スタートアップを生んで育てる。最前線の取り組み(欧州編) 「革新的な起業家国家」へ、まい進(スペイン)
スペインのスタートアップ事情

2023年12月27日

「革新的な起業家国家」を目指し、起業や研究開発投資を促すための実践的施策を相次いで導入するスペイン。2022年12月には欧州の主要国に先駆け、複数の管轄省庁にまたがる各種のスタートアップ振興策を法制化する「スタートアップ法」を施行。税負担や手続き・規制の軽減、デジタルノマド・ビザ取得の容易化などの施策を通じ、欧州のスタートアップハブへの道筋を着実に整えつつある。また、公的機関による融資や助成金、ファンド組成など、スタートアップ向けの充実した資金調達支援スキームが国内での起業からスケールアップの各段階で、必要不可欠な存在として機能する。

オランダに本社を置く調査会社ディールルームなどが2023年4月にまとめた「スペイン・エコシステム・レポート2023PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(12.92MB)」によると、スペインのエコシステム全体でのスタートアップの企業価値は2022年時点で合計930億ユーロに達し、2018年(260億ユーロ)から3.6倍に増加した(注1)。また、スペインの2022年のベンチャーキャピタル(VC)のスタートアップ投資額は、年間40億ユーロに達し、欧州全体で6位、世界で16位の金額規模にランクする。

スペイン貿易投資庁(ICEX Spain Trade & Investment)でスタートアップ・エコシステムの振興を担うアルベルト・サンス金融・投資促進部長はスペインのエコシステムの魅力について、特に次の5点を挙げる(注2)。

  1. 競争力のある人件費:スペインの高度なソフトウエア開発者の給料は米国の3分の1、英国やフランスの7割前後にとどまる。
  2. 中南米市場との連結性:スペインは中南米市場向けビジネスを行う欧州のハブ拠点と同時に、中南米企業にとってのEU市場向けハブ拠点として機能。
  3. 資金リソース:公的ファンド、250を超える登録VC、コーポレートファンド、ビジネス・エンジェル、クラウドファンディングなど、資金需要に応じた豊富な資金調達の選択肢が存在。
  4. 産学連携:国内60カ所を超えるテクノロジーパークおよび大学とスタートアップとの強固な連携。欧州のトップ10ビジネススクールの3つがスペイン国内に所在。
  5. 公的支援:ファンド投資や低金利の長期融資、補助金などを通じ、国内スタートアップ初期段階の資金調達のほとんどのケースで公的資金を活用(表1参照)。

なお、ICEXによると、2023年10月時点でスペインには約1万3,000社のスタートアップが存在、そのうちスケールアップ段階に達している企業は350社を数える。1万3,000社の平均操業年数は3.5年で、従業員数2~10人の規模のスタートアップが68%を占める。過半数の58%は既に市場向けに製品・サービスの販売を行っており、16%がプラスのEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を確保している段階にあるという。

バルセロナvs.マドリード、南欧最大級の2大エコシステム

スタートアップ・エコシステム調査会社スタートアップ・ブリンクの都市別エコシステムランキング(2023年)によると、バルセロナは欧州8位、マドリードは同10位と、1国で2都市がトップ10にランクインしている(注3)。他方、両エコシステムには明確な違いがある。マドリードは首都で中央政府機関や金融センター、大企業の本社が集中していることから、金融やフィンテック、B2Bスタートアップが中心となってきた。反対に、バルセロナは起業家精神が旺盛な土地柄で、EコマースなどB2Cスタートアップが強いほか、外資を含むハイテク産業集積が大きいことから通信、フードテックなど製造業を軸としたスタートアップが強い。カタルーニャ州政府によると、同州のスタートアップの8割近くがインダストリー4.0関連技術に取り組んでいる。他方で、いずれのエコシステムもヘルステックが最も多いという共通点もある。

実績面では、資金調達では、2015~2022年のVC投資額は、バルセロナが54億ドル、マドリードが44億ドル、企業価値総額では、バルセロナが390億ドル、マドリードが243億ドルと、バルセロナが優勢だ(注4)。スペイン国内のVCは現在400社以上あり、マドリードに170社、バルセロナに120社分布しているが、多くのVCは拠点外のスタートアップにも活発に投資している。資金源の内訳では、マドリードはVC(23%)に次いでアクセラレーターの割合が22%と高く、欧州平均(15%)を大幅に上回る(注5 )。他方、バルセロナは国外VCからの出資が特に多いほか、カタルーニャ州政府や州金融公庫(ICF)などの公的機関による投資も重要な位置付けとなっている(注6)。

