日本からの輸出に関する制度

牛乳・乳製品の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する牛乳・乳製品のHSコード

0401:
牛乳とクリーム(濃縮されておらず、砂糖やその他甘味料が添加されていない)
0402:
牛乳とクリーム(濃縮されている、または砂糖やその他甘味料が添加されている)
0403:
バターミルク、凝乳およびクリーム、ヨーグルト、ケフィア、その他発酵または酸性化された牛乳およびクリーム(濃縮されているか、味付けされているか、砂糖、甘味料、果物、ナッツ、もしくはココアが添加されているかどうかを問わない)
0404:
ホエイ(濃縮されているかどうか、砂糖やその他の甘味料が添加されているかどうかを問わない)および天然乳成分からなる製品(砂糖または他の甘味料が添加されているかどうかにかかわらず、他の項に含まれていない)
0405:
牛乳を原料としたバターやその他の油脂; デイリースプレッド
0406:
チーズおよびカード

具体的な製品の内容により異なる場合があるため、詳細は必ず確認してください。

関連リンク

米国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2023年7月

これまで米国は、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、県単位での輸入停止措置を講じていましたが、2021年9月22日に撤廃され輸出が可能となりました。

米国の食品安全基準に違反していないことの証明または米国側でのサンプリング検査などを課しています。輸入警告(インポートアラート)は米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)のウェブサイトで公開されていますが、その内容は頻繁にアップデートされているため、注意が必要です。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2023年7月

日本から乳製品を輸入するためには、米国食品医薬品局(FDA)に食品施設登録と事前通知などが必要となります。

【FDA食品施設登録】
バイオテロ法により、米国内でヒトや動物の消費に供するための食品を製造/加工・梱包・保管する米国内外の施設の所有者、経営者またはエージェントは、FDAに食品施設を登録することを義務付けられています。さらに食品安全強化法により、登録は偶数年の10月1日から12月31日の間に更新することが義務付けられています。
【FDA向け事前通知】
食品の到着までに事前通知を提出する必要があります。(連邦規則集第21巻第1.279(c):21 CFR Part1.279(c))
さらに、牛乳・乳製品は多くの場合、米国農務省(USDA)の管轄でもあり、日本からの乳製品輸入にはVSパーミット(USDAの動物検疫検査局であるAPHIS発行の獣疫許可)や証明書が必要となる場合があります。
また、牛乳およびクリームの輸入については、FDAが管理する連邦輸入牛乳法(Federal Import Milk Act:FIMA)の対象になり、FIMAに基づく輸入牛乳許可証が必要です。詳細は、「輸入手続き」の1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)も参照してください。
VSパーミットの要否は、各乳製品の種類や形態、殺菌方法、含まれている原材料などにより必要な許可やその取り扱いが細かく異なっているため、USDA APHISのデータベースであるVSパーミットアシスタントで確認してください。乳製品を含んだ菓子類についても同様です。

FIMAに基づく輸入牛乳許可証の発行にあたり、次の要求事項があります。

  1. 輸入時の一年以内の期間にすべての牛が健康であるということを実際に確認する必要があります。
  2. 輸入時に牛乳またはクリームが生の場合(低温殺菌で処理された場合を含む)、すべての牛は輸入の一年以内の期間にツベルクリン試験に合格する必要があります。
  3. 酪農場および牛乳またはクリームが処理される各工場は検査され、衛生基準が満たされている必要があります。
  4. 輸入時の生乳、生クリーム、低温殺菌牛乳、低温殺菌クリームの細菌数は制限を超えてはいけません。
  5. 輸入時の牛乳またはクリームの温度は50º F(10º C)を超えてはいけません。

また、次のカテゴリーに入る乳製品については輸入前の手続きが必要です。米国に輸出する前に、輸出業者、現地の輸入業者、通関業者などに輸入の適否も含め、確認してください。

