日本からの輸出に関する制度

調味料の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する調味料のHSコード

2103.10:
醤油
2103.20:
トマトケチャップその他のトマトソース
2103.30:
マスタードの粉およびミールならびに調製したマスタード
2103.90:
ソース、ソース用の調製品、混合調味料、マヨネーズその他のもの
2209.00:
食酢および酢酸から得た食酢代用物

メキシコの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2020年12月

メキシコでは、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響に起因した輸入禁止措置は採られていません。また、対象HSコードのうち、日本からの輸入が禁止されている品目はありません。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2020年12月

メキシコの調味料の輸入規制上、輸出者側の施設登録や事業者登録は求められません。

また、特に輸出者側で用意しておく書類はありませんが、輸入や販売に際してはラベル表示規格(NOM-051-SSA1/SCFI-2010)を満たす必要があるため、商品情報のスペイン語への翻訳などをしておく必要があります。

日本・メキシコ経済連携協定(日墨EPA)、あるいはTPP11の適用を受けるには、原産地証明書が必要になります。日墨EPAの特定原産地証明書は、輸出者が日本商工会議所に対して発給申請をする必要があります。詳しくは関連リンクの税関「原産地規則ポータル」を参照してください。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2020年12月

調味料の輸入は、動植物検疫の対象外です。

メキシコの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2020年12月

調味料の製品安全・衛生規格として、特別なメキシコ公式規格(NOM)は定められていません。ただし、商品情報表示(ラベル)規格としてNOM-051-SCFI/SSA1-2010が定められており、適切な情報表示を行う必要があります。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2020年12月

調味料は、残留農薬および動物用医薬品の規制対象ではありません。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2020年12月

調味料を対象とした重金属および汚染物質の最大残留基準(MRL)はありません。

4. 食品添加物

調査時点:2020年12月

調味料は、食品添加物規制の対象となります。メキシコでは食品に使用される添加物についてポジティブリスト制を採用しており、食品・飲料・サプリメントの添加物・補助剤の使用・衛生措置について定める保健省令(2012年7月16日付官報公布)および同改定(2013年9月、2016年5月)で規制されています。同保健省令の別添リスト(ポジティブリスト)は定期的な見直しが行われており、保健省令として官報公布されていませんが、既に使用が認められている添加物を加えた最新のリストが、連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)のウェブサイト上で公開されています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2020年12月

調味料の容器・包装については、食品に用いる包装素材の原則として、製品・サービス衛生管理規則の第211条に次のとおり規定されています。

  • 通常の使用環境において、素材をしっかり覆い、剥がれず、壊れず、内容物に混じることがない
  • 内容物に溶け込まず、反応を起こさない
  • 無害な物質である
  • 重金属を含有しない
  • 腐食しない
  • 酸やアルカリの特性を変質させない

6. ラベル表示

調査時点:2021年4月

調味料は、食品および非アルコール飲料の商品情報表示規格(NOM-051-SCFI/SSA1-2010)に基づき、商品情報を表示する必要があります。最低限表示しなければならない情報は、原則として次のとおりです。

  • 商品の名称
  • 原材料リスト
  • 内容量・固形量
  • 製造業者・輸入業者の名称・住所
  • 原産国
  • ロット番号
  • 消費期限・賞味期限
  • NOMマーク
  • 栄養成分表示
  • 警告表示(該当する場合、「過剰カロリー食品」など)
  • 成分調整食品などの場合、NOM-086-SSA1-1994に基づく分類標記、および栄養成分表示

減塩食品やナトリウムを減らした食品、脂肪分を減らした食品、コレステロールを減らした食品、カロリーを減らした食品、グルテンフリー食品、糖分を減らした食品など成分調整食品に該当する場合、一般的な食品の表示義務に加え、NOM-086-SSA1-1994に基づく商品分類表記や含有成分についての特別な表示が必要です。

2020年3月27日付官報で公布されたNOM-051-SCFI/SSA1-2010の改定に基づき、同年10月1日以降は、肥満などの原因となる栄養成分の警告表示が義務づけられるようになりました。食品包装に警告表示が必要な栄養成分は、カロリー、糖分、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、ナトリウムであり、その基準値は段階的に引き上げられます。カロリーとナトリウムは固形製品と液体製品で含有可能上限値が異なり、上限値はフェーズ1(2020年10月1日~2023年9月30日)、フェーズ2(2023年10月1日~2025年9月30日)、フェーズ3(2025年10月1日以降)と3段階で設定されています。

含有している指定栄養成分のいずれか1つでも上限値以上である場合、対象の食品・飲料の包装に当該栄養成分に関する警告表示を掲出します。メキシコ産について、2020年10月1日~2021年3月31日までは、包装に警告表示のシールを貼付する対応が認められていましたが、2021年4月1日からは包装自体に警告表示が印刷されていなければなりません。ただし、輸入品については引き続きシールを貼付する対応が認められています。

また、1つでも警告表示がある商品の包装に、商品購入意欲を高めることを目的としてキャラクターや有名人などの写真・絵を表示したり、おもちゃや割引券などのおまけを付けたりすることは禁止されます。