国際化の側面では、バルセロナは欧州の起業家からの人気も高く、起業家コミュニティー運営ディープ・エコシステムズが発表する「スタートアップ・ヒートマップ・ヨーロッパ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、バルセロナは欧州でロンドン、ベルリンに次いで3番目に人気の高いエコシステムとなっており、創業者の2割は外国人だ。他方、マドリードは中南米発スタートアップの欧州進出の足がかりとなるなど、中南米とのつながりが緊密といった特徴がある。マドリード州政府は3月にイベロアメリカ(スペイン、ポルトガル、中南米)最大級のアクセラレーター・キャンパス構想「パティオ」を発表(注7)。イベリア航空やアパレル大手インディテックス、飲料大手マオウ・サンミゲル、また、外資のロレアルやBMWなど、マドリードに本社や拠点のある大手企業との官民協力の下、3年間で200万ユーロを投じ、600以上のスタートアップの起業・成長促進を支援する。

スタートアップ法で人材、資金、プロジェクトを動かす

国策としてのスタートアップ振興に対するスペイン政府の強い意気込みを示すのが、国内のさまざまな機関が関わるスタートアップ支援策を法制化した「スタートアップ法」だ(2021年12月14日付ビジネス短信参照)。欧州主要国に先駆けるかたちで2021年12月に閣議承認され、2022年12月に発効した。投資の促進や人材確保、企業のスケーラビリティー確保などを通じ、2030年までにスペインを革新的な国家にする目標を掲げた「スペイン起業家国家戦略(スペイン語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(9.96MB)」を構成する最重要施策に位置付けられる。

同法では、スタートアップ法が定める支援パッケージの適用を受けられるスタートアップの要件として、(1)登録事務所または恒久的施設を通じて、スペインに拠点を有する企業であること、(2)設立から5年未満であること(例外として、バイオテクノロジー、エネルギー、産業、戦略部門などの特定分野は7年未満、または独自の技術開発を証明できる企業であること)、(3)売上高が1,000万ユーロ未満であること、(4)スタートアップではない企業の再編(合併、スピンオフ、転換)に由来しないこと、(5)配当を行っておらず、行ったことがないこと、(6)規制市場に上場していないこと、(7)従業員の60%以上がスペイン国内で雇用契約を結んでいることと定める。

その上で、産業・観光省付属の国家イノベーション公社(ENISA)が同法の適用認証を行う機関として指定された。ENISAが市場性やスケールアップの可能性、技術面での優位性などを審査し認証を行うと定めている。ENISAによると、適用認証のための申請は2023年7月から正式に開始となったものの、「スタートアップ法の施行から事前申請までに設けた事前登録期間に1,300社を超える仮申請を受け付けた」という。なお、2023年12月時点では、565社に認証が発給されたと公表されている(注8)。

スタートアップ法が規定した主な施策のうち、起業から事業開始前後の事業活動にかかるコストや手続き面で特筆すべき項目として、主に以下のようなものが挙げられる(注9)。

  • 税制:認定された企業に対しては4年間、15%の優遇税制を適用(通常税率は23~25%)。投資家向けには所得税に対し、新規設立企業向け投資の10万ユーロ分に対し、50%分の控除を認める(従来は6万ユーロに対する30%)。
  • 手続き:非居住者の投資家は、外国人登録番号(NIE)の取得が不要とする。設立時の公証手数料や登記料を撤廃。また、手続きに係る日数を短縮。
  • 規制:サンドボックス制度(新たな技術の実証を行う際の規制適用除外など)の適用を全セクターに拡大。
  • 保有株式:ストックオプション制度として、取得株式売却時の利益に対する非課税枠を5万ユーロに拡大(従来は1万2,000ユーロ)。また、株主総会は、取締役、従業員、その他の従業員に対し、報酬計画の実施を目的として、資本金の20%を上限とする自己株式の取得を承認することができる。
  • ビザ:高度人材、起業家、多国籍企業の越境テレワーカーなどを対象に、本人・帯同家族も含めて5年間の居住・就労が可能となる「デジタルノマド」査証の発給。条件として、(1)スペインに定住を希望する国際的なリモートワーカーであることが証明できること、(2)有名大学・ビジネススクールを卒業していること、(3)外国企業に1年以上雇用されていること、(4)専門家として3年経験を有すること、(5)3万240ユーロを超える口座残高、もしくは2,520ユーロ以上の月額所得を有することなどを規定している。また、スペインで獲得する所得は総所得の20%が上限とされている(注10)。
  • 非居住者優遇税制:国際タレント(外国人およびスペイン人帰国者)に適用する非居住者向け優遇所得税率24%(最初の60万ユーロが対象)を最大6年間にわたり適用する。外国居住期間は過去10年が上であったものを5年間に緩和。