密封容器(レトルトパウチや缶詰、瓶詰など)入りの低酸性缶詰食品(常温流通)と酸性化食品(常温流通)
○水分活性が0.85より高く、pHが4.6より高い、密封・常温で流通する食品は、低酸性缶詰食品として、連邦規則集第21巻第108条および第113条(21CFR Part108,113)が適用されます。当該食品を製造/加工、梱包する施設は、食品缶詰施設登録様式FDA-2541、またはオンラインのFDA産業システム(FDA Industry Systems)により施設(FCE)登録を行う必要があります。また、それぞれの食品、容器の大きさと種類、製造方法ごとに、殺菌条件などの製造工程に関する情報を様式FDA-2541d、もしくは2541f、2541gの適切なフォームでFDAに提出しなければなりません。
○水分活性が0.85より高く、酸または酸性食品を加えることによりpHを4.6以下の酸性状態にした加工食品を密封・常温で流通する場合は、酸性化食品として、連邦規則集第21条第108条および第114条(21CFR Part108,114)が適用されます。当該食品を製造/加工、梱包する施設は、食品缶詰施設登録様式FDA-2541、またはオンラインのFDA産業システム(FDA Industry Systems)により施設(FCE)登録を行う必要があります。また、それぞれの食品、容器の大きさと種類、製造方法ごとに、殺菌条件などの製造工程に関する情報を様式FDA-2541eでFDAに提出しなければなりません。

なお、一貫して冷蔵または冷凍で保存・流通する場合は、FCE登録や製造工程情報の提出は不要です。

関連リンク

関係省庁
米国食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省動植物検疫局(USDA APHIS)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
動物検疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
連邦規則集
連邦食品医薬品化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act:FD&C Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
連邦規則集
その他参考情報
米国農務省(USDA)から入手できる主な情報
食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2023年7月

USDA APHISにより輸出国政府発行の証明書が必要な乳製品は、日本の動物検疫所による輸出検疫を受けて輸出検疫証明書を取得することが必要です。証明書の要否は、USDA APHISのデータベースであるVSパーミットアシスタントで確認してください。
動物検疫の詳細は、関連リンクの動物検疫所のウェブサイト「乳製品の検疫開始について」を参照してください。

関連リンク

関係省庁
動物検疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
米国農務省(USDA)から入手できる主な情報
動物検疫所「乳製品の検疫開始について」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

米国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2023年7月

連邦規則集第21巻第1240.3条(21CFR Part1240.3) 「一般的定義」そして第21巻第131条(21CFR Part131)により、乳製品とは健康な乳生産動物から得られた乳汁分泌物、またはそれを主原料に作られた食品と定義されています。また、連邦規則集第21巻第131条(21CFR Part131)により乳製品各カテゴリーについての詳細も定められています。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2023年7月

残留農薬に関する規制には該当しませんが、残留動物用医薬品規制の対象になります。 残留抗生物質の許容値については、米国食品医薬品局(FDA)が制定しており、同機関が制定する、肉、鶏肉、卵製品、乳製品に区分した残留許容値を各業者が順守するよう強化・監視するのが米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)の役割となります。

2022年12月にFDAは、業界向けガイダンス「ヒトの健康が懸念される細菌に対する微生物学的影響を考慮した、抗菌性の新しい動物用医薬品の安全性の評価」の改正案を公表しており、パブリックコメントを経て最終化される予定です。

日本と米国の相違の一例に、フルオロキノロンの使用が挙げられます。日本国内の抗菌剤の慎重使用では、「フルオロキノロンなどの第二次選択薬は、第一次選択薬が無効の場合にのみ使用」としていますが、FDAはラベル表示外薬品使用ELDU(Extralabel Drug Use:承認済み表示に掲載されていない目的・方法における薬品の使用)規定で、フルオロキノロンの使用を禁止しています。

肥育用ホルモン剤については、FDAが製造・販売を承認し、適正な使用方法と残留基準を設定しています。詳細については、ホルモン剤の使用方法や禁止事項について規定している連邦規則集第21巻第522条(21CFR Part522)「動物用新規医薬品の注入・投薬形態」を参照してください。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2023年7月

食品に含まれる有毒および有害な物質の許容量は、食品医薬品化粧品法第406条に基づく規則で定められています。現在、FDAが規則で食品に関して暫定残留許容濃度を定めている物質は、ポリ塩化ビフェニール類(PCB類)のみで(連邦規則集第21条第109.30条:21CFR Part 109.30)、紙製の食品包装材のPCBの残留物に対する暫定的な許容量は10ppmとなっています。一方で、ヒ素および有害重金属などの汚染に関する規制については、総括的な法的水準は決められていないのが現状です。それぞれの有毒・有害物質が長期的に健康に与える影響は不明確とし、有害な物質の含有は避けることが望ましいとされています。

1.有毒・有害物質の欠陥対策レベル

FDAは、有毒・有害物質に関する欠陥対策レベルをガイダンス「ヒト向け食品および動物飼料に含まれる有毒・有害物質に関する対策レベル」として2000年に発行しています。同ガイダンスでは、19種類の有毒・有害物質について、食品と飼料の品目別に対策レベルの値(ppmなど)が設定されています。
なお、このガイダンスには規則のような法的拘束力はありませんが、FDAが法的措置を発動するかどうかを決定する際の基準と位置付けられています。従って、有毒・有害物質の含有量が欠陥対策レベルを下回っている必要があります。

