中南米におけるエネルギー転換ビジネスの行方 米国市場を視野に、欧米系中心にEVシフト進む(メキシコ)
自工会は電動化に向けた国策策定を提言

2023年10月20日

メキシコ自動車産業の電動化(EVシフト)は、対米輸出を視野に入れて進んでいる。米国のジョー・バイデン政権が2021年に、2030年までに販売される新車(乗用車と小型トラック)の50%以上をバッテリー式電気自動車(BEV)と、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)にすることを目指す大統領令を発出している。これを受け、主に米国向けに自動車を生産するメーカーが率先して生産車種のEVシフトに着手している。国内自動車生産の約7割が米国向けのため、国内市場での普及とは関係なく、メキシコ自動車産業の電動化が進んでいる。国内市場の電動車の普及は遅れており、BEV、PHEV、ハイブリッド(HEV)まで含めたxEV(いわゆる「電動車」)でみても、国内販売全体の4.7%(2022年)にすぎない。メキシコ自動車工業会(AMIA)は2023年9月、メキシコ自動車産業の電動化に向けた国策の策定に向けた提言を発表。気候変動対策の一環として国が電動車の普及を強く推し進めるべきとしている。

欧米メーカーを中心にEV生産投資の発表が相次ぐ

メキシコのEV(BEV)生産は、2019年に発表され、2020年秋から本格的に生産が開始されたフォードのスポーツ用多目的車(SUV)「マスタング・マッハE」が最初だ。フォードはグループ初となる100%EVの生産を、本国に先駆けてメキシコ州クアウティトラン・イスカリ工場で開始した。その後、米国のバイデン政権発足を受けて、ゼネラルモーターズ(GM)も2021年4月末、北東部コアウイラ州ラモス・アリスペ工場でのBEV生産計画を発表、2023年7月にシボレーブランドのブレーザーEVの生産を少量ながら開始している(注1)。同工場では最終的には生産車種の100%がBEVとなることが2023年1月に発表されている。その後、2022年10月にフォルクスワーゲン(VW)、2023年2月にBMWといった欧州系メーカーのBEV生産計画も発表された。2023年2月にはステランティスのBEV生産、翌3月にはテスラの北東部ヌエボレオン州での新工場建設も発表され、メキシコが北米向けのEV生産拠点として一気に注目を浴びるようになった(表1参照)。2023年5月にはヌエボレオン州のサムエル・ガルシア知事が韓国を訪問した際、起亜もメキシコでのEV生産計画を発表したが、詳細は明らかになっていない。

表1:メキシコでの電気自動車(EV)に関する投資動向
発表
時期
車両メーカー 本社
所在国
工場所在地 投資額 投資内容
2019年11月 フォード 米国 メキシコ州 11億ドル スポーツ用多目的車(SUV)タイプの「マスタング・マッハE」のEV車製造。
2021年4月 GM 米国 コアウイラ州 10億ドル ラモス・アリスぺ工場を2023年3月以降、段階的にEV生産工場に変更。
2022年10月 フォルクスワーゲン(VW) ドイツ プエブラ州 7億6,350万ドル EVの塗装工場建設。2024年末の新型SUVの製造開始。2026年以降にEVの組み立て。
2023年2月 BMW ドイツ サンルイスポトシ州 8億ユーロ EV生産とメキシコ初の高電圧バッテリー製造工場の新設。
2023年2月 ステランティス オランダ コアウイラ州 2億ドル EVバン「RAM ProMaster EV」の2023年末の生産開始。EVピックアップトラック「RAM1500 REV」の生産も検討。
2023年3月 テスラ 米国 ヌエボレオン州 非公表 北米輸出向けのEV車両工場の建設。
2023年5月 起亜 韓国 ヌエボレオン州 非公表 EV9とうわさされているが、生産車種は不明。

出所:各社プレスリリースなどからジェトロ作成

2023年9月末時点で、日系自動車メーカーのメキシコでのBEV生産計画は発表されておらず、グアナファト州のディエゴ・シヌエ・ロドリゲス知事の2023年6月の訪日を機に、トヨタがグアナファト州工場にピックアップトラック「タコマ」のHEVモデルの生産ラインを追加することが明らかになっただけだ。

2023年9月末時点のメキシコでのBEV生産は、2020年から開始されているフォードの「マスタング・マッハE」と江淮汽車(JAC)の6車種だ(表2参照)。フォードの生産は順調に拡大し、2022年の年間生産台数は7万7,897台、2023年1~9月には7万6,741台を生産している。JACは2017年、以前から第一汽車(FAW)の商用車のセミノックダウン(SKD)生産を行っていたメキシコ資本ジャイアント・モーターズ・ラティノアメリカ(GML)と提携し、GMLに委託するかたちでメキシコ中央部イダルゴ州でのSKD生産(当初はガソリン車)を開始した。2021年にはBEVモデルの生産も開始し、2022年は6モデル合計で年間1,574台、2023年は9月までに2,003台のBEVをSKD生産している。