EU域外人材を対象とするデジタルノマド査証の発給審査は2023年3月ごろから開始されており、ENISAの審査を経て、2023年11月末までに600件弱が発給された。その多くはロシアCIS諸国や米州からの申請という(注11)。

スタートアップ・エコシステムへの公的資金支援は年々拡大

政府によるスタートアップ向けの資金調達支援スキームは、主に融資、助成金、ファンドを通じた出資などの形態に分けられ、国と州がプレシードからアーリー、レーターまでさまざまな成長段階で資金支援を行っており、近年はEU復興基金の恩恵を受け、資金が大幅に増加している(表1参照)。

このうち、融資関連業務は、スタートアップ法の下での認証機関に指定されている前出のENISAが起業から成長段階までのステージ(若手起業家、起業家、成長企業)に応じた複数の融資スキームを有する(表2参照)。また、女性起業家によるデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進するための融資スキームや地方・農村部のデジタル化を支援する融資スキームも存在する。いずれも、担保・保証不要、一般的に市場で入手可能なものよりも有利な金利や返済条件で長期の融資を提供しつつ、利益拡大に応じて金利を上乗せする利益連動型融資の形をとっている。

表2:ENISAの提供するスタートアップ向け融資スキーム
融資対象(種類) 若手起業家 起業家 成長企業
設立からの期限 申請時点で設立24カ月以内であることが求められる 申請時点で設立24カ月以内であることが求められる 特になし
融資額 最低2万5,000~
上限7万5,000ユーロ
最低2万5,000~
上限30万ユーロ
最低2万5,000~上限30万ユーロ
金利
  • 第1段階:取引の格付けに応じて、Euribor+2%、またはEuribor+3.25 %。
  • 第2段階:財務収益性に応じて変動金利を適用。上限は格付けに応じて3~6%の間で設定
  • 第1段階:取引の格付けに応じて、Euribor+2%、またはEuribor+3.75 %。
  • 第2段階:財務収益性に応じて変動金利を適用。上限は格付けに応じて3~6%の間で設定
  • 第1段階:取引の格付けに応じて、Euribor+2 %、またはEuribor+ 3.75 %。
  • 第2段階:財務収益性に応じて変動金利を適用。上限は格付けに応じて3~8%の間で設定
満期 最長7年 最長7年 最長9年
元本返済期間 最長5年 最長5年 最長7年
手数料 0.50% 0.50% 0.50%
自己資本等の要件 資本金または出資金を通じて、融資の少なくとも50%を拠出する必要あり。また資本の過半が資本の過半数が40歳以下の個人に属していること 少なくとも融資額と同額の自己資本を有し、プロジェクトの資金需要に対して協調融資を行うこと 少なくとも融資額と同額の自己資本を有し、プロジェクトの資金需要に対して協調融資を行うこと。
30万ユーロ以上の融資の場合、直近の会計年度の財務諸表が外部監査を受けていること。
報告義務など 融資期間中、企業情報(ウェブサイト、公表資料など)でENISAからの融資を受けていることを明示。所定のシールを貼付。融資の正式決定前に、企業ポータルの主要な表示エリアに同シールを表示した画像を提出

出所:ENISAウェブサイト記載情報を基に作成

なお、ENISAが公表する支援実績(2023年12月時点)によると、これまでに7,410社の中小企業・スタートアップ向けに8,486件の融資が提供され、その融資額は総額12億9,700万ユーロに上る。2022年については、1,689件の融資申請のうち643件を認可し、合計1億552万ユーロの融資が実施されたと報告されている(注12)。

