ハノーバーメッセ、持続可能な産業の活性化テーマに開催

(ドイツ、日本)

ベルリン発

2024年05月09日

世界最大の総合産業見本市の1つ「ハノーバーメッセ」が4月22~26日にドイツ・ハノーバーで開催された。世界60カ国からスタートアップ300社超を含む4,000社が参加。前回(2023年、2023年5月10日記事2023年6月8日付地域・分析レポート2023年6月14日付地域・分析レポート参照)とほぼ同数の13万人が150カ国から来場、4割以上がドイツ国外から参加した。

今回のテーマは、人工知能(AI)と機械学習、カーボンニュートラル製品、産業用エネルギー、インダストリー4.0・マニュファクチャリングX(注)、水素と燃料電池で、「持続可能な産業の活性化」をモットーに、機械工学、電気工学、デジタル産業、エネルギー分野の企業が高性能で持続可能な産業のためのソリューションを紹介した。

オープニングセレモニーには、ドイツのオラフ・ショルツ首相や、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長のほか、今回のパートナーカントリーのノルウェーのヨナス・ガール・ストーレ首相が参加。フォン・デア・ライエン委員長は「われわれは経済の新たな局面を迎えようとしている。それは、よりクリーンで、よりデジタルなものであると同時に、各国政府の産業政策により激化した競争環境でもある」と述べた。ショルツ首相は「この見本市が多くのイノベーションと近代化をもたらすだろう」と語ったほか、「従業員がより高度な技術が必要な仕事に専念できるよう、単純作業を肩代わりする機械が必要」と述べ、産業界でAIの役割が増していることにも言及した。

会期初日の4月22日に、日独産業協会(DJW)などが主催する「第17回日独経済フォーラム」が会場内で開催された。ドイツ側から経済・気候保護省のベルンハルト・クルッティヒ産業政策局長が登壇。日本側からは岩田和親経済産業副大臣のビデオメッセージが放映された。「日独両国の産業における熱と資源の転換」をテーマに、カーボンニュートラルに取り組む企業として、三菱電機ヨーロッパ、エレファンテック、東芝がそれぞれの取り組みを発表した。

写真 「日独両国の産業における熱と資源の転換」をテーマに実施された日独経済フォーラム(ジェトロ撮影)

「日独両国の産業における熱と資源の転換」をテーマに実施された日独経済フォーラム(ジェトロ撮影)

東京発のスタートアップ・エレファンテックは環境にやさしい金属インクジェット印刷による電子回路基板を発表。既存の製法より製造工程が少なく、廃液や排水の大幅削減による環境負荷の低減を実現した技術を紹介。持続可能な開発目標への貢献に加え、同技術を通じた半導体製造の特定地域への依存からの脱却や、日本の技術を集結させチームジャパンで欧州での電子機器・電気自動車製造を後押しすることなどを語った。

次回のハノーバーメッセは、2025年3月31日~4月4日に開催される。

(注)インダストリー4.0の次のステップとして、他の産業や他国のバリューチェーンと製造ネットワークをつなげるイニシアチブ。

(小川いづみ、中山裕貴)

(ドイツ、日本)

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