日本からの輸出に関する制度

青果物の輸入規制、輸入手続き

ベトナムの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年9月

青果物は、ベトナム植物保護局のウェブサイトに掲載の「日本からの輸入が許可される植物検疫対象の一覧表」に規定される対象品目である場合、植物検疫を経て、ベトナムに輸入することができます。各対象には、対応する植物検疫条件を規定する個別文書があるため、その文書の条件を満たす必要があります。例えば、日本のリンゴ(Malus pumila)の植物検疫条件は、「日本からのリンゴ(Malus pumila)の植物検疫条件を定める文書」に規定され、日本のなし(Pyrus pyrifolia)の植物検疫条件は、「日本からのなし(Pyrus pyrifolia)の植物検疫条件を定める文書」に規定されていますが、りんごおよびなしを除く青果物は植物検疫条件が定められていないため、実務上ベトナムに輸出することができません。レタスは植物検疫検査を受ければ輸出が可能です。
りんご・なし・レタス以外の青果物をベトナムに輸入する場合、病害虫リスク分析手続きをベトナム植物保護局に請求する必要があります〔病害虫リスク分析(PRA)の手続きを定める通達36/2014/TT-BNNPTNT〕。 「外国貿易管理法の施行細則を定める政令69/2018/ND-CP」の別表1の2において輸入禁止となる物品が列挙されていますが、青果物は対象外です。また、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う輸入規制は、既に撤廃されています。

関連リンク

関係省庁
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ベトナム農業農村開発省(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ベトナム商工省(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
外国貿易管理法の施行細則を定める政令69/2018/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
植物検疫の対象のリスト、ベトナムに輸入する前に害虫リスク分析の対象となる植物検疫物体のリスト、ベトナムへの輸入前に毒害分析すべき植物検疫の対象リストを定める通達30/2014/TT-BNNPTNT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(24KB)
病害虫リスク分析(PRA)の手続を定める通達36/2014/TT-BNNPTNT(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(862KB)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(504KB)
日本からの輸入可能がある植物検疫を得なければならない対象の一覧表(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(506KB)
日本からのリンゴ(Malus pumila)の植物検疫条件を定める文書(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(388KB)
日本からのなし(Pyrus pyrifolia)の植物検疫条件を定める文書(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.2MB)
その他参考情報
農林水産省 ベトナムにおける植物由来の輸入食品の規制緩和についてPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(49KB)
農林水産省 ベトナム向け日本産りんご生果実の新たな植物検疫条件での輸出解禁について外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省 ベトナム向け日本産なし生果実の輸出植物検疫条件の合意についてPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)152Kb
農林水産省 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う各国・地域の輸入規制強化への対応外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2. 施設登録、商品登録、輸入許可等(登録に必要な書類)

調査時点:2021年9月

「政令15/2018/ND-CP」第6章によると、植物由来の輸入食品の場合、輸出国の所轄機関は、ベトナムへ輸出する国としての登録手続きを行う必要があります(加工・包装済み食品の場合、同政令第13条に定める輸入食品安全検査の免除対象に該当する場合は除きます)。当該登録について、日本は2013年12月16日にベトナム農業農村開発省により承認されたので、当該条件を満たしています。

農業農村開発省が管轄する農産物に対しては、輸出国で発行された自由販売証明書(Certificate of Free Sale:CFS)の提出が要求されます〔外国貿易管理法の施行細則を定める政令69/2018/ND-CP〕。 「自由販売証明書(Certificate of free sale)」とは、輸出相手先国の通関関係機関などから入手する、輸出された食品が輸出国国内において問題なく流通していることを証明する書類です。日本では、同証明書は農林水産省の各地方農政局で発行しています。取得方法については関連リンクの「その他参考情報」の「輸出食品に関する自由販売証明書の発行申請について」(農林水産省)を参照してください。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年9月