表2:メキシコにおけるEV生産(単位:台)
企業名 モデル名 2020年 2021年 2022年 2023年(注)
フォード Mustang Mach-E 6,717 58,292 77,897 76,741
JAC E 10X 0 36 911 1,556
E J7 0 113 206 225
E Sei 4 0 0 155 0
E Sei4 Pro 0 0 248 177
E SUNRAY 0 10 30 7
E Sunray City 0 0 0 29
E X350 0 2 24 9
合計 6,717 58,453 79,471 78,744

注:2023年は1-9月累計、その他は1-12月累計。
出所:国立統計地理情報院(INEGI)

メキシコ政府は現時点で、電動車生産を促進する特別な政策を導入していない。しかし、米国のインフレ削減法(IRA)に基づくEV税額控除(2022年8月18日付ビジネス短信参照)が、米国でEV車両購入に際して1台当たり最大7,500ドルの税額控除を受けられる条件として、最終組み立てを北米(米国、カナダ、メキシコ)で行うことを要件としたため、米系メーカーを中心にメキシコでのEV生産を促進する要因になっている。また、最大7,500ドルの控除を受けるには、一定水準以上のバッテリー部品の北米調達が必要になるが、メキシコも北米として扱われるため、米国のIRAはバッテリー部品のメキシコでの生産促進にも寄与する。

メキシコ国内各地の自動車産業クラスターの協力を得て運営されているB2Bマッチングサイト「自動車産業ダイレクトリー(Directorio Automotriz)」によると、2023年6月末時点でメキシコには合計172社の電動車向けサプライヤー(充電インフラ関連、原材料や関連サービスを含む)が存在する。分野別に最も多いのが「バッテリー周辺・ハーネス」で52社、「駆動系(モーターなど)」が22社、「冷却・温度管理系統」が19社、「パワーコントロールユニット(PCU)」が13社と続く。州別にみると、サプライヤーが多いのはヌエボレオン州(40社)、コアウイラ州(20社)などの北東部、グアナファト州(41社)、ケレタロ州(12社)、サンルイスポトシ州(10社)などの中央高原バヒオ地域だ。

表3:メキシコにおける自動車産業の電動化関連サプライヤー(2023年6月末時点)

電動化関連サプライヤーの合計企業数は、172社。

バッテリー周辺・ハーネス
企業数
グアナファト 13
コアウイラ 8
ヌエボレオン 6
ドゥランゴ 5
タマウリパス 5
チワワ 3
ハリスコ 3
ケレタロ 3
バハカリフォルニア 2
メキシコ州 1
ナヤリ 1
プエブラ 1
トラスカラ 1
小計 52
燃料電池
企業数
ヌエボレオン 1
メキシコ州 1
小計 2
冷却・温度管理系統
企業数
グアナファト 7
コアウイラ 5
ヌエボレオン 3
チワワ 1
メキシコ州 1
ケレタロ 1
サカテカス 1
小計 19
資材・設備
企業数
グアナファト 2
メキシコ州 2
CDMX 1
ハリスコ 1
ヌエボレオン 1
サンルイスポトシ 1
ベラクルス 1
小計 9
サービス
企業数
CDMX 1
グアナファト 1
ヌエボレオン 1
サンルイスポトシ 1
小計 4
駆動系
企業数
グアナファト 7
ヌエボレオン 3
ケレタロ 3
ハリスコ 2
アグアスカリエンテス 1
チワワ 1
CDMX 1
コアウイラ 1
プエブラ 1
サンルイスポトシ 1
サカテカス 1
小計 22
パワーコントロールユニット(PCU)
企業数
グアナファト 4
アグアスカリエンテス 1
チワワ 1
コアウイラ 1
ハリスコ 1
ヌエボレオン 1
プエブラ 1
ケレタロ 1
タマウリパス 1
トラスカラ 1
小計 13
その他コンポーネント
企業数
ヌエボレオン 7
グアナファト 6
ケレタロ 4
コアウイラ 2
ハリスコ 2
チワワ 1
サンルイスポトシ 1
タマウリパス 1
小計 24
原材料
企業数
ヌエボレオン 17
サンルイスポトシ 6
コアウイラ 3
イダルゴ 1
小計 27

注:表中の「CDMX」は「メキシコ市」を指す。
出所:Directorio Automotriz, Mapeo de Electromovilidad en México 2do. Cuatrimestre 2023