2.トータルダイエットスタディに基づく参考指標

米国では、1991年からさまざまな食品に含まれる物質(ヒ素および有害重金属などを含む)のトータルダイエットスタディ(Total Diet Study:TDS)が実施されており、FDAのウェブサイト上で結果が公開されています。これは法的に設定された許容量や基準値ではありませんが、米国で消費されているさまざまな食品中におけるヒ素や有害重金属などの含有量について、最小値、最大値、平均値などを知ることができるため、参考指標として有効利用することができます。
公表されている直近のデータは2018年から2020年に実施されたサンプリングによるもので、次のような結果となっています。ここでは例として、牛乳、低脂肪液体チョコレートミルク、バニラミルクシェイク、プロセスチーズ、クリームチーズ、モッツアレラチーズについて取り上げます。

乳製品に含まれるヒ素および有害重金属などの参考指標(ppb)

牛乳
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 検出なし N/A
カドミウム 検出なし 検出なし N/A
検出なし 検出なし N/A
検出なし 検出なし N/A
マンガン 検出なし 検出なし N/A
亜鉛 3,300 4,500 3,893
低脂肪液体チョコレートミルク
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 1.4 0.31
カドミウム 1.1 7 2.6
検出なし 530 292
検出なし 検出なし N/A
マンガン 200 560 333
亜鉛 3,800 6,000 4,533
バニラミルクシェイク
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 検出なし N/A
カドミウム 検出なし 検出なし N/A
検出なし 検出なし N/A
検出なし 11 0.64
マンガン 検出なし 120 4.4
亜鉛 2,900 5,000 4,233
プロセスチーズ(アメリカン)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 5.3 11 8.2
カドミウム 2.4 3.5 2.8
検出なし 検出なし N/A
検出なし 6.3 2.1
マンガン 500 1,700 937
亜鉛 20,000 23,000 21,667
クリームチーズ
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 検出なし N/A
カドミウム 検出なし 検出なし N/A
検出なし 検出なし N/A
検出なし 検出なし N/A
マンガン 検出なし 検出なし N/A
亜鉛 3,500 4,200 3,933
モッツアレラチーズ
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 検出なし 検出なし N/A
カドミウム 検出なし 2.9 0.23
検出なし 350 171
検出なし 検出なし N/A
マンガン 検出なし 440 252
亜鉛 27,000 41,000 34,444

3.その他

米国では、連邦レベルより州レベルでさらに厳しい規制を設けている場合があるため、詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

一般的に、カリフォルニア州は、全米で最も食品に対する規制が厳しいとされています。具体的には、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法:Prop.65)の警告表示にかかわる改正で、2018年8月30日以降は、警告文に有害物質名を少なくとも一種類表示し、その物質を’含む’ではなく、’有害物質にさらされる’という表現にする、インターネットでの販売にも該当する製品には警告文の表示をすることが義務付けられました。また、酒類を含む発酵食品に天然に存在する物質であるカルバミン酸エチルもProp.65に含まれます。Prop.65の有害物質リストは1,000種類以上に及び、年に2~3回はリストの内容が更新されます。確認の際には必ず直近のリストを参照してください。

4. 食品添加物

調査時点:2023年7月

米国に輸入される牛乳・乳製品に含まれる食品添加物に関する規制は、合衆国法典第21巻第348条(21U.S.C.348)Food Additivesに基づいて行われています。食品添加物の定義は、合衆国法典第21巻第321条(21U.S.C.321)により規定されており、食品への直接または間接に使用が認められている食品添加物やそれにかかわる規則は、連邦規則集第21巻第170条から第189条(21CFR Part170-189)に列挙されています。

使用可能な食品添加物のリストについては、関連リンクの「使用が許可されている着色料一覧」および「使用が許可されている添加物一覧(着色料以外)」から確認することが可能です。米国において新規の食品添加物を使用する場合には、GRAS通知、または食品添加物申請(Food Additive Petition(FAP))をFDAに申請し、事前許可を得る必要があります。

意図的に使用することにより、直接的または間接的に食品の成分となる、またはなりうる物質、あるいは、食品の性質に影響を及ぼす、または及ぼし得る物質を食品添加物として定義しています。