植物検疫保護法第25条第2項および「農業農村開発省の管理管轄における商品に対するHSコード一覧表を定める通達15/2018/TT-BNNPTNT」の付録Iの第11項目(ベトナムの植物検疫の対象に属する商品のHSコード一覧表)および「植物検疫の対象のリスト、ベトナムに輸入する前に害虫リスク分析の対象となる植物検疫物体のリスト、ベトナムへの輸入前に毒害分析すべき植物検疫の対象リストを定める通達30/2014/TT-BNNPTNT」第1条第1項および第2項に基づき、青果物は、ベトナムに輸入する前に、植物検疫および害虫のリスクの分析を受ける必要がある植物検疫の対象に該当します。
ベトナムにおける植物検疫では、所定の書式の植物検疫申請書および輸出国の植物検疫機関が発行した植物検疫証明書をベトナムの植物検疫当局に提出する必要があります。植物検疫に合格すると、植物検疫当局により検疫証明書が発行されます。植物検疫申請書類を検討する際、害虫のリスクが発見された場合、その植物の輸入は許可されず、輸出国および関連する組織や個人の管轄の植物検疫機関に書面で通知します。

関連リンク

ベトナムの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年9月

青果物に関しては、ベトナムの国家規格(強制適用される「QCVN」)として、「製造・前処理における食品安全確保条件を充足する新鮮な野菜・果物・茶に関するQCVN 01-132:2013/BNNPTNT」が定められています。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2021年9月

青果物は、残留農薬規制の対象となります。ベトナムでは使用される農薬についてポジティブリスト制を採用しており、「食品中に含まれる農薬の最大許容量を規定する保健省通達50/2016/TT-BYT」の付録において、農薬および食品の種類ごとにADI値(日常許容摂取値)およびMRL値(最大残留許容値)が定められています。法令に記載されていない農薬の残留は認められていません。

*このほか、「食品中にある有毒菌類の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-1:2011/BYT」で有毒菌類、「食品中にある微生物の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-3:2012/BYT」で微生物、「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第7章および「溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN18-1:2015/BYT」で食品の製造助剤許容値についても規制しています。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年9月

青果物は、重金属および汚染物質規制の対象となります。最大残留基準値は、「食品中の重金属の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-2:2011/BYT」の第2章において規定されています。
「食品中の重金属の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-2:2011/BYT」の第2章では、6種類(ヒ素、カドミウム、鉛、水銀、メチル水銀、スズ)について、食品の種類ごとにMRL値(最大残留許容値)が定められています。法令に記載されていない重金属の含有は認められていません。

青果物における重金属のMRL値は次のとおりです。

ヒ素:
1.0(mg/kg)(乾燥の青果物)
カドミウム:
アブラナ・ネギ・果菜類(トマト、キノコを除く):0.05(mg/kg)
葉菜類・キノコ:0.2(mg/kg)
マメ科・根菜類(セロリおよびジャガイモを除く):0.1(mg/kg)
鉛:
アブラナ(ケールを除く)・葉菜類(ホウレンソウを除く)・キノコ:0.3(mg/kg)
ネギ・果菜類(キノコを除く)・根菜類(皮をむいたジャガイモを含む)・熱帯果物・かんきつ類・ナシ属・リンゴ属・核果:0.1(mg/kg)
マメ科・ベリー:0.2(mg/kg)
乾燥の青果物:2.0(mg/kg)
缶詰の青果物:1.0(mg/kg)
スズ:
250(mg/kg)(缶詰の青果物)

このほか、「食品中にある有毒菌類の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-1:2011/BYT」で有毒菌類、「食品中にある微生物の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-3:2012/BYT」で微生物、「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第7章および「溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN18-1:2015/BYT」で食品の製造助剤許容値についても規制をしています。

4. 食品添加物

調査時点:2021年9月

青果物は、食品添加物規制の対象となります。
ベトナムで使用可能な食品添加物リストおよび使用対象食品ごとにおけるその最大許容値(ML値)は「保健省通達24/2019/TT-BYT」で定められています。ポジティブリスト形式で規定されているため、同リストに記載のない食品添加物の使用、販売、輸出入は認められません。
また、食品添加物は、次の(1)および(2)に該当する場合に限り、使用することができます。