調味料を輸入する際、輸入者にはNOMが定める情報表示義務を果たすための手段として、次の選択肢があります。

  1. NOMに適合した情報表示(商品ラベル)を付けた商品を税関当局に提示し、通関の際に税関職員の確認を受ける。
  2. 指定検証機関(UVA)にあらかじめ商品ラベルや包装のサンプルを送付して「適合証書」を作成してもらい、同証書を輸入申告書に添付する。
  3. UVAでもある総合保税倉庫業者で商品ラベルを貼付することを宣誓し、同保税倉庫でラベルを添付する。
  4. 輸入通関後に特定の住所において商品ラベルを添付し、UVAの検証を受けることを宣誓したうえで通関する。通関後、30暦日以内にラベル貼付。同選択肢は、輸入業者登録を取得して2年以上で、かつ過去12ヵ月間で10万ドル以上の輸入額がある企業しか採用できない。

なお、メキシコに輸入される調味料が、専らメキシコで製造される加工食品の原材料として用いられる場合、あるいは外食産業向けに専ら利用されるものであり、小売販売されることが全くない商品の場合、2020年10月26日付の経済省の公文書に基づき、輸入申告時に特別な申告コードを入力することにより、商品情報表示なしで輸入することが可能です。

7. その他

調査時点:2020年12月

なし

メキシコでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2020年12月

日本から調味料を輸入するにあたって、輸入者は一般輸入業者登録が必要です。国税庁(SAT)にオンラインで申請しますが、連邦納税者登録(RFC)と電子署名(FIEL)を持ち、租税債務がなく、税務上の住所が登録されていなければなりません。法定審査期間は、申請から10営業日以内であり、行政手数料は無料です。

2. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2020年12月

日本から調味料を輸入するにあたっては、インボイスや船荷証券(B/L)など通常の必要書類以外に特別な書類は求められません。ただし、前述のラベル規格を満たしていること、あるいは輸入通関後に満たすことの証明が必要となります。

日本から調味料を輸入するにあたって、輸入者は一般輸入業者登録が必要です。国税庁(SAT)にオンラインで申請しますが、連邦納税者登録(RFC)と電子署名(FIEL)を持ち、租税債務がなく、税務上の住所が登録されていなければなりません。法定審査期間は、申請から10営業日以内であり、行政手数料は無料です。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2020年12月

調味料の輸入に際し、検査は必要ありません。

4. 販売許可手続き

調査時点:2020年12月

調味料の販売に際しては、連邦衛生リスク対策委員会(COFEPRIS)に対して、所定フォーマットで事業所の営業通知を行う必要があります。また衛生責任者を届け出る必要があります。

5. その他

調査時点:2020年12月

なし

メキシコ内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2020年12月

調味料に対する一般(MFN)関税率は、全ての品目で20%です。

調味料の中には、2005年4月に発効した日本・メキシコ経済連携協定(日墨EPA)を活用すると関税が0%になるものがありますが、関税削減の例外品目になっているものもあり、その場合はMFN関税率が適用されます。なお、トマトケチャップとトマトソースに関しては、関税割当の範囲内で関税が撤廃されます。

2018年12月に発効した環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、TPP11)を活用することもでき、TPP11を活用すると全ての品目で関税が0%となります(割当による制限もありません)。後述するように税関手数料(DTA)も定額制となるため、日本製の場合は日墨EPAではなくTPP11を活用した方が有利です。

日墨EPA、あるいはTPP11の適用を受けるには、原産地規則を満たす必要があり、原産地証明書が必要になります。日墨EPAの特定原産地証明書は、輸出者が日本商工会議所に対して発給申請をする必要がありますが、TPP11を活用する場合は、輸出者、あるいは生産者が自ら作成することができます。

日墨EPAを活用してトマトケチャップやトマトソースを輸入する場合は、メキシコ側の輸入者がメキシコ経済省に対して関税割当の申請をする必要があります。割当は先着順であり、割当申請と割当証明書の発給手続きの2種類を行う必要があります。双方ともメキシコ貿易手続き単一電子窓口(VUCEM)を通じて申請可能であり、VUCEMの関連ウェブサイトからマニュアル(スペイン語)がダウンロードできます。

2. その他の税

調査時点:2020年12月

メキシコでは輸入時に関税に加えて16%の付加価値税(IVA)が課税されますが、食品(牛乳以外の飲料や嗜好品、調理済み食品などを除く)に対する税率はIVA法第2-A条に基づき0%となっており、課税されません。

3. その他

調査時点:2020年12月

輸入者は調味料の輸入にあたって、関税だけでなく税関手数料(DTA)を納付する必要があります。一般(MFN)関税率を適用した輸入、あるいは日本・メキシコ経済連携協定(日墨EPA)を活用した場合のDTAは輸入申告価格(CIF価格)の0.8%であり、最低341ペソ(約1,800円、2020年12月時点)ですが、TPP11を活用した輸入の場合は定額制となり、1申告当たり341ペソが課税されます。