日本からの輸出に関する制度

アルコールの輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義するアルコール飲料のHSコード

2203.00:
ビール
2204.10:
ぶどう酒(強化ぶどう酒を含むものとし、生鮮のぶどうから製造したものに限る)およびぶどう搾汁(第20.09項のものを除く) ― スパークリングワイン
2204.21:
ぶどう酒(強化ぶどう酒を含むものとし、生鮮のぶどうから製造したものに限る)およびぶどう搾汁(第20.09項のものを除く) ― その他のぶどう酒およびぶどう搾汁でアルコール添加により発酵を止めたもの ― 2リットル以下の容器入りにしたもの
2204.22:
ぶどう酒(強化ぶどう酒を含むものとし、生鮮のぶどうから製造したものに限る)およびぶどう搾汁(第20.09項のものを除く) ― その他のぶどう酒およびぶどう搾汁でアルコール添加により発酵を止めたもの ― 2リットルを超え10リットル以下の容器入りにしたもの
2204.29:
ぶどう酒(強化ぶどう酒を含むものとし、生鮮のぶどうから製造したものに限る)およびぶどう搾汁(第20.09項のものを除く) ― その他のぶどう酒およびぶどう搾汁でアルコール添加により発酵を止めたもの ― その他のもの
2204.30:
ぶどう酒(強化ぶどう酒を含むものとし、生鮮のぶどうから製造したものに限る)およびぶどう搾汁(第20.09項のものを除く) ― その他のぶどう搾汁およびぶどう搾汁でアルコール添加により発酵を止めたもの ― その他のぶどう搾汁
2205.10:
ベルモットその他のぶどう酒(生鮮のぶどうから製造したもので、植物または芳香性物質により香味を付けたものに限る)― 2リットル以下の容器入りにしたもの
2205.90:
ベルモットその他のぶどう酒(生鮮のぶどうから製造したもので、植物または芳香性物質により香味を付けたものに限る)― その他のもの
2206.00:
その他の発酵酒(例えば、りんご酒、梨酒、ミードおよび清酒)ならびに発酵酒とアルコールを含有しない飲料との混合物および発酵酒の混合物(ほかの項に該当するものを除く) ※清酒は2206.00 02
2208.20:
エチルアルコール(変性させてないものでアルコール分が80%未満のものに限る)および蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料 ― ぶどう酒またはぶどう酒もろみの搾りかすから得た蒸留酒
2208.30:
ウイスキー(エチルアルコール(変性させてないものでアルコール分が80%未満のものに限る)および蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料)
2208.40:
ラムその他これに類する発酵したさとうきびの製品から得た蒸留酒(エチルアルコール(変性させてないものでアルコール分が80%未満のものに限る)および蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料)
2208.50:
ジンおよびジュネヴァ(エチルアルコール(変性させてないものでアルコール分が80%未満のものに限る)および蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料)
2208.60:
ウオッカ(エチルアルコール(変性させてないものでアルコール分が80%未満のものに限る)および蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料)
2208.70:
リキュールおよびコーディアル(エチルアルコール(変性させてないものでアルコール分が80%未満のものに限る)および蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料)
2208.90:
焼酎またはその他のもの(エチルアルコール(変性させてないものでアルコール分が80%未満のものに限る)および蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料- その他のもの)

メキシコの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2020年12月

アルコール飲料の衛生規格は、メキシコ公式規格(NOM-142-SSA1/SCFI-2014)として定められており、重金属やメタノールなどの有害物質の残留基準などが設定されています。また、NOM-199-SCFI-2017では各飲料の名称の定義、物理化学的特性などが定められており、この中でも各飲料の物理化学的特性、重金属やメタノールなどの含有基準などが規定されています。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2020年12月

アルコール飲料は、残留農薬および動物用医薬品の規制対象ではありません。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2020年12月

アルコール飲料の衛生規格(NOM-142-SSA1/SCFI-2014(スペイン語)およびアルコール飲料の名称・物理化学的特性・情報表示に関する規格(NOM-199-SCFI-2017)の中で重金属やメタノールの含有基準が定められています。

重金属の最大残留基準(MRL)は、鉛(Pb)が1リットル中0.5mg、ヒ素も同0.5mgとなっています。

メタノールの含有上限(MRL)は、醸造酒、蒸留酒とも100mlの無水アルコール中300mgとなっています。蒸留酒の場合は、アルデヒド類のMRLが無水アルコール100ml中40mg、フルフラール類のMRLが同5mg、高級アルコール類が同500mg(ウイスキーとコニャックのみ1,000mg)となっています。