  1. ヒトの健康に損なうおそれがなく、消費者を欺くことなく、必要とされる効果を発揮する。
  2. 次のア~ウの目的を達成するために、より経済的かつ技術的に効果のあるその他の方法がない。
    ア、食品の栄養価値の維持
    イ、食品の品質・安定性維持の強化または感覚刺激性の改善(消費者を欺く性質・品質の変更を伴わないもの)
    ウ、食品の製造・輸送の補助(低品質な原材料の使用または不適切な製造・技術により発生する影響を隠す目的ではないもの)

新たな効果がある混合食品添加物、前述のリストに記載のない食品添加物、または前述のリストに記載される使用対象食品以外の食品への食品添加物の使用については、使用または販売する前に、「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第6条~第8条による商品公表書登録手続きを行う必要があります。

このほか、「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第7章および「溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN 18-1:2015/BYT」において食品の製造助剤許容値についても規制しています。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年9月

輸出食品の包装および容器は、「食品と接触する容器・包装に対する安全衛生の国家技術規格を定める通達34/2011/TT-BYT」および「食品に直接接触するガラス、陶磁器等の容器・包装に関する通達35/2015/TT-BYT」に添付の各品質基準に合致することが求められます。合成樹脂、ゴム、金属それぞれの材料により安全衛生の国家技術規格が異なるため注意する必要があります。

また、食品に直接接触するプラスチック容器の場合は、次の基準を満たすことが求められています。

  1. ポリエチレンに関する基準TCVN6514-1:1999(AS2070-1:1995(E))
  2. ポリ塩化ビニルに関する基準TCVN 6514-2:1999 (AS 2070 – 2 : 1993(E))
  3. スチレンのプラスチック材料に関する基準TCVN 6514-3:1999 (AS 2070 – 3 : 1993 (E))
  4. アクリロニトリルのプラスチック材料に関する基準TCVN 6514-4:1999 (AS 2070 – 4 : 1993(E))
  5. ポリプロピレンに関する基準TCVN 6514-5:1999(AS 2070 – 5 : 1993(E))
  6. 着色剤に関する基準TCVN 6514-6:1999(AS 2070 – 6 : 1993(E))
  7. ポリ塩化ビニリデンに関する基準TCVN 6514-7:1999(AS 2070 – 7: 1993(E))
  8. その他の添加剤に関する基準TCVN 6514-8:1999(AS 2070 – 8: 1992(E))

なお、食品をベトナムに輸出後に、ベトナムにおいて包装および容器に封入する場合、当該包装および容器は、これらの規定に従うほか、商品自己公表手続きが必要となる場合があります(「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第4.1条)。

詳細は「輸入手続き_4.販売許可手続き」をご確認下さい。

関連リンク

関係省庁
ベトナム保健省(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品と接触する容器・包装に対する安全衛生の国家技術規格を定める通達34/2011/TT-BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するガラス、陶磁器等の容器・包装に関する通達35/2015/TT-BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
QCVN 12-1:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
QCVN 12-2:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
QCVN 12-3:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
QCVN 12-4:2015-BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品中にある有毒菌類の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-1:2011/BYT(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(816KB)(米国農務省・英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(372KB)
食品中の重金属の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN 8-2:2011/BYT(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1250KB)(米国農務省・英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(372KB)
食品中にある微生物の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-3:2012/BYT(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(656KB)
溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN18-1:2015/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(米国農務省・英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(687KB)
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 1:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 2:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 3:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 4:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 5:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 6:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 7:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレンや添加物など)に関する基準TCVN6514- 8:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
「Standard Number」に「TCVN6514」と入れて検索してください。
ジェトロ「海外向け食品の包装制度調査(EU、TPP、米国、中国、韓国、台湾、インド、タイ、インドネシア、GCC、メルコスール)」(2020年3月)

6. ラベル表示

調査時点:2021年9月

青果物のラベル表示は、「商品のラベル表示に関する政令43/2017/ND-CP」および「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」により規定されています。表示義務項目は次のとおりです。

  1. 商品名
  2. 商品に責任を有する組織あるいは個人の名称と住所(輸入食品の場合は、製造者である組織・個人および商品自己公表もしくは商品公表書登録手続きを行った組織・個人の名称と住所)
  3. 原産地
  4. 内容量(正味重量)
  5. 製造年月日
  6. 賞味期限
  7. 成分または定量の成分
  8. 使用方法および保管方法
  9. 衛生・安全性に関する情報、警告