このほか、スタートアップが有する研究開発やプロジェクトの内容やレベルによって、公的機関からの助成金の活用も検討に値する。科学・イノベーション・大学省傘下の産業技術開発センター(CDTI)では、スペイン企業の技術革新を促進する研究開発事業を助成する複数のスキームを有する。研究開発側のプロジェクトを有する事業者は、CDTIのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから、自社のニーズに合わせた助成金を含む支援スキームやサービスを検索することが可能だ。

政策金融機関がファンド組成

スペイン経済・商業・企業省が直轄するスペイン開発金融公庫(ICO)は、1986年にスペインで最初のVCであるAXISを設立し、以来、スタートアップへの出資やファンドの提供を通じ、企業の成長を支援している。AXISはスペインのエコシステムで、2023年11月までに、91億5,000万ユーロ規模のファンド資金を運営、20億ユーロの出資、230の投資先企業向けにファンドを有する(注13)。

また、スペイン国内の政策金融機関に加え、EUレベルでは、欧州投資基金(EIF:European Investment Fund)を通じ、特定の分野や地域で、スタートアップを含む幅広い投資プロジェクトに資金を提供するための投資プラットフォームを有する。EIFは各国の開発銀行とも連携し、各国でスタートアップ向けファンドにも数多く参画している実績がある。例えば、EIFの主導により、スペインのほか、ドイツ、フランス、イタリア、ベルギーからの拠出金や欧州投資銀行(EIB)グループの資金リソースを活用して2023年2月に新たに発足したETCI: European Tech Champions Initiative外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、欧州のVC市場でEIFの広範な活動を基盤に、EIBのリソースを活用することによって、レーターステージへの積極資金の投入を促すスキームで、主に以下のような特徴を有している。

  • 欧州のスケールアップギャップに取り組む37億5,000万ユーロ規模のファンドオブファンズで、複数の既存ファンドを組み入れたファンドとして組成。
  • 比較的規模の大きいVCファンドに投資し、同ファンドを通じ、後期成長段階にある欧州のハイテクチャンピオンに成長資金を提供する仕組み。
  • ETCIスキームを通じ、約10億ユーロのVCファンドに10~15件の投資を実施。成長段階にある革新的企業への100億ユーロを超える投資の動員を目指すもの

カタルーニャ州はディープテックの事業化・成長に公的資金投下

前述の国による支援に加え、各自治州もスタートアップ・エコシステムに資金を供給している。特にカタルーニャ州は、カタルーニャ州金融公庫(ICF)などの機関を通じて、国の支援が限定的な技術移転や設立初期段階の支援を手厚く補完するとともに、ディープテックや革新的技術を持つスタートアップに的を絞った直接投資(またはVCとの共同投資)や一部出資型融資、最大25万ユーロの補助金など、相当のリスクを取った支援を実施している(表1参照)。財源は、EU復興基金や欧州地域開発基金(ERDF)などの欧州基金が原資の場合が多い(注14)。

ICFはEIFと共同で、カタルーニャ州の大学・研究機関発の技術移転プロジェクトや知財、プレシードを中心に投資する先端技術投資基金(FITA)を新設し、2023年から運用を開始した。同ファンドの運用業務の委託を受けた民間VCのグロウ・ベンチャー・キャピタルのフランシスコ・バディア代表によると、ディープテックの事業化に特化したVCはスペインには同社を含めまだ4社しかないという(注15)。VC側には創業者とのネットワークやIP業務の知識・経験などが求められる投資分野である上、大学側もバルセロナ大学やマタロー大学など一部を除き、事業化や価値創造に対する意識が依然低いところも多く、ニッチな分野だからこそ、公的支援も手厚い。ディープテックについては、バルセロナ市も2024年に市経済開発公社(Barcelona Activa)を通じて1,000万ユーロのファンド投資も行う予定で、州と市が一体となって同分野の国際プレゼンス強化を目指している(注16)。

