政策金利を8カ月ぶりに引き上げ22.75%に

(ナイジェリア)

ラゴス発

2024年02月29日

ナイジェリア中央銀行(CBN)は2月26日と27日に金融政策委員会(MPC)を開催し、金融政策金利を400ベーシスポイント(bps:1%の100分の1)引き上げ、22.75%とした。今回の引き上げは2023年7月以来8カ月ぶりとなる。ヘッドラインインフレ率(前年比)は2023年12月の28.92%から1月には29.90%と上昇を続けている最中での判断となった。

オラエミ・カルドソ中銀総裁は1月24日の上院での演説で、2024年のインフレターゲットを21.4%としている。総裁は、為替レートの価格転嫁やエネルギーコストの上昇、多額の財政赤字、主要な食料生産地域の安全保障をインフレ圧力の主な要因として挙げた上で、金融環境の引き締まりや地政学的緊張の継続による貿易の混乱も世界的な要因とした。その一方で、CBNは、インフレは短期的には上昇基調が続くものの、その後は下降に転じると予想している。

ナイジェリアの2023年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率は、石油部門と非石油部門の両方の好調を受け、前期の2.54%から3.46%に改善した。石油部門の最近の改善は原油生産量の増加と同四半期の比較的高い油価の複合的な影響によるものだ。2024年の経済成長率は、CBNが3.38%、ナイジェリア連邦政府が3.88%、IMFが3.00%と予測している。

外貨準備高は1月末時点で322億3,000万ドルだったが、2月20日時点では345億1,000万ドルと改善した。CBNでは、外国為替市場の改革(注1)や石油生産の増加(注2)などが要因とみている。

今回のMPCの決定では、他にも非対称に設定しているコリドー(注3)の幅を、これまでの上限100bps、下限300bpsから、上限100bps、下限700bpsへと調整した。また、現金準備率(CRR)を32.5%から45.0%に引き上げるとしたうえで、 流動性比率を30%に据え置くとした。

(注1)一例として、2023年6月20日記事2024年2月16日記事参照

(注2)ナイジェリア統計局によると、2023年第4四半期の石油生産量は日量155万バレルで、第1四半期(1~3月)151万バレル、第2四半期(4~6月)122万バレル、第3四半期(7~9月)145万バレル(いずれも日量)と比べ、生産量が伸びている。

(注3)コリドーとは、金利の上限と下限に挟まれて市場金利が変動する範囲のこと。中銀が金利と下限を定め、その範囲内で金利が推移するようにするための方法を「コリドーシステム」と呼ぶ。

(奥貴史)

(ナイジェリア)

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