ラベルには、ベトナム語による表記が義務付けられています。また、遺伝子組み換え食品のラベル表示については、「農業農村開発省-科学技術省共同通達45/2015/TTLT-BNNPTNT-BKHCN」に規定されています。

7. その他

調査時点:2021年9月

ベトナムで販売する青果物の衛生規制は「食品安全法」で定められています。
同法によれば、ベトナムの国家レベルでの食品安全管理は、主に保健省が担っています。保健省は食品安全に関する食品包装、食品容器の国家技術規定の公布や、加工食品にかかる食品添加物、食品加工助剤などについての管理権限も有しています。ただし、青果物の食品安全管理については、農業農村開発省が担っています。
「食品安全法」の施行細則を定める「政令15/2018/ND-CP」の第6章に基づいて、輸入される食品、食材、食品添加物、食品加工助剤、食品包装用具、食品包装材、食品容器など、すべてが検査対象となります。ただし、展示会サンプル用の食品など、検査対象外の場合もあります。
輸入される青果物の検査の方法、手続きについては、「輸入手続き」の「2.輸入時の検査」を参照してください。
なお、「食品安全法」第38条第2項によると、青果物が遺伝子組み換え作物である場合は、自由販売証明書(CFS)の提出などが別途必要となります。

ベトナムでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2021年9月

「外資企業の商品売買活動等に関する商法および外国貿易管理法の細則を定める政令09/2018/ND-CP」の第3条第1項および第5条によれば、日本から青果物を輸入するにあたって、外資企業は事前に商工省から外資企業の営業許可書(輸入)を取得する必要はありません。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年9月

財務省通達38/2015/TT-BTC(同省通達39/2018/TT-BTCおよび通達81/2019/TT-BTCにより改正)では、一般的な通関検査、通関手続きなどを規定しています。
通関申告は通関データ処理システム(VNACCS)を用いてオンラインで行われ、申告書、インボイス、船荷証券、価値申告書、商品証明書といった書類が通関申告の登録のために必要になります。通関申告の登録が承認された場合、VNACCSによって申告番号が付与されます。その後、通関に必要な検査内容(審査・検査なし、書面審査、貨物検査の3レベルがあります)が決定され、VNACCS上で通知されます。また、通関には、植物検疫、食物安全検査などに合格し、必要な要件をすべて満たしていること、関税などがすべて納付されることが必要となります。
なお、税関職員の裁量と慣行によって、実際には法令とは異なる手続きがなされる場合があることにも注意する必要があります。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年9月

青果物は、輸入時の食品安全検査の対象となります。「農業農村開発省の管轄範囲に属する輸出入の商品のHSコード一覧表に関する通達15/2018/TT-BNNPTNT」の付録1第12項目によると、青果物は輸入時の食品安全検査対象となります(ただし、商品公表書登録の受取書が発行された商品など、「政令15/2018/ND-CP」第13条に定める場合は、この検査が免除されます)。
食品安全検査の方式としては、通常検査、簡易検査および厳重な検査があります。原則として通常検査が適用されますが、次に該当する場合は、簡易検査または厳重な検査が適用されます。

  1. 簡易検査の適用
    1. ベトナムが加盟している食品安全相互認定に関する国際条約を締結している国の機関、組織により食品安全に関する要求に到達していると認定された場合;ベトナム法令に適合する輸入ロットおよび商品に対する輸出国の権限のある機関による検査結果がある場合。
    2. 12カ月以内に通常検査により輸入要件合格通知書を連続で3回取得した商品。
    3. GMP、HACCP、ISO22000、IFS、BRC、FSSC22000の品質管理基準またはそれと同等の基準を適用している事業所で生産された商品。
  2. 厳重な検査の適用
    1. 前回の検査における輸入要求レベルに到達していなかった輸入ロットおよび商品。
    2. 前の審査、監査(ある場合)において基準に満たさなかった輸入ロット、商品。
    3. 保健省、農業農村開発省、商工省、省級の人民委員会または権限を有する外国の機関あるいは生産業者からの警告がある場合。