なお、NOM-199-SCFI-2017では、アルコール飲料の種類に応じて、総酸度や水素イオン指数(pH)なども含め、より詳細な基準値が設定されています。

4. 食品添加物

調査時点:2020年12月

アルコール飲料は、食品添加物規制の対象となります。メキシコでは食品に使用される添加物についてポジティブリスト制を採用しており、食品・飲料・サプリメントの添加物・補助剤の使用・衛生措置について定める保健省令(2012年7月16日付官報公布)および同改定(2013年9月、2016年5月)で規制されています。同保健省令の別添リスト(ポジティブリスト)は定期的な見直しが行われており、保健省令として官報公布されていませんが、既に使用が認められている添加物を加えた最新のリストが、連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)のウェブサイト上で公開されています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2020年12月

アルコール飲料の容器・包装については、アルコール飲料の衛生規格(NOM-142-SSA1/SCFI-2014)に次のとおり定められています。

  • アルコール飲料の包装・容器としては、内容物との化学反応を引き起こすことなく、物理的・化学的・感覚的特性が変更されることがないような無害で丈夫な包装を用いる。
  • 容器の再利用は、滅菌などの措置により、商品の無害性が確保される場合にのみ許容される。
  • アルコール飲料の容器としては、瓶、ペットボトル、アルミニウム容器、ラミネートされた紙容器、ステンレスの樽、その他保健省が規則で定めた容器しか認められない。袋詰めなど、柔軟性のある容器に詰めて販売することは認められない。
  • 輸送包装としては、貨物の取り扱い・貯蔵・搬送に向いているだけでなく、内部の製品包装を外圧から適切に保護することができる素材を用いる。

6. ラベル表示

調査時点:2020年12月

すべてのアルコール飲料は、アルコール飲料の衛生規格(NOM-142-SSA1/SCFI-2014)、およびアルコール飲料の名称・物理化学的特性・情報表示に関する規格(NOM-199-SCFI-2017)に基づき、商品情報を表示する必要があります。表示しなければならない情報は、原則として次のとおりです。

  • 商品の名称・商標
  • 製造業者・輸入業者の名称・住所
  • 原産国
  • ロット番号
  • 賞味期限
  • アルコール度数
  • 原材料一覧
  • 警告表示(「本商品の過度な消費は健康を害します」)
  • ブランデーの場合、「Brandy」という名称と「100%ブドウ由来」を表示
  • 内容量

アルコール飲料を輸入する際、輸入者にはNOMが定める情報表示義務を果たすための手段として、次の選択肢があります。

  1. NOMに適合した情報表示(商品ラベル)を付けた商品を税関当局に提示し、通関の際に税関職員の確認を受ける。
  2. 指定検証機関(UVA)にあらかじめ商品ラベルや包装のサンプルを送付して「適合証書」を作成してもらい、同証書を輸入申告書に添付する。
  3. UVAでもある総合保税倉庫業者で商品ラベルを貼付することを宣誓し、同保税倉庫でラベルを添付する。
  4. 輸入通関後に特定の住所において商品ラベルを添付し、UVAの検証を受けることを宣誓したうえで通関する。通関後、30暦日以内にラベル貼付。同選択肢は、輸入業者登録を取得して2年以上で、かつ過去12ヵ月間で10万ドル以上の輸入額がある企業しか採用できない。

7. その他

調査時点:2020年12月

なし

メキシコ内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2020年12月

アルコールに対する一般(MFN)関税率は、品目によって異なります。メキシコ経済省の関税率検索サイト(SIAVI)でHSコードを基に調べることができます。

2005年4月に発効した日本・メキシコ経済連携協定(日墨EPA)を活用した場合は、多くの品目で関税が0%になりますが、アルコール度数が14度超23度以下の蒸留酒は関税削減の例外品目になっているなど、一部例外も存在します。

2018年12月に発効した環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、TPP11)を活用することもでき、段階的な関税削減スケジュールが適用されているワインを除けば既に関税がすべて撤廃されています。従って、アルコール度数14度超23度以下の焼酎は、TPP11を活用したほうが有利です。

日墨EPA、あるいはTPP11の適用を受けるには、原産地規則を満たす必要があり、原産地証明書が必要になります。日墨EPAの特定原産地証明書は、輸出者が日本商工会議所に対して発給申請をする必要がありますが、TPP11を活用する場合は、輸出者、あるいは生産者が自ら作成することができます。

2. その他の税

調査時点:2020年12月

メキシコでは輸入時に関税に加えて16%の付加価値税(IVA)が課税されます。
また、アルコール飲料については、アルコール度数に応じて次のとおり、生産サービス特別税(IEPS)が課税されます。

  • アルコール度数14度以下:26.5%
  • アルコール度数14度超20度以下:30%
  • アルコール度数20度超:53%

3. その他

調査時点:2020年12月

輸入者はアルコール飲料の輸入にあたって、関税だけでなく税関手数料(DTA)を納付する必要があります。一般(MFN)関税率を適用した輸入、あるいは日本・メキシコ経済連携協定(日墨EPA)を活用した場合のDTAは輸入申告価格(CIF価格)の0.8%であり、最低341ペソ(約1,800円、2020年12月時点)ですが、TPP11を活用した輸入の場合は定額制となり、1申告当たり341ペソが課税されます。