着色料に関する規制は、合衆国法典第21巻第379条(21U.S.C.379)に基づいて行われています。使用することができる着色料は、日本で許可されているものとは異なるため、FDAウェブサイト上の「使用が許可されている着色料一覧(Color Additive Status List)」と「連邦規則集第21巻第70条から第82条(21CFR Part70-82)」を事前に確認してください。

特に、赤色102号については、日本をはじめEUやアジアの主要国では着色料として使用が認められていますが、米国では認められていません。また、クチナシ、ベニバナ、ベニコウジも日本では古くから着色料として広く使用されていますが、米国では使用することはできません。

また、カリフォルニア州では発がん性など健康を損なうリスクが大きいとされる5種類の食品添加物を用いた食品製造や使用、販売を禁止する法案(AB-418, Food Product Safety Assembly Bill)が審議されています。規制対象となっているのは、臭素化植物油(VBO)、臭素酸カリウム、プロピルパラベン、赤色3号、および二酸化チタンです。法案が成立すれば、2025年1月1日以降、これらの添加物を含む加工食品をカリフォルニア州で製造、販売することが禁止されます。違反した個人や団体は、初回5,000ドル、2回目以降は1万ドル以下の罰金が科されます。

このほか、FDAは、トランス脂肪酸の原因となる部分水素化油脂(Partially Hydrogenated Oils:PHOs)について「安全と認められる(generally regarded as safe: GRAS)食品」ではないとし、2018年6月18日までに添加物として承認を受けていないかぎり、使用を禁止しました。これを受け、食品事業者は、PHOsを使用しない代替材料への切り替え、またはPHOsの使用継続許可に関する食品添加物申請(food additives petition)を提出することが求められています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2023年7月

食品の製造、梱包、包装、輸送または保管に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質(Food Contact Substances:FCS)といいます(食品医薬品化粧品法第409条(h)(6)、合衆国法典21U.S.C.348(h)(6))。FDAは、食品接触物質を間接添加物(Indirect additive)(食品添加物の一種)として定義しています。なお、包装などの資材を構成している成分が溶出し食品に移行するかどうかを確認する責任は、資材の製造業者が負うことになります。

食品接触物質は、FDA規則に合致している物質(次の1.を参照)でない場合は、FDAへの食品接触物質通知(次の2.を参照)が必要です。

1.食品接触物質の規制の適合確認

次の規則にあてはまらない食品接触物質は、FDAへの食品接触物質通知をしなければなりません。

  • 間接添加物(連邦規則集第21巻第174条から第179条:21CFR Part174-179)
  • GRAS(連邦規則集第21巻第182条、第184条、第186条:21CFR Part182,184,186)
  • 1958年以前に容認されている物質(Prior Sanctioned Material, 連邦規則集第21巻第181条:21CFR Part181)
  • 規制の適用除外になる物質(Threshold of Regulation Exemption, 連邦規則集第21巻第170.39条:21 CFR Part170.39)

2.FDAへの食品接触物質通知(Food Contact Substance Notification

食品接触物質の製造業者あるいは供給業者は、市販の120日以上前にその物質の情報をFDAに通知しなければなりません(連邦規則集第21巻第170.100条:21CFR Part170.100)。通知から120日の間にFDAから異議申し出がない場合はその通知が有効となり、食品接触物質の使用が合法となります(連邦規則集第21巻第170.104条:21CFR Part170.104)。ただし、食品接触物質通知は、申請した製造業者に対して有効となるものであるため、同じ物質であっても申請した製造業者以外の製造業者には、通知の効果は及びません。提出方法および提出先については、関連リンクの「申請フォームFDA3480」を参照してください。

3.PFAS

PFASとは、パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質と呼ばれる化学物質の部類で、非粘着性およびグリース(潤滑性)、耐油性、耐水性に優れた特性により調理器具、食品包装、および食品加工において使用されています。FDAは食品接触物質として長鎖PFASを2011年に禁止しましたが、短鎖PFASは許可してきました。しかし、FDAは、6:2フルオロテロマーアルコール(6:2 FTOH)を含む短鎖PFASの安全性に関しても懸念し、規制の変更措置を取り始めています。さらに、米国環境保護庁(EPA)が飲料水に関する規制を発表し、米国素材メーカーの3Mが2025年末までの製造および使用の中止を発表しています。

また、FDAの連邦レベルにおける動きだけでなく、ワシントン州、ニューヨーク州、カリフォルニア州などいくつかの州は食品包装等のPFASを禁止する動きがありますので注意が必要です。

