。ただし、食品の無菌状態など食品の望ましい質を保持するためのものや、食品のラベル、酸素を吸収するための還元鉄粉などの同梱は認められている。
  10. 酸素吸収を目的とした還元鉄粉は、食品に混入し、食品を汚染し、食品の内部に侵入しないよう、小袋に入れ、封をしなければならない。小袋の素材は、次のうち少なくとも1つ以上を含まなければならない。
    1. 塩化カルシウム
    2. 水酸化カルシウム
    3. 活性炭
    4. 石膏
    5. 酸化鉄
    6. 水酸化マグネシウム
    7. ステアリン酸マグネシウム
    8. パーライト
    9. 滑石
    10. 沸石

6. ラベル表示

調査時点:2020年10月

水産物を含めマレーシアで販売する食品の一般的な表示基準(輸入品、国産品に関係なく)は、「1985年食品規則」(Food Regulations 1985 PART IV)に定められています。表示項目、言語、文字の大きさや色、賞味期限表示、栄養成分表示、あるいは表示禁止事項など詳細にわたり、ルールが設定されています。
表示が必要な項目は次のとおりです。

  1. 食品の適切な明示(appropriate designation of the food)、または主成分の一般名を含む食品の説明。
  2. 混合食品または配合食品の場合には、食品に応じて内容物が混合または配合されたものであることを示す文言。
  3. 食品が牛肉もしくは豚肉、またはその派生物、またはラードを含む場合には、それらに関する記載。
  4. 食品が添加アルコールを含む場合には、それらに関する記載を、6ポイント以上の大文字かつ太字のサンセリフ書体によって表示。
  5. 食品が、水、食品添加物、および栄養補助剤を除く2種類以上の成分からなる場合には、各成分について、重量に占める割合が多い順に適切な明示を表示し、場合によっては成分の割合も表示しなければならない。また、それらに加えて食品が過敏症を引き起こすことが知られる成分を含む場合には、それらの成分についても当該成分のラベルへの記載が必須となる。(※)
  6. 食品が食用脂肪または食用油またはそれら両方を含む場合には、それらの表示(場合に応じてそれらの脂肪または油が由来する動物または植物の一般名と共に表示)。
  7. 食品が食品添加物を含む場合には、それらの含有に関する記載。
  8. 包装に含まれている最小限の正味重量、容量、数。液状媒体内で包装された食品の場合には、最小限の食品固形量の記載。
  9. 国内で製造または包装された食品の場合には、製造業者もしくは包装業者、または製造権もしくは包装権の所有者、またはこれらのいずれかの代理業者の名称および事業所住所。また、輸入食品の場合には、製造業者もしくは包装業者、または製造権もしくは包装権の所有者、またはこれらのいずれかの代理業者の名称および事業所住所、ならびにマレーシア国内の輸入業者の名称および事業所住所、ならびに当該食品の原産国名。
  10. 特定食品の場合には、1985年食品規則の規制に従ってほかの詳細を表示。

    (※)対象物質として過敏症を引き起こすことが知られている特定の食品または成分として次があげられる。

    1. 小麦、ライ麦、大麦、オート麦を含むグルテンを含有する穀物
    2. ピーナッツ、大豆を含むナッツおよびナッツ製品
    3. 魚類および魚類製品
    4. 乳および乳製品(ラクトースを含む)
    5. 卵および卵製品

また、輸入食品の場合はマレー語または英語で必要な情報の記載がなされる必要があり、必要に応じてほかの言語を併記するものとしています。その他包装、表示についてのルールの詳細については条文を参照してください。

7. その他

調査時点:2020年10月

食品安全・衛生規制
マレーシアの主要な食品安全・衛生管理行政機関はマレーシア農業・農業関連産業省と保健省であり、主に農業・農業関連産業省が生産・一次加工の安全・衛生管理、保健省が輸入・加工食品の安全・衛生管理を担当しています。
輸入食品も含めた食品の取り扱いに関する主要法規としては、「1983年食品法(Food Act 1983)」「1985年食品規則」「2009年食品衛生規則(Food Hygiene Regulations 2009)」です。

マレーシアでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2020年9月

食品輸入管理は、マレーシア保健省(MOH: Ministry of Health)の食品安全品質管理部(Food Safety and Quality Division)がマレーシア関税局と協力しながら実施しています。具体的には、オンラインの食品安全情報システムFoSIM(Food Safety Information System of Malaysia)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通じ、国内で消費される輸入食品が安全であるかどうかも含めた輸入食品の管理が行われています。
マレーシアに水産物を輸入する際には、輸入業者はFoSIMにアクセスし、輸入者・輸入エージェントはじめ、必要な登録を行うことによって輸入手続きを行います。