国内市場規模は依然小さいが、伸び率は高い

2022年のメキシコの電動車(xEV)の国内販売台数は5万1,065台、そのうちの8割をHEVが占め、PHEVが4,575台、BEVが5,631台だった。2023年1~7月のxEV販売台数は前年同期比34.6%増の3万6,198台、内訳をみると、HEVが21.1%増の2万6,922台、PEHVが17.3%増の3,018台、BEVが約3倍の6,258台だった。BEVは2021年以降、毎年200%以上の急速な伸びをみせている。しかし、2023年(1~7月)時点でも国内販売市場全体に占める電動車販売は4.9%にすぎず、BEVとPHEVの合計、いわゆるゼロエミッション車両(ZEV)だけだと1.2%にとどまる(図1参照)。

図1:メキシコでの電気自動車(xEV)の販売台数
2016年はハイブリッド(HEV)が7,490台、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)が521台、電気自動車(BEV)が254台。2017年はHEVが9,349台、PHEVが968台、BEVが237台。2018年はHEVが1万6,022台、PHEVが1,584台、BEVが201台。2019年はHEVが2万3,964台、PHEVが1,339台、BEVが305台。2020年はHEVが2万1,970台、PHEVが1,986台、BEVが449台。2021年はHEVが4万2,447台、PHEVが3,492台、BEVが1,140台。2022年はHEVが4万859台、PHEVが4,575台、BEVが5,631台。2023年(1-7月)はHEVが2万6,922台、PHEVが3,018台、BEVが6,258台。電動車(HEV、PHEV、EVの合計)の国内販売総数に占める比率は、2016年に0.5%、2017年に0.7%、2018年に1.2%、2019年に1.9%、2020年に2.6%、2021年4.6%、2022年に4.7%、2023年(1-7月)に4.9%。

"注:テスラとBYDを除く販売台数。
HEV:ハイブリッド、PHEV:プラグインハイブリッド、BEV:電気自動車,xEVはHEV,PHEV,BEVの合計。
出所:国立統計地理情報院(INEGI)データから作成

ハイブリッド車種の販売はトヨタが牽引している。ハイブリッドは定期的な排ガス検査が不要なこともあり、以前から首都メキシコ市でタクシーとしての利用も多いプリウスに加え、ここ数年はカローラ、カローラクロス、カムリ、RAV4、ハイランダー、シエナ、セコイア、タンドラなど、乗用車からSUV、ピックアップに至るまで、大半の車種にHEVモデルを導入している。PHEVはBMWやメルセデス・ベンツ、ポルシェ、ボルボなど欧州系高級車ブランドと三菱自動車が販売、BEVは中国のBYDやJAC、アウディやBMWなど欧州系高級車ブランド、日本の日産自動車、米国のGM、フォード、テスラが販売している。テスラは2016年からメキシコ市場に参入しているが、国立統計地理情報院(INEGI)に届け出をしておらず、販売台数は不明だ。BYDは2022年からメキシコのEV専用タクシー運営会社ベモ(Vemo)に販売を開始、2023年からデパート大手リベルプール(Liverpool)と提携して個人向けにも販売を開始しているが、テスラ同様にINEGIへの届け出をしていない。

高価格と充電インフラ不足がボトルネック

メキシコ自動車工業会(AMIA)の委託を受けて、コンサルティング会社フロスト&サリバンが国内12都市で実施したアンケート調査によると、BEV、またはPHEVを購入した消費者の81.5%がその理由(複数選択)として環境に優しいことを挙げている。この比率はHEVを購入した消費者の81.4%とほぼ同率だった。燃料費節約を理由とした割合は、BEVとPHEVが55.6%、HEVが79.1%と、HEVの方が高率となった。BEVやPHEVはHEVより高価で、購買層が富裕層に限られることもあり、燃料費についてさほど敏感ではないことがその要因と考えられる。走行性能を理由として挙げる比率も、BEV、PHEVが40.7%、HEVが51.2%と、HEVが上回った。反対に、最新技術に魅力を感じたという声は、BEV、PEHVが33.3%、HEVが7.0%で、BEV、PHEVがHEVを大きく上回った(図2参照)。なお、電動車を購入した消費者の95.7%がもう一度電動車を購入するとしており、内燃機関車(ICE)に戻すと答えたのは4.3%にすぎなかった。ICEに戻す理由としては、充電インフラの欠如や、補修バッテリーの価格が高いことが挙げられた。メキシコでは充電インフラ整備が遅れており、BEVやPHEV所有者の71.3%が自宅で充電しており、公共スペースで充電しているという回答は28.7%にとどまった。HEVの所有者に近い将来BEVを購入するかと聞いたところ、「購入する」は27.9%にとどまり、「購入しない」が72.1%と大半を占めた。その理由として価格が高いことを指摘する声が多く、その他にも充電インフラの不足、走行距離の短さが挙げられた。「現状HEVで満足している」という回答も22.6%あった。

図2:xEVを購入した理由(複数回答)
PHEV /BEVとHEVの消費者に分けて聞いている。「環境保護」を理由に購入したと答えた消費者の比率は、PHEV/BEVでは81.5%、HEVでは81.4%。「燃料費節約」と答えた比率は、PHEV/BEVでは55.6%、HEVでは79.1%。「走行性能」と答えた比率は、PHEV/BEVでは40.7%、HEVでは51.2%。「最新技術」と答えた比率は、PHEV/BEVでは33.3%、HEVでは7.0%。