4.フタル酸エステル類

FDAは、可塑剤、接着剤、消泡剤、表面潤滑剤、樹脂、および殺ダニ剤として使用される23種類のフタル酸エステルと、ほかの2つの物質の食品接触使用許可を取り消しました。この措置により、これらのフタル酸エステルは、第21巻第175条から第178条(21CFR Part175-178)の規制によって認可された物質のリストから削除され、食品接触用途ではフタル酸エステルの使用は残り9つに制限されます。このうち8つは可塑剤としての使用が許可され、1つはモノマーとしての使用が許可されています。

連邦レベルのFDAのみならずミネソタ州、ミシガン州、ニュージャージー州、ニューヨーク州は現在、立法会議でフタル酸エステル類を制限する法案を検討しています。メイン州では食品包装中のフタル酸エステル類の禁止法が2019年に可決されているなど注意が必要です。

5.食品包装用リサイクルプラスチック

米国では、プラスチックを含む使用済みリサイクル(PCR: post-consumer recycled)材料の使用を増やすことに重点が置かれています。一方で、食品接触物品におけるPCRプラスチック材料の使用に関するFDAの主な安全上の懸念は、次の3点です。

  1. PCR材料中の汚染物質がリサイクル材料から作られた最終的な食品接触物品に出現することで食品に移行する可能性があること
  2. PCR材料は食品接触用途として規制されていない可能性があること
  3. PCRプラスチック中のアジュバント(添加剤・補助物質)は食品接触用途としての規制を順守していない可能性があること

リサイクルプラスチックから作られた食品接触物品の製造業者は、未使用の材料と同様に、リサイクルされた材料が意図された用途に適した純度であり、未使用の材料のすべての既存の仕様を満たすことを保証する責任があります。従って、リサイクルポリマーに新規添加物を使用する場合、あるいは未使用ポリマーに現在許可されている添加物の量を超えて認可された添加物を使用する場合は、食品接触物質通知(FCN)または食品添加物申請(FAP)が必要です。FDAは、食品包装材メーカーがPCRプラスチックを食品包装材に使用するための工程を評価する際の参考として「産業界向けガイダンス - 食品包装における再生プラスチックの使用:化学上の検討事項(Guidance for Industry - Use of Recycled Plastics in Food Packaging: Chemistry Considerations)」を作成しています。また、FDA は食品接触物品の製造に使用されるPCRプラスチックを製造するための特定のプロセスの適合性に関して肯定的な意見を出した申請のリストを公開しています。

関連リンク

関係省庁
米国食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
連邦規則集
その他参考情報
食品医薬品局(FDA)から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

6. ラベル表示

調査時点:2023年7月

乳製品を含む食品のラベル表示は、公正な包装および表示法(Fair Packaging and Labeling Act)法により規制されています。乳製品を小売用の食品として商業目的で米国に輸入するには、米国税関国境取締局(CBP)およびFDAが定める表示を行わなければなりません。条件によっては表示義務が免除されますが、一般的に表示しなければならない項目は次のとおりです。表示は英語で行わなければなりません。詳しくは、関連リンクのFDAの「食品表示ガイド」を確認してください。

主要表示パネル:PDP(Principal Display Panel
  1. 食品名称/識別事項
  2. 内容量・正味重量
情報パネル:IP(Information Panel
  1. 原材料名(未加工で生鮮の場合は必要ありません。2種類以上の原材料〔添加物を含む〕が使用されている場合は、それぞれの名称を表示しなければなりません。アレルギー物質を使用している場合には、その原材料名を明確に表示しなければなりません。表示が義務付けられているアレルギー物質は乳、卵、魚(例えば、ヒラメ、タラ)、甲殻類(例えば、カニ、ロブスター、エビ)、ナッツ(例えば、アーモンド、クルミ、ピーカン)、ピーナッツ、小麦および大豆に加え2023年1月1日からゴマについてもアレルギー表示が義務化され、全部で9種類となりました。魚、甲殻類、ナッツについては、その種も明記する必要があります。
  2. 栄養成分表示
  3. 製造業者、包装業者、流通業者のいずれかの名称と住所
  4. 警告および取り扱い上の注意
  5. 原産国