また、水産物の輸入に際してはマレーシア漁業開発庁(LKIM)などからの輸入許可証、特に生きた魚の輸入に際しては、これに加え、水産総局の許可と輸出国からの衛生証明書が必要となりますが、運用上これらはすべて官庁間の統合通関登録システム「Dagang.Net」からePermit外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますというオンライン輸入許可システムを利用して実施することになります。

水産物は大きく分けて、(1)冷凍・チルドの生鮮、乾燥、塩蔵、薫製、魚粉、甲殻類、貝類、水棲無脊椎動物、海藻類、(2)生きた魚、甲殻類、貝類、水棲無脊椎動物とで認可手続きが変わります。

まずあらゆる水産・海産物、それを含む製品については、漁業開発庁(Fisheries Development Authority of Malaysia, LKIM)に登録し、輸入ライセンスを取得する必要があります。この手続きは漁業開発庁のウェブサイト「ePelesenan」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから申請できます。

申請資格はマレーシア所在の会社であること、申請名義がマレーシア国籍を有する役員であることが求められます。 倉庫や加工、パッケージング施設の視察を受ける必要があり、手続きには約1カ月かかります。ライセンスの有効期間は1年間となっており、ライセンス料もウェブサイト経由で支払うことができます。

(2)は LKIM にライセンスを申請する際に、魚などを生かしておくための施設の管理状況などについて漁業局の視察を受ける必要があります。

なお、水産物については2013年3月に発効した「2012 年関税(輸入禁止)令」において「特定の方式でのみ輸入可能な品目」として指定されており、輸入に際しては品目(HSコード)ごとに各機関からの許可が必要となっています(THIRD SCHEDULE)。魚種ごとに必要となるライセンスや許可の詳細は、THIRD SCHEDULEを参照してください。

活魚、活エビ、活カニの輸入の際には許可費用がかかります。
(1回あたり)
半島部:RM15.00、サバ州:RM5.00

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2020年9月

マレーシアでは「Dagang.Net」とよばれる 官庁間の統合通関登録システムが導入され、輸入申請から認可取得、通知、関税諸税、手数料などの支払い手続きが自動的に一括処理されています。

輸入ライセンス取得後、マレーシアへの輸出が決まった段階で統合通関登録システム「Dagang.Net」を通じて輸入登録を行います。登録料も同システム上で支払います。割当量が決まっている産品は割当量に空きがあれば認可が下ります。

植物、動物、と体、水産物、土壌および微生物を輸入する場合には、マレーシア検疫検査サービス局(MAQIS)への登録が制度上必要ですが、「Dagang.Net」に輸入登録した際に自動的に情報がMAQISに届く仕組みになっています。
輸入者は、水産品検疫の対象となる水産品(ピラニア以外のすべての水産物)をマレーシアへ輸入する際には、少なくとも貨物が到着する1カ月以上前に必要書類の提出などを行わなければなりません。具体的には、(1)輸入者登録、(2)申請書、産地証明書、到着船や到着便にかかわる情報、衛生証明書などを提出して、輸入許可証を取得することになります。
水産加工品については、商品ごとにマレーシア食品安全情報システム(FoSIM=Food Safety Information System of Malaysia)を通じて保健省食品安全品質管理部(Food Safety And Quality Division)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにオンライン登録を行う必要があります。 申請状況については、オンタイムで確認することができます。また登録内容は自動的に税関と共有されます。

保税区から商品を受け出す際、「Dagang.Net」を通じて取得したオリジナルの輸入登録証をプリントアウトしたものに加え、船荷証券(B/L)またはエアウエイビル(AWB)、インボイス、パッキングリスト(P/L)、荷渡し指図書(Delivery letter)、製品説明書(Leaflet)もしくはカタログなどの書類が必要となります。

なお、マレーシアへの食品の輸入に必要な書類は、次のとおりです。

  • 輸入申告書(K1フォーム)
  • インボイス
  • 梱包明細書(Packing List)
  • 船荷証券(B/L)または航空貨物運送状(Air Waybill:AWB、空輸の場合)
  • 輸入ライセンス(フォームJK69/必要であれば)
  • 特定原産地証明書(Certificate of Origin)(EPAの適用を受ける場合)
  • 荷渡し指図書(Delivery letter)
  • 製品説明書(Leaflet)もしくはカタログなどの書類
  • 衛生証明書