出所:メキシコ自動車工業会(AMIA)
原資料:フロスト&サリバンによる消費者へのアンケート調査

ICE車を所有する人に対し、次もICE車を購入するかという設問では、61.1%が次もICEと答えており、依然として電動車の購入に抵抗を感じる層が多いことが分かる。購入しない理由としては、「充電スタンドが少ない」という声が最も多く、「車両価格が高い」「専門整備士・修理工が足りない」「家庭で充電する必要性」「走行距離の短さ」と続いた(図3参照)。最後に、価格が同じだったら電動車を購入するかという問いには、83.1%が購入すると答えており、価格要因が大きく影響することが再認識された。

図3:xEVを買わない理由(回答数:複数回答)
購入しない理由として「充電スタンドが足りない」と答えたのは61人、「車両価格が高い」は49人、「専門整備士・修理工が足りない」は46人、「家庭で充電する必要性」は15人、「走行距離の短さ」は14人。

出所:メキシコ自動車工業会(AMIA)
原資料:フロスト&サリバンによる消費者(合計192人)へのアンケート調査

AMIAが国の政策の必要性を主張

メキシコには、電動車の生産や販売を促進するような特別な産業育成策は現時点では存在しない。電動車の販売促進に向けたインセンティブとしては、連邦税の新車税(ISAN)(注2)の免除、州税の車両所有税(Tenencia)の減免、輸入関税(20%)の免除(BEVのみで2024年9月末までの時限措置)、駐車場などの運営事業者がEV充電スタンドを設置した場合の投資税額控除(注3)などがあるが、他国と比べると魅力的なインセンティブに乏しい。

メキシコ外務省は2023年2月1日、「自動車産業の転換に向けた現状と提言」と呼ばれる報告書を発表した(表4参照)。産業界全体で環境に優しい自動車を生産していくためにメキシコが取り組むべきステップを示したロードマップだ。米国とメキシコの間で結成された「交通手段の電動化のためのハイレベルワーキンググループ 」が主導して作成した。報告書は「革新」「人材」「サプライチェーン」「インフラ」「統治」の5本柱で合計28の提言をまとめている。一部の提言については外務省や関連省庁、経済界や学界の代表が参加するかたちで、その後フォローアップ会合が行われたものの、経済省やエネルギー省、環境省などが同提言を受けて具体的な政策立案に着手しているわけではない。また、6月12日にマルセロ・エブラル前外相が2024年の大統領選挙に向けた党内予備選挙のために辞職した影響もあり、同提言の重要性は薄れている。

表4:輸送の電動化作業部会による自動車産業の転換に向けた提言
番号 提言内容
1 I.革新 科学技術革新一般法の制定に向けた公聴会開催
2 I.革新 自動車産業電動化に向けた産官学作業部会の設置
3 I.革新 廃棄物に関する規格見直し、リチウムイオン・バッテリーリサイクル計画の策定
4 I.革新 リチウムイオンバッテリーに係るNOM-052-SEMARNAT-2005(危険廃棄物規格)の改正
5 I.革新 バッテリーリサイクル業者の認定とリスト化
6 I.革新 大学・技術高校のカリキュラム刷新に向けた自動車産業電動化における人材需要の調査
7 I.革新 経済界と学会の間の人材マッチングのためのデジタルプラットフォーム構築
8 II.人材 大学などの専門課程の創設と教育内容のその他の資格・認証制度との調和化
9 II.人材 女性や脆弱(ぜいじゃく)なグループの雇用機会改善に向けた戦略構築
10 II.人材 米墨の産官学の連携による2国間教育プログラムの設計・導入
11 II.人材 米・メキシコ間の求職サイト設置やジョブフェアの開催
12 III.サプライチェーン 既存のサプライヤーの調査とダイレクトリー整備
13 III.サプライチェーン サプライヤーの電動化に向けた転換ポテンシャルの特定と投資を促すインセンティブや融資の促進
14 III.サプライチェーン バッテリーや基幹部品の製造に向けた戦略的部品の特定、リチウム開発に向けた産官学の議論推進
15 III.サプライチェーン 100%域内調達達成を視野に入れたサプライチェーン開発ロードマップ作成と投資促進・官民融資計画の設計
16 III.サプライチェーン 投資誘致のために理想的なメカニズム評価のためのロードマップ作成への多省庁および関連団体の参加促進
17 III.サプライチェーン EVの利点を考慮にいれた新自動車産業振興政令(通関規則や税制措置を含む)制定に向けた専門家による作業部会の設置
18 IV.インフラ 将来的な需要特定や中期的な優先地域設定のための既存の充電インフラの調査
19 IV.インフラ 充電設備や料金支払い方法の標準化、全国的な電動化の加速化に向けたインフラ整備ロードマップの作成。
20 IV.インフラ 街道での充電インフラ優先整備に向けた調査の実施
21 IV.インフラ 6Gなど通信インフラ整備拡大に向けた法的枠組み精査、州や市町村のインフラ整備に向けた指針の作成
22 IV.インフラ 第6世代移動通信システム(6G)の全国への拡大に向けた周波数帯料金の見直しと事業者による遅れた地域への優先的なインフラ整備
23 IV.インフラ 既存の能力と将来の需要を考慮した上での優先的な電力網整備を行う地域の特定に向けた戦略の構築
24 V.統治 自動車産業の電動化のために必要な規格の調査および特定、規格変更・創設の必要性を評価するためのフォーラム開催
25 V.統治 EV関税免税の延長、EV用部品の関税免除、EV・部品生産へのインセンティブ付与、消費者向けインセンティブの考案
26 V.統治 EV生産に必要な金属資源のラ米地域の生産国間の連携・協力の推進、ベストプラクティスの共有など
27 V.統治 輸送の電動化を促進する全てのアクターを巻き込むかたちで中小企業の能力向上にも寄与する持続可能な産業政策の設計
28 V.統治 産官学の継続的対話、地域・クラスター間の協力促進、学際的な研究促進に向けた学会との協力促進のための枠組みの構築