なお、4.栄養成分表示について、主な記載方法は次のとおりです。

  • 栄養素として、カロリー、総脂質、飽和脂肪、トランス脂肪、コレステロール、ナトリウム、総炭水化物、食物繊維、糖類、添加糖類、タンパク質、ビタミンD、 カルシウム、鉄、カリウムを記載すること。
  • カロリー、一食分の量(サービングサイズ)や容器内の1食分量の数の情報を、極太字にして強調すること。
  • ビタミンおよびミネラル(ナトリウムを除く)の栄養情報は、その他の栄養素の情報とは太線で区別して記載すること。ビタミン D、カルシウム、鉄、カリウムの 1 日あたりの摂取量のパーセントに加えて、実際の量を記載すること。ほかのビタミンやミネラルのグラム量を記載することも可能。
  • 添加された糖類の量(added sugars)をグラム単位および一日摂取量のパーセント単位で記載すること。
  • 脚注として、「1日摂取量(DV)%は食品1食に含まれる栄養素が1日の摂取量のどれくらいに当たるかを示す。一般的栄養アドバイスとして1日2,000カロリーを用いる」と記載すること。

7. その他

調査時点:2023年7月

米国で販売される乳製品の安全性は、FDAが所管しています。米国に乳製品を輸出する製造/加工、梱包、保管施設は、食品の衛生および安全性を確保することを目的とした現行適正製造規範(Current Good Manufacturing Practice In Manufacturing, Packing or Holding Human Food:CGMP)に従った衛生管理を行う必要があります。

また、2011年1月に成立した食品安全強化法(Food Safety Modernization Act:FSMA)第103条により、米国で消費される食品を製造/加工、梱包、保管する施設は、危害分析およびリスクに基づく予防管理(Hazard Analysis and Risk Based Preventive Controls)として、食品安全計画の策定と実施が義務付けられています。

輸入業者も、第301条により、外国供給業者検証プログラム(Foreign Supplier Verification Program:FSVP)として、輸入食品に対する安全検証活動を実施する必要があります。

また、2019年7月以降は、第106条に基づき「意図的な食品不良事故の防止(食品防御)」にも対応する必要があります。適用対象や要件などの詳細は、関連リンクのジェトロの「食品安全強化法に関する情報」で確認してください。

さらに、FSMA第204条では、追加の記録保持要件が必要となる食品を指定することが FDAによって義務付けられています。これに基づき公表された「特定の食品のトレーサビリティに関する追加的な要件に関する規則」は2023年1月20日に発効し、3年後の2026年1月20日に施行されます。追加の記録保持要件は、汚染の可能性のある食品をより迅速に特定し、市場から迅速に除去できるようにすることで、食中毒や死亡を減らすことを目的としています。追加のトレーサビリティ記録が必要な食品は、食品トレーサビリティリスト (FTL) に記載されています。追加の記録保持要件は、FTLに記載されている食品、および、FTLに記載されている食品を原材料として含む食品(原材料として使用されている記載されている食品がFTLに記載されているのと同じ形態(新鮮な状態など)のままである場合のみ)に適用されます。チーズ(ハードチーズを除く)はFTLに記載されています。

なお、次の場合には、特別な食品安全規制がかかるため留意し、米国に輸出する前に規制内容を確認するとともに、輸出業者、現地の輸入業者、通関業者などに輸入の適否を確認する必要があります。

  • 常温流通される密封容器入りの低酸性食品と酸性化食品の場合(常温流通)
  • 原料に牛乳、脱脂粉乳、生クリーム、練乳などを使用した製品
  • 原料に畜肉、家きん肉(エキスを含む)、卵由来の原料を使用した製品
  • 原料に水産物を使用している場合

米国での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2023年7月

牛乳・乳製品の輸入に必要な書類は個別製品の詳細によって異なるため、USDAの動物検疫検査局(APHIS)のデータベースであるVSパーミットアシスタントなどを参考にして十分な注意と確認が必要です。VSパーミットの要否については、USDAのAPHISのVeterinary Services Permitting Assistant で確認や申請が可能です。APHISに直接問い合わせることもできます。

【問い合わせ先】
National Center for Import and Export at(301)851-3300
AskNIES.Products@aphis.usda.gov

また、牛乳およびクリームの輸入については、米国食品医薬品局(FDA)が管理する連邦輸入牛乳法(Federal Import Milk Act:FIMA)の対象になります。FIMAは米国の乳業を促進し、公衆衛生を保護する目的で米国への牛乳とクリームの輸入を規制するもので、有効な輸入牛乳許可証の保有者のみが、牛乳またはクリームを米国に出荷または輸送できるとしています。FDAが発行する輸入牛乳許可証は毎年更新する必要があります。