なお、前述の2.のiおよびiiについて厳重検査を連続3回合格した場合、または前述の2.のiiiについて、保健省、農業農村開発省もしくは商工省から厳重検査適用の停止通知書がある場合において、厳重検査から通常検査に変換されます。
食品安全検査を申請する際の書類として、次のものを検査実施機関に提出します(通常検査の場合)。

  1. 食品安全検査申請書(正本)
  2. 商品自己公表書
  3. パッキングリストの写し

食品安全検査の手段としては、書類検査ですが、厳重な検査の場合はサンプル検査も行われます。
食品安全検査に合格すると、輸入要件合格通知書が発行されます。輸入者は同通知書を関税当局に提出します。

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年9月

青果物の販売にあたっては、次の手続きが求められます。

1. 食品安全要件充足施設証明書

食品安全法(マスタープランに関連する11法律の一部の条項を改正・補足する法律 28/2018/QH14により一部改正)の第34条および「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第11条および第12条によれば、包装済み食品を販売する場合およびホテルにおけるレストランの場合などを除き、食品を製造または販売する企業は、食品安全要件充足施設証明書の取得が必要です。
食品安全要件充足施設証明書の取得の条件は、食品安全法の第34条に規定されます。

2. 商品自己公表または商品公表書登録

「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」によると、加工食品、食品添加物、食品加工助剤を輸入する企業は、商品自己公表手続きを行う必要があります。
商品自己公表に際しては、(i)所定の書式による商品自己公表書、および(ii)商品テスト結果が必要となります。商品テスト結果は12カ月以内に実施されたもので、ベトナム当局が承認するか所定の研究機関が定める技術基準に基づくテストでなければなりません。事業者は、これらの書類をマスメディアまたは自社のウェブサイトもしくは所在地において公表し、かつ当局へ直接あるいは郵便で送付します。それを受領した当局は、当局のウェブサイトに事業所名および公表された商品名を掲載します。

ただし、輸出用商品の加工もしくは個人・組織内使用のために輸入する商品または原料については、商品自己公表手続きを行う必要はありません。

3. 輸入・販売事業者の要件

ベトナム企業と外資企業で根拠法令が異なります。
ベトナム企業の場合は特別な規制の対象品目を除き、別途輸入許可申請を行うことなく食品を輸入できます。
外資企業の場合は活動許可書(計画投資局からの投資ライセンス)にベトナムのWTO加盟以降「輸入・流通業務」の追加手続きがなされていることが条件となります(「外国貿易管理法の施行細則を定める政令69/2018/ND-CP」の第3条)。
また、「外資企業の流通関連ビジネスに関する商法施行政令09/2018/ND-CP」の第5条によれば、外資企業は、青果物の輸入および卸売販売について事前に営業許可書(輸入、卸売販売)を取得する必要はありませんが、小売販売については事前に商工局から外資企業の営業許可書(小売販売)を取得しなければなりません。また、小売店舗を設立する場合は、営業許可書に加え、同政令第22条ないし第29条に基づき、商工局から小売店舗の設立許可証を取得する必要があります。

卸売業・小売業でベトナムに進出する場合については、関連リンク「その他参考情報」の「卸売業・小売業で進出する際の留意点:ベトナム」(ジェトロ)を参照してください。

5. その他

調査時点:2021年9月

なし

ベトナム内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年9月

ベトナムに輸入される青果物は関税の対象となります。
関税額は、CIF価格を基準に計算されます。
優遇税率(「政令122/2016/ND-CPおよび政令125/2017/ND-CPを改正、補足する政令57/2020/ND-CP」に添付された輸入税表)適用の場合青果物にかかる最恵国税率(MFN)は、0~30%となります。
EPA税率適用の場合の青果物の特別優遇輸入関税率
日本から輸入する場合は日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)、日本・ベトナム経済連携協定(VJEPA)の税率を適用することができます。「政令160/2017/ND-CP」および「155/2017/ND-CP」に基づき、青果物の特別優遇輸入関税率は次のとおりです。