出所:Grupo de Trabajo para la Electrificación del Transporte,「Diagnóstico y Recomendaciones para la Transición de la Industria Automotriz en México」

2024年9月末までのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)現政権下で自動車産業の電動化に向けた本格的な産業育成策が導入される可能性は低いが、AMIAは2023年9月11日、次期政権での採用も視野に入れ、「エレクトロモビリティー国家政策に向けた提言」と題した報告書を発表した。同報告書では「電動車の製造」「電動車の国内市場(消費促進)」「EV充電インフラ」の3つの分野で具体的な政策を提言し、温室効果ガス(GHG)削減の国家目標達成を視野に入れ、エレクトロモビリティーを国策として進める必要性を強調した。

AMIAの報告書の特徴としては、BEVやPHEVなどZEVだけでなく、HEVのさらなる普及促進も視野に入れていることだ。ZEVの車両販売価格の高さや、リチウムなど必要な鉱物資源量の多さ(注4)、現時点のメキシコの系統電力での化石燃料依存(約7割)などの要因を考慮すると、ZEVに限定した促進策は短期的にみて、国全体のGHG排出削減効果を必ずしも最大化しないことを考慮したとみられる。

同報告書は「電動車の製造」の分野では、新工場建設、電動化への転換投資に対する法人所得税(ISR)のインセンティブ、R&D投資を条件とした税額控除や加速度償却の導入など税制インセンティブの導入に加え、行政手続き円滑化(法人設立、貿易手続きなど)、新技術習得に向けた人材育成・研修での産官学協力、現地サプライチェーンの開発なども提言している。さらに、水、道路、電力、第5世代移動通信システム(5G)などインフラのボトルネックの解消、特に各社の環境約束を果たすためのグリーン電力の供給が必要だと主張している。

「電動車の国内市場」の分野では、付加価値税(IVA)の軽減、個人事業主の所得税や法人所得税の車両購入損金算入枠拡大、電動車や関連インフラに投資した企業に対する税額控除、電動車のリースへの優遇利率の適用などのインセンティブに加え、電動車の高速道路料金の減額や電動車のパーキングメーター利用料免除なども提案している。また、燃費規格(NOM-163-SEMARNAT、注5)の公布やバッテリーや電子部品に関する安全規格(NOM)の制定など、規格整備の必要性も主張している。

「EV充電インフラ」の分野では、まずINEGIによる既存充電インフラの全数調査を行った上で、公的充電インフラ整備に向けた省庁間の共同戦略を構築するべきとしている。税制インセンティブとして、充電スタンド設置に際するISR(個人・法人)の税額控除、充電スタンド設置に際するIVAの一時的減免(3~4年間)、充電設備・機器の輸入税(IGI)の一時的免除などを提案している。さらに、国のGHG排出削減目標に貢献するため、充電インフラへの再生可能エネルギー供給の拡大が必要とし、具体的には、公的電力供給のグリーン化と民間再生可能(RE)発電許認可の円滑化、分散型発電の許認可免除上限の引き上げ〔0.5メガワット(MW)⇒1MW)を提案している。