FIMAに基づき、輸入許可が必要となる牛乳・クリームは次のとおりです。

  1. 牛乳、低脂肪牛乳、脱脂乳または無脂肪牛乳、強化牛乳、フレーバーミルク、濃縮牛乳、およびウルトラフィルタードミルク(Milk, Low fat Milk, Skim or Nonfat Milk, Fortified Milk, Flavored Milk, Concentrated Milk, and Ultra Filtered Milk
  2. クリーム、ハーフアンドハーフクリーム、ヘビークリーム、ライトクリーム、ライトホイップクリーム(Cream, Half-And-Half, Heavy Cream, Light Cream, and Light Whipping Cream

一方、不要なものは次のとおりです。

  1. サワークリーム、発酵牛乳、酸乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリーム、エッグノッグ(Sour Cream, Cultured Milk, Acidified Milk, Yogurt, Cheese, Ice Cream, and Eggnog)
  2. 加糖練乳、無糖練乳、粉乳、脱脂粉乳、ビタミン A、D を強化した脱脂粉乳、その他の脱水粉乳(Sweetened Condensed Milk, Evaporated Milk, Dried Milk, Nonfat Dry Milk, Nonfat Dry Milk fortified with vitamins A and D, and other dehydrated milk products
  3. 21 CFR 108.35 および 113 の要件(低酸性缶詰食品)に従って商業的に無菌になるように処理され、密閉容器に包装されている場合でほかの許可が必要となっている乳製品(Any of the dairy products for which a permit is otherwise required if they have been processed and packaged in hermetically sealed containers so as to be commercially sterile in accordance with the requirements of 21 CFR 108.35 and 113)

さらに、製造/加工、梱包、保管施設は、米国食品医薬品局(FDA)への食品施設登録と事前通知などが必要になります。

詳細は、「輸入規制」の「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を参照してください。

関連リンク

関係省庁
米国農務省動植物検疫局(USDA APHIS)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
米国農務省(USDA)から入手できる主な情報

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2023年7月

日本から牛乳・乳製品を輸入するにあたって、通関に必要な書類は次のとおりです。

通関書類

  1. エントリーマニフェスト(CBP Form 7533)あるいは貨物引き取り申告(CBP Form 3461)、またはポートディレクターが要求する商品の引き取りに必要なその他の書類
  2. 通関権の証明
  3. 商業インボイスなど
  4. パッキング・リスト
  5. その他輸入が認められるか否かを判断するために必要な関連資料・情報(エントリーサマリー(CBP Form 7501)、船荷証券(Bill of Lading)、VSパーミット、またはFIMAに基づく輸入牛乳許可証、原産地証明(必ずしも必要ではないが求められることもあり)、輸出検疫証明書など)
  6. インポート・セキュリティ・ファイリング(Import Security Filing: ISF)。(海上輸送で米国に輸入される貨物は、最後の外国港を出発する24時間前にISFの申請が必要となります。)

日本から乳製品を輸入するためには、FDAに食品施設登録と事前通知などが必要となります。詳細は「輸入規制」の「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を参照してください。

関連リンク

その他参考情報
ジェトロから入手できる主な情報

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2023年7月

乳製品の検疫は、USDAの動植物検疫検査局(APHIS)が管轄しています。

APHISは、米国に輸入される製品の状態と出荷書類などの必要添付書類を確認することで審査しますが、サンプリング検査の対象となる場合があります。出荷書類とVSパーミットに記載されている内容(製品の描写、形態、輸入業者、輸出業者、日付など)が一致していない場合、輸入拒否されます。

4. 販売許可手続き

調査時点:2023年7月

米国で乳製品を販売するのに必要となる連邦政府が定める免許や登録はありませんが、一般的に食品の販売には、州、地方自治体が定める免許の取得や事業の登録が必要です。これらは、州、地方自治体が独自に定めており、業態などによって必要となる手続きは異なります。詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

なお、倉庫業、ラベル貼付や再梱包も行う施設の場合は、FDAへの食品施設登録が必要です。

5. その他

調査時点:2023年7月

なし

米国の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2023年7月

米国に乳製品を輸入・販売するにあたって、輸入業者は関税を納付しなければなりません。日本から米国へ輸入される乳製品に課せられる関税は次のとおりです。日本から米国に輸入される乳製品に課せられる関税は、種類により大幅に異なり、それぞれ「世界各国の関税率(World Tariff)」で検索可能です。

なお、牛乳とクリームには関税割当(TRQ)があります。関税割当の対象となる乳製品は、通常、輸入者が低関税率を利用するためにUSDAのFAS(Foreign Agricultural Service)からライセンスを取得する必要があります。輸入者は毎年9月1日から10月15日の間にライセンスを申請しなければなりません。詳細はUSDAのDairy Import Licensing Programを確認してください。