青果物の特別優遇輸入関税率

  • HSコード0701.10~0709.99:野菜
AJCEP適用税率 (%)
HSコード 2018年1月1日-2018年3月31日 2018年4月1日-2019年3月31日 2019年4月1日-2020年3月31日 2020年4月1日-2021年3月31日 2021年4月1日-2022年3月31日 2022年4月1日-2023年3月31日
0701.10, 0703.10.11, 0703.10.21, 0703.20.10, 0703.90.10, 0 0 0 0 0 0
0708 11 9 8 6 4 2
0709 1 0 0 0 0 0
その他 8 6 5 4 3 1
VJEPA適用税率 (%)
HSコード 2018年1月1日-2018年3月31日 2018年4月1日-2019年3月31日 2019年4月1日-2020年3月31日 2020年4月1日-2021年3月31日 2021年4月1日-2022年3月31日 2022年4月1日-2023年3月31日
0701.10, 0703.10.11, 0703.10.21, 0703.20.10, 0703.90.10, 0 0 0 0 0 0
0708 13 11 9 7.5 6 4
0709 3 1 0 0 0 0
その他 9 7.5 6 5 4 2.5
  • HSコード0801.11~0814.00:果物
AJCEP適用税率 (%)
HSコード 2018年1月1日-2018年3月31日 2018年4月1日-2019年3月31日 2019年4月1日-2020年3月31日 2020年4月1日-2021年3月31日 2021年4月1日-2022年3月31日 2022年4月1日-2023年3月31日
0801.31 5 0 0 0 0 0
0801.21, 0801.22, 0804.40, 0805 11 9 8 6 4 2
0806 9 8 6 5 3 2
0808.10 8 6 5 4 3 1
0808.30, 0808.40 9 8 6 5 3 2
0809.10~ 0809.29 13 11 9 7 4 2
0810.10~0810.50 1 0 0 0 0 0
0810.60~0810.90 15 13 10 8 5 3
0811.10-0813.50 15 13 10 8 5 3
0814.00 8 6 5 4 3 1
VJEPA適用税率 (%)
HSコード 2018年1月1日-2018年3月31日 2018年4月1日-2019年3月31日 2019年4月1日-2020年3月31日 2020年4月1日-2021年3月31日 2021年4月1日-2022年3月31日 2022年4月1日-2023年3月31日
0801.31 1 0.5 0 0 0 0
0801.21, 0801.22, 0804.40, 0805 13
(0805.21~
0805.29は5.5 )
11
(0805.21~
0805.29は3 )
9
(0805.21~
0805.29は0 )
7.5
(0805.21~
0805.29は0 )
6
(0805.21~
0805.29は0 )
4
(0805.21~
0805.29は0 )
0806 11 9 8 6 5 3
0808.10 4 2 0 0 0 0
0808.30, 0808.40 4.5 2 0 0 0 0
0809.10~ 0809.29 15 13 11 9 7 4
0810.10~0810.50 3
(0810.50は2 )
1 0 0 0 0
0810.60~0810.90 17.5 15 12.5 10 7.5 5
0811.10-0813.50 17.5 15 12.5 10 7.5 5
0814.00 9 7.5 6 5 4 2.5

なお、AJCEP・JVEPAの適用を受けるためには、原産地基準を満たす必要があり、また、各協定の引下げスケジュールを確認する必要があります。加えて、日本からベトナムへの青果物の輸入については、輸入割当など、輸入数量の制限は設けられていません。

2019年1月14日にCPTPPが発効されました。CPTPP(TPP11)の特別優遇税率の適用を受けるためには、次の条件をすべて満たしている必要があります。

  • 「政令57/2019/ND-CP」に添付される優遇輸入関税の商品リストに該当すること
  • 日本(またはほかの締約国)からベトナムへ輸入されること
  • 日本(またはほかの締約国)からベトナムに直接出荷される商品であること
  • CPTPPの商品の原産地に関する規定を満たし(品目別規則などは「通達03/2019/TT-BCT」(「通達06/2020/TT-BCT」により一部改正)に規定)、生産者または輸出者が自ら原産性を証明すること(※)