参考:メキシコ自動車工業会(AMIA)の国家電動化政策策定に向けた分野別提言

製造(生産促進)
新工場建設、電動化への転換投資に対する法人所得税(ISR)のインセンティブ
R&D投資を条件とした税額控除や加速度償却の導入
行政手続き円滑化(法人設立、貿易手続きなど)
新技術習得に向けた人材育成・研修での産官学協力
現地サプライチェーンの開発
インフラのボトルネック解消(水、道路、再生可能電力、5G通信網)
各社の環境コミットメントを満たすためのグリーン電力の供給
リチウム調達に関する明確な規則、リチウム開発の官民連携
米国のIRA、CHIPSプラス法の恩恵を享受するための米国との共同戦略
物流コストと時間の改善に向けた戦略の構築
国内市場(消費促進)
付加価値税(IVA)の軽減
個人事業主の所得税や法人所得税の車両購入損金算入枠拡大
電動車および関連インフラに投資した企業に対する税額控除
電動車のリースに関連する優遇税率の適用
電動車車両の高速道路料金の減額
電動車車両のパーキングメーター利用料免除
政府車両の電動化
燃費規格(NOM-163-SEMARNAT)の公布
バッテリーや電子部品に関する安全規格(NOM)の制定、改造防止
消費者への正確な情報提供チャネルの整備
インフラ(インフラ整備)
国立統計地理情報院(INEGI)による充電インフラの全数調査
公的充電インフラ整備に向けた省庁間の共同戦略
充電スタンド設置に際するISR(個人・法人)の税額控除
充電スタンド設置に際するIVAの一時的減免(3~4年間)
充電設備・機器の輸入税(IGI)の一時的免除
充電インフラへの再生可能エネルギー供給の拡大
公的電力供給のグリーン化、民間再生可能(RE)発電許認可の円滑化
分散型発電の許認可不要上限の引き上げ(0.5MW⇒1MW)
充電インフラ設置許可手続き円滑化
充電スタンドインフラに関する規格(NOM)策定

出所:AMIA, Recomendaciones para una Pólitica Nacional de Electromovilidad. Septiembre 2023

なお、「国内市場(消費促進)」の分野で提案されている消費促進に向けた税制インセンティブをまとめると、表5のとおり。現行ISR法では、業務用車両の購入に際して損金算入の上限(通常車両は17万5,000ペソ、約143万5,000円、1ペソ=約8.2円)が設定されており、電動車の場合はその上限が今でも一定程度拡大されているが、同上限をさらに拡大し、業務用車両としての電動車の購入促進を図る。また、一般消費者の車両購入価格に大きく影響するIVA(税率16%)について、現時点では何のインセンティブもないが、電動車に対して特別軽減税率を適用することを提案している。

表5:メキシコ自動車工業会(AMIA)が提案するxEV消費促進向けインセンティブ(金額単位:MXN)
税目 内容 現行 対象 2024~2030年 2031~2035年 2036~2040年
所得税
(ISR)
車両購入費
損金算入上限
250,000 個人事業主 100%(上限なし) 100%(上限なし) 100%(上限なし)
法人 500,000 600,000 700,000
付加価値税
(IVA)
IVA税率 16% HEV 4% 4% 12%
PHEV 4% 4% 8%
BEV 4% 4% 4%

注:「MXN」とはメキシコペソを指す。
出所:AMIA, Recomendaciones para una Pólitica Nacional de Electromovilidad. Septiembre 2023

国家戦略導入で2030年に国内市場の4割弱が電動車になると予測

AMIAは、電動化に向けた国家戦略が策定されて実行に移された場合、2030年時点の電動車の国内販売全体に占める比率は、ベースシナリオ(何の政策も導入しなかった場合)の19.1%から38.9%に拡大すると予測している(図4、5参照)。フロスト&サリバンの見通しによる2030年の国内販売台数(大型バス・トラックを除く)は165万8,934台のため、電動車の販売台数としては64万5,325台が見込まれる。これは、2022年の実績の12.6倍に相当する。

64万5,325台のうち、BEVは44.1%の28万4,588台に達し、PHEVの25万1,031台(38.9%)、HEVの10万9,705台(17.0%)を大きく上回る。ベースシナリオでは、2030年時点の電動車全体に占めるBEV比率は37.6%、PHEVが33.5%、HEVが28.9%と見込んでいるため、国内消費やインフラ整備に向けたインセンティブ導入などにより、BEVやPHEVの普及が一層促進されると見込んでいる。

図4:xEV販売の見通し(ベースシナリオ)
2024年の国内販売台数合計は131万6,278台、電動車の販売比率は5.7%。2025年の国内販売台数合計は135万6,932台、電動車の販売比率は6.7%。2026年の国内販売台数合計は136万8,761台、電動車の販売比率は7.1%。2027年の国内販売台数合計は149万7,953台、電動車の販売比率は9.2%。2028年の国内販売台数合計は150万9,435台、電動車の販売比率は12.8%。2029年の国内販売台数合計は170万3,678台、電動車の販売比率は13.9%。2030年の国内販売台数合計は165万8,934台、電動車の販売比率は19.1%。