表:乳製品の関税率
HSコード 税率
0401: 牛乳とクリーム;
濃縮されておらず、砂糖やその他甘味料が添加されていない
0.34¢/liter ~77.2¢/liter
12.3¢/Kg~$1.646/Kg
0402: 牛乳とクリーム;
濃縮されている、または砂糖やその他甘味料が添加されている
2.2¢/kg~$1.556/kg
17.5%
$1.104/kg +14.9%
46.3¢/kg +14.9%
0403:バターミルク、凝乳およびクリーム、ヨーグルト、ケフィア、その他発酵または酸性化された牛乳およびクリーム
(濃縮されているか、味付けされているか、砂糖、甘味料、果物、ナッツ、もしくはココアが添加されているかどうかを問わない)
17%~20%
0.34¢/liter ~77.2¢/liter
3.3¢/kg~$1.646/kg
$1.035/kg +17%
$1.034/kg +17%
0404: ホエイ (濃縮されているかどうか、砂糖やその他の甘味料が添加されているかどうかを問わない)および天然乳成分からなる製品(砂糖または他の甘味料が添加されているかどうかにかかわらず、他の項に含まれていない) 8.5%~14.5%
0.34¢/liter
0.37¢/kg~87.6¢/kg
$1.035/kg +8.5%
$1.189/kg +8.5%
0405: 牛乳を原料としたバターやその他の油脂;
デイリースプレッド
6.4%~10%
12.3¢/kg~$1.996/kg
$1.865/kg +8.5%
70.4¢/kg +8.5%
0406: チーズおよびカード 0%~25%
$1.055/kg~$2.269/kg

関税表は米国国際貿易委員会(USITC)が管理しています。

関連リンク

関係省庁
米国国際貿易委員会(USITC) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国税関国境取締局(CBP)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
合衆国法典
連邦規則集
その他参考情報
USTIC 関税率表(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
USTIC 2023 HTSA(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2023年州および地方売上税率(米国税金基金)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省(USDA)から入手できる主な情報
米国税関国境取締局(CBP)から入手できる主な情報
外務省から入手できる主な情報
農林水産省から入手できる主な情報
ジェトロから入手できる主な情報

2. その他の税

調査時点:2023年7月

州、地方自治体へ納付する売上税
米国内では地方自治体により売上税が課されます。州ならびに郡や市の地方自治体により売上税の合計税率が異なるため、USITC、CBP、州、地方自治体のウェブサイトで確認する必要があります。

関連リンク

3. その他

調査時点:2023年7月

商業貨物税関使用料、港湾維持料
輸入業者は乳製品の輸入にあたって、関税だけでなく商業貨物税関使用料(Merchandise Processing Fee:MPF)を納付する必要があります。正式通関(Formal Entry)の場合、MPFは輸入申告価格(FOB価格)の0.3464%で、最低29.66ドル、最高575.35ドルとなっています。さらに、船便による輸入の場合には、輸入業者は貨物価格の0.125% の港湾維持料(Harbor Maintenance Fee:HMF)を納付しなければなりません。これらは米国税関国境取締局(CBP)が徴収しています。

その他

調査時点:2023年7月

2023年1月に、米国農務省のNOP(National Organic Program)が、有機製品の監視を強化し、不正を防止するための規則(Strengthening Organic Enforcement)を最終決定しました。新規則は、米国へ輸入されるすべての有機製品に電子NOP輸入証明書の使用を義務付け、有機認証取得には輸入業者やトレーダーを含むより多くのサプライチェーン内の企業の参画を要するなど、有機製品への信頼性強化のために、当局の監視と執行の権限を大幅に強化するものです。NOP輸入証明書の申請にはNOP 2210-1を使用します。ただし、日本の有機JAS制度と米国の有機制度との同等性の仕組みを活用した輸出については、本規制の適用前の現在でも、NOP 2210-1の様式が使用されています。本規制の準拠日は2024年3月19日です。

米国食品医薬品局(FDA)による食品施設の査察
米国では2011年1月4日、食品安全強化法(FSMA)が成立し、FDAの権限が多岐にわたって強化されました。FSMAの制定により日本企業への影響は、さまざまな点で生じています(食品関連の規制「7.その他」を参照)。特に、同法の第201条に基づき、FDAによる外国の食品関連施設への査察権限が強化され、日本の食品関連施設でもFDAによる査察が実施されるようになりました。そのため、米国で消費される食品の関連施設はFDAからの査察がいつ入っても対応ができるように、米国の規則に沿った対応をすることが必要になっています。