※CPTPPは自己申告制度のため、生産者または輸出者が自ら原産地証明書を作成し、ベトナム輸入時に税関に提出します。ベトナムでは輸入者が作成する原産地証明書はまだ認められていません(協定本文第3.20条第1項注2)。また、日本商工会議所の特定原産地証明書の発給は行われません。
※ベトナムから日本に輸入する場合は、商工省管轄の発給機関でCOフォーム(フォームCPTPP)発給を受ける(協定本文 付属書三-A 5項(b))か、または日本の輸入者が自ら作成し、日本輸入時に税関に提出するかのいずれかとなり、日本からベトナムに輸出する場合と手続きが異なります。
「政令57/2019/ND-CP」によると、日本から輸入する青果物のCPTPPに基づく2021年および2022年の特別優遇輸入関税率は次のとおりです。

HSコード0701.10~0709.99:野菜
HSコード 税率(%)
2021年1月1日- 2021年12月31日 2022年1月1日- 2022年12月31日
0701.10~0709.99 0 0
HSコード0801.11~0814.00:果物
HSコード 税率(%)
2021年1月1日- 2021年12月31日 2022年1月1日- 2022年12月31日
0801.11~0805.10.10, 0805.21.00~0805.50.20, 0806.10.00~0812.90.90 0813.20.00, 0813.40.10~0813.40.90 0 0
0805.10.20 6.6 3.3
0805.90.00 13.3 6.6
0813.10.00 10 5
1102.90.90 0 0
0813.30.00 10 5
0813.50.10~0813.50.90 10 5
0814.00.00 3.3 1.6

関連リンク

関係省庁
ベトナム税関総局(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ベトナム商工省(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
関税法54/2014/QH13(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(258KB)
輸入クオータ枠を超える輸入量に対する輸入税率および品目、混合税・上限税率および品目、優遇輸入税率表、輸出税率表について規定する政令122/2016/ND-CP(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)12.1MB(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(248KB)
政令122/2016/ND-CPを改正、補足する政令125/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
政令122/2016/ND-CPおよび政令125/2017/ND-CPを改正・補足する政令57/2020/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※当該政令が長いため、全文は8つのPDFに分けて掲載されています。
VJEPAの特別優遇税率を規定する政令155/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税率表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(6.4MB)
AJCEPの特別優遇税率を規定する政令160/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※税率表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(18.3MB)
CPTPPに基づく2019年~2022年の特別優遇税率を規定する政令57/2019/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※該当の政令が長いため、全文は8つのPDFに分けて掲載されています。
CPTPPの原産地規則を規定する通達03/2019/TT-BCT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
通達03/2019/TT-BCTを改正・補足する通達06/2020/TT-BCT(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)828KB
その他参考情報
経済産業省 AJCEP外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
経済産業省 JVEPA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
世界各国の関税率(World Tariff)
ジェトロ ベトナムにおける関税率PDFファイル(262KB)
ジェトロ 関税制度

2. その他の税

調査時点:2021年9月

ベトナムにおいて、青果物に関する付加価値税(VAT)の取り扱いは、次のとおりとなります。

1. 輸入時

日本からベトナムへ輸入される生あるいは未加工の青果物および、前処理が施された青果物(※)については、輸入VATが免除されます。これら以外の青果物加工品には、10%の輸入VATが課されます。

2. 国内販売時

生あるいは未加工の青果物および、前処理が施された青果物(※)をベトナム国内で販売する場合は、5%のVATが課されます。これら以外の青果物加工品をベトナム国内で販売する場合は、10%のVATが課されます。 なお、輸入者が輸入時に支払ったVATについては、控除を受けることが可能です。具体的には、国内販売時に買い手から受け取るVATから、支払済みの輸入VATを控除した金額を納税することになります。なお、輸入VATが売り手から受け取るVATより大きい場合は、翌課税期間への繰り越しが可能です。

※前処理が施された青果物とは、清浄、乾燥、皮むき、製粉、脱殻、カット、塩漬け、冷蔵保存(冷却または冷凍)、亜硫酸ガス、亜硫酸水またはほかの溶液で保存したもの、その他の共通の保存手段によるものを指します。

3. その他

調査時点:2021年9月

ベトナムには特別消費税がありますが、青果物は対象外となっています。

その他

調査時点:2021年9月

なし