出所:メキシコ自動車工業会(AMIA)
原資料:フロスト&サリバンの見通し

図5:xEV販売の見通し(政策導入シナリオ)
2024年の国内販売台数合計は131万6,278台、電動車の販売比率は9.3%。2025年の国内販売台数合計は135万6,932台、電動車の販売比率は12.2%。2026年の国内販売台数合計は136万8,761台、電動車の販売比率は17.9%。2027年の国内販売台数合計は149万7,953台、電動車の販売比率は25.4%。2028年の国内販売台数合計は150万9,435台、電動車の販売比率は29.5%。2029年の国内販売台数合計は170万3,678台、電動車の販売比率は34.6%。2030年の国内販売台数合計は165万8,934台、電動車の販売比率は38.9%。

出所:メキシコ自動車工業会(AMIA)
原資料:フロスト&サリバンの見通し

AMIAは、国家戦略の策定で電動車の普及が進めば、メキシコのGHG排出削減にも大きな効果があるとしている。ベースシナリオに基づく電動車の普及では、2016~2030年に1,580万トンCO2の排出削減効果しかない。しかし、これが政策導入により2,620万トンCO2に65.8%と拡大するとみている。技術別の排出削減効果は、HEVが1,620万トン、PHEVが490万トン、BEVが350万トンと試算されており、ベースシナリオと比較すると、HEVは39.7%増、PHEVが2.3倍、BEVが2.5倍に排出削減量が拡大する。

メキシコはパリ協定に基づくGHG排出削減目標として、2030年にベースライン比35%の削減を約束しており、そのためには2億8,100万トンCO2の排出削減が必要となるが、そのうちの9.3%を車両の電動化により賄えることになる。

税収確保や再生可能エネルギー電力の供給など課題は山積み

本格的な電動車の生産・販売促進策の導入には、クリアすべき課題も多い。生産や販売、インフラ整備を促進するには、他国同様、税制インセンティブの拡充が求められる。連邦予算財政責任法に基づき、基本的に財政収支の均衡が求められるメキシコでは、特定分野の税制インセンティブを導入するには、それを補う税収の確保が求められる。AMLO現政権下では、税収基盤を拡大するような本格的な税制改革は一切行われておらず、税収確保は、国税庁(SAT)による主に大企業を対象とした税務調査などを通じた徴税強化策に依存している。しかし、本格的な税収増に向けては、税収に一切貢献していないGDPの2割強、雇用の6割弱を占めるインフォーマル経済(2023年2月15日付地域・分析レポート参照)を税収基盤に加える抜本的な対策が求められるほか、相続税など新税導入やIVAの食品や医薬品などに対する軽減税率(注6)の見直しなど、税制を抜本的に見直し、安定的な税収基盤を確保することが必要になるだろう。

また、AMIAの提言にもあるが、電動車の普及促進とそれを通じた総合的なGHG削減のためには、電力インフラ、特に再生可能エネルギー発電能力の強化が求められる。一般家庭や大口需要家を除く産業ユーザーへ電力供給を行う電力庁(CFE)の基礎供給部門の2022年の電源構成をみると、天然ガス・コンバインドサイクル(CC)発電所の電力が59.3%を占め、石油火力や石炭火力などを合わせると、化石燃料による火力発電が7割以上を占める(図6参照)。従って、現時点でCFE基礎供給部門から購入できる電力はクリーン電力とはいえない。

図6:CFE基礎供給部門の電源構成
天然ガス・コンバインドサイクル(CC)発電が59.3%、石炭火力・原子力が11.3%、石油火力が7.6%、ターボガス発電が1.3%、内燃機関発電が0.4%、水力が13.4%、地熱が2.0%、風力が2.7%、太陽光が2.0%。

出所:エネルギー省(SENER)「国家電力系統開発計画2023-2037」

メキシコでは2013年末の憲法改正(エネルギー改革)に基づき、2014年に電力産業法(LIE)が施行され、発電事業と大口需要家(1MW以上)向け売電事業には、民間事業者が参入できるようになった。その流れの中で、エンリケ・ペニャ・ニエト前政権(2012年12月~2018年11月)下で3度の再生可能エネルギー電力の長期競売(SLP)が実施され、多くの民間発電事業者が発電事業に参入した。その結果もあり、現時点で再生可能エネルギー発電所の大半が民間事業者の運営する発電所となっている(図7参照)。しかし、AMLO政権下では、国営企業のCFEを発電事業で優遇する数々の政策を導入しており、民間事業者に対する発電許認可の付与には大幅な遅延がみられる。他方、CFEはAMLO政権下で赤字経営に陥っており、投資拡大余力が乏しい。このような状況下では、メキシコが再生可能発電能力を今後さらに増強できるのかどうか、懸念がある。