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2020年9月

マレーシアの空港や港湾で書類検査、現物検疫が行われ、不合格の場合、輸入は許可されません。

4. 販売許可手続き

調査時点:2020年9月

水産物を含めマレーシアの食品販売に関しては、販売店舗の形態に応じて外資企業に対する参入規制が存在します。国内取引・協同組合・消費者省(MDTCA :Ministry of Domestic Trade and Consumer Affairs)は2020年2月、さらなる規制緩和策を盛り込んだ最新版「流通取引・サービスへの外国資本参入に関するガイドライン(Guidelines on Foreign Participation in the Distributive Trade Services Malaysia、MDTCAガイドライン)」を公表しました。百貨店、スーパーマーケット、スーパーストアなど小売店の種類に応じて外資企業の参入規制が定められています。

水産物をマレーシア国内で販売する場合、日本企業を含めて外資が51%以上出資する企業は卸売・小売許可(WRTライセンス)を取得する必要があります。
WRTライセンスは国内取引消費者行政省(KPDNKK)に申請します。
最低払込資本金は100万リンギ以上が条件。卸売業、小売業、フランチャイズ、直販、国内市場向けサプライヤー、国際貿易業者の現地代理人などを含む流通サービス業が対象となります。
Business Licensing Electronic Support System(BLESS)を通じてオンライン申請することができます。企業概要、ビジネスプラン、役員のリスト(会社委員会=SSM登記書コピー)、内国歳入庁(IRB)登録書コピーが必要です。
このほかマレーシア資本か外資かに関係なく、事務所や店舗を置く地方自治体(市、郡など)から、PBTとよばれる開業ライセンスを取得する必要があります。
販売ライセンスを申請する場合には、基本的に次の書類が必要です。

  • 会社の登記書
  • 会社委員会(CCM)における覚書および定款、会社登録証明のフォーム24、44、49のコピー(フォーム24〜資本金&株主構成、フォーム44〜事業所の所在地や営業時間、フォーム49〜取締役リスト)。

5. その他

調査時点:2020年9月

なし

マレーシア内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2020年9月

日本からマレーシアへの輸出に際して、関税は次の3種類に区分されます。

  • マレーシアが国外からの輸入品に課している一般的な関税(PDK: Perintah Duti Kastam)による区分
  • 日本・マレーシア経済連携協定(JMEPA: Japan-Malaysia Economic Partnership Agreement)による区分
  • 日本・ASEAN包括的経済連携(AJCEP: Comprehensive Economic Partnership between Japan and ASEAN)による区分

水産物の関税率は、それぞれ次のとおりです。
HS0301~0304、0308:0%(PDK、JMEPA、AJCEP)
HS0305:0~7%(PDK)、0%(JMEPAまたはAJCEPの適用税率)
HS0306:0~8%(PDK)、0%(JMEPAまたはAJCEPの適用税率)
HS0307:0~10%(PDK)、0%(JMEPAまたはAJCEPの適用税率)

2. その他の税

調査時点:2020年9月

マレーシアでは、2018年6月から物品・サービス税(GST)が廃止され、同年9月から売上・サービス税(SST)が導入されています。水産物のSST税率は次のとおりです。

HS0301:0%
HS0305:0~10%
HS0306, HS0307:0~5%

3. その他

調査時点:2020年9月

なし

その他

調査時点:2020年9月

ハラール認証
マレーシアはイスラーム教を国教として定めており、ハラール認証を取得する場合の制度が整備されています。食品全般のハラール認証基準については、「MS 1500: 2009ハラール食品の生産、取り扱い、保管における基準― 総合ガイドライン(改訂第2版)」で定められています。
この基準などに基づき、ハラール認証が必要なものについては、マレーシア国内では、政府機関であるマレーシア・イスラーム開発庁(JAKIM:Jabatan Kemajuan Islam Malaysia)がハラール認証を行っており、ハラール認証を取得した商品や店舗には、ハラール認証マークの表示が許可されます。ハラール認証は強制ではありませんが、輸入者から取得を希望されるケースもあります。
輸出の場合、JAKIMが認めたハラール認証団体は「THE RECOGNISED FOREIGN HALAL CERTIFICATION BODIES & AUTHORITIES」に掲載されていますので、製造国において本リストに掲載されている団体からハラール認証を取得する必要があります。