図7:CFE、民間、IPP、PEMEXの発電能力(2022年末時点)
CFEは、天然ガスCCが1万1,108MW、水力が1万2,125MW、石油火力が9,998MW、風力が86MW、太陽光が6MW、石炭火力が5,463MW、ターボガスが2,833MW、原子力が1,608MW、地熱が951MW、内燃機関が355MW。民間部門は、天然ガスCCが8,019MW、水力が488MW、石油火力が923MW、風力が6,223MW、太陽光が6,529MW、ターボガスが850MW、コジェネが1,940MW、地熱が25MW、バイオマスが408MW、内燃機関が373MW。IPPは、天然ガスCCが1万5,285MW、風力が613MW。PEMEXは、石油火力が422MW、ターボガスが131MW、コジェネが367MW。

注:IPPはCFEの下請けとしてCFEのために発電事業を行う独立発電事業者。
出所:エネルギー省(SENER)「国家電力系統開発計画2023-2037」

また、発電した電力を全国に送電する送電インフラの拡充も不可欠だ。メキシコではエネルギー改革以降も、国家電力系統(SEN)の計画と送配電については国の独占と憲法が定めており、送配電インフラの整備は原則としてCFEが行う。しかし、AMLO政権下でCFEは、天然ガスCC発電所の建設や水力発電所の改修など発電能力の拡充は行っているものの、送電インフラの整備にあまり力を入れていない。AMLO政権下の4年間(2019~2022年)に拡張された送電網は2,668キロで、エンリケ・ペニャ・ニエト前政権の6年間の29.8%にも満たない(表6参照)。BEVやPHEVが普及すれば、少なからず電力消費が増えるとみられ、需要増に耐えられる送配電インフラの整備が求められるが、CFEの対応力には不安が残る。

表6:CFEの送電インフラの推移(単位:Km)
電圧 2012年
FCH
2018年
EPN
EPN政権下
6年の拡張
2022年
AMLO
AMLO政権下
4年の拡張
161~400kV 50,905 55,088 4,183 56,389 1,301
69~138kV 48,163 52,929 4,766 54,296 1,367
合計 99,068 108,017 8,949 110,685 2,668

注:「FCH」はフェリペ・カルデロン・イノホサ政権、「EPN」はエンリケ・ペニャ・ニエト政権、「AMLO」はアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール政権を指す。
出所:エネルギー省(SENER)データから作成


注1:
多数の報道から、2023年7月から生産が開始されているようだが、国立統計地理情報院(INEGI)に対する生産台数の届け出は2023年9月末時点でなされていない。
注2:
ICE車の場合、新車の販売価格に応じて1~17%が課税される。ただし、2023年時点で販売価格が31万5,342.42ペソ以下の大衆車は、ICE車でも無税となる。
注3:
EVの充電スタンドを設置した場合、その投資額の30%を当該年度の法人所得税(ISR)から税額控除できる。
注4:
トヨタによると、BEV1台に必要なリチウムの量は、PHEVの6台分、HEVの90台分に相当する。
注5:
車両総重量3,857キログラム以下の車両の排ガス・燃費規格であるNOM-163-SEMARNAT-SCFIの改定案(PROY-NOM-163-SEMARNAT-SCFI-2023)は、パブリックコメント公募のために2023年6月9日付官報で公示されており、年内にも最終版が公布される予定(公布180日後に発効)。自動車メーカー別に平均燃費基準(CAFE)を定めるもので、環境に優しい車を多く販売した企業には、クレジット(控除枠)が付与される仕組みも組み込まれている。クレジットは、次年度以降に各社が目標基準を達成しなかった場合、その未達分を相殺する目的で適用することが可能。また、メーカー間でクレジットを売買することも想定されている。
注6:
IVAの基本税率は16%だが、食品や医薬品など一部の品目は0%となっている。食品については、エンゲル係数の高い貧困層の家計を支援する目的とされているが、富裕層が食品を購入しても課税できない。軽減税率を廃止して一律16%を課税し、貧困層には直接所得補助政策を通じた支援を行う方が、税制の効率性の観点からは望ましいという考えが20年以上前から存在するが、歴代政権は国民に不人気の増税策を実施に移すことはできず、今に至っている。

変更履歴
文章中に誤りがありましたので、次のように訂正いたしました。(2023年12月28日)
(誤)2023年9月末時点のメキシコでのBEV生産は、2000年から開始されているフォードの「マスタング・マッハE」と江淮汽車(JAC)の6車種だ(表2参照)。
(正)2023年9月末時点のメキシコでのBEV生産は、2020年から開始されているフォードの「マスタング・マッハE」と江淮汽車(JAC)の6車種だ(表2参照)。
執筆者紹介
ジェトロ・メキシコ事務所長
中畑 貴雄(なかはた たかお)
1998年、ジェトロ入構。貿易開発部、海外調査部中南米課、ジェトロ・メキシコ事務所、海外調査部米州課を経て2018年3月からジェトロ・メキシコ事務所次長、2021年3月から現職。単著『メキシコ経済の基礎知識』、共著『FTAガイドブック2014』、共著『世界の医療機器市場』など。