強化されるRising up in Spain プログラム

融資やファンドなどの資金面以外で、スタートアップ向けに、コーチングやネットワーキング、機会の提供など、広範な支援サービス提供するのがICEXだ。前出のアルベルト・サンス金融・投資促進部長によると、ICEXの主な役割には大きく、(1)国外のスタートアップ、資本、タレントの国内誘致、(2)海外市場進出支援、海外でのスペイン企業のためのエコシステム形成の双方向の支援があるという。その中でも、(1)の企業誘致の柱となる「Rising up in Spainプログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」は、スペインでの起業の総合支援スキームとして、国内外で広く認知されている。同プログラムは、ビザ取得支援から、国内の適切な助成金やファンドなど資金調達関係先の紹介と斡旋、支援団体や学術機関とのネットワーキング、国内パートナーと連携・協業支援、コワーキングスペースの提供、登録メンターや弁護士による各種手続き支援、ピッチノウハウの提供などに至る広範なサービスが魅力で、「年間の支援対象となるスタートアップ数が15社に限定されていたが、この枠に300社を超える申請が寄せられる状況にあった」(アルベルト・サンス部長)という

そのため、ICEXでは2023年度から、同プログラムの支援対象企業枠を年間15社から50社に拡大。2023年10月までに20社を超える企業への支援が決定している。

英国VCアトミコの欧州スタートアップ報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(19.7MB)によると、2023年はインフレと利上げ、また、景気の先行き不透明を背景に、欧州域外のVCからの投資が冷え込み、スペインの資金調達額は前年を4割下回ると予測される。その一方で、スペインのエコシステム関係者が「状況は改善している」とみなす割合はポーランドやポルトガルに次いで高かった。このような楽観の背景には、スタートアップ法や長期戦略などの政策整備、復興基金が追い風となった公的支援の拡充や、急速ながらも着実に成長してきたエコシステムの強靭(きょうじん)性もある。

スペインのスタートアップ・エコシステムの初期成長のきっかけとなったのは、2009年以降の世界金融危機から欧州債務危機に至る5年近くの景気低迷と高失業だ。逆境だからこそリスクを取るという精神は、バルセロナ、マドリードという欧州有数のエコシステムの形成と決して無関係ではないだろう。


注1:
ディールルームによる推計値。エコシステム内の全スタートアップ企業の評価額の合計。直近のベンチャーキャピタル(VC)ラウンド、パブリックマーケット、公表されたバリュエーションなどに基づく推定価値を使用。
注2:
2023年10月27日、マドリード市、ICEX事務所でのインタビューに基づく
注3:
StartupBlinkのエコシステム報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(21.05MB)記載情報に基づく
注4:
欧州スタートアップ専門誌EU-Startups2022年9月13日付記事外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます記載情報に基づく
注5:
マドリード州政府「2023 Madrid Region Startup Report外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」記載情報に基づく
注6:
カタルーニャ州政府「Barcelona & Catalonia Startup Hub 2022 AnalysisPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.38MB)」と起業家支援団体Endeavor「Mapping Spain's Tech Sector外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の記載情報に基づく
注7:
マドリード州政府2023年3月20日付プレスリリース(スペイン語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます記載情報に基づく
注8:
2023年11月17日、ENISAへのオンラインインタビューでの聴取に基づく
注9:
スペイン政府起業支援ポータル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます記載情報に基づく
注10:
スペイン外国人局ポータル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます記載情報に基づく
注11:
2023年11月17日、ENISAへのオンラインインタビューでの聴取に基づく
注12:
ENISA2023年12月14日付プレスリリース(スペイン語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(293KB)記載情報に基づく
注13:
AXISウェブサイト(スペイン語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます記載情報に基づく
注14:
ICFウェブサイト(スペイン語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます記載情報に基づく
注15:
2023年10月26日、バルセロナ市、Grow Venture Partnersでのインタビューに基づく
注16:
Barcelona Activaウェブサイト(スペイン語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます記載情報に基づく
執筆者紹介
ジェトロ調査部国際経済課長
伊藤 博敏(いとう ひろとし)
1998年、ジェトロ入構。ジェトロ・ニューデリー事務所、ジェトロ・バンコク事務所、企画部海外地域戦略主幹・東南アジアなどを経て現職。主な著書:『FTAの基礎と実践:賢く活用するための手引き』(編著、白水社)、『タイ・プラスワンの企業戦略』(共著、勁草書房)、『アジア主要国のビジネス環境比較』『アジア新興国のビジネス環境比較』(編著、ジェトロ)、『インドVS中国:二大新興国の実力比較』(共著、日本経済新聞出版社)、『インド成長ビジネス地図』(共著、日本経済新聞出版社)、『インド税務ガイド:間接税のすべてがわかる』(単著、ジェトロ)など。
執筆者紹介
ジェトロ・マドリード事務所
伊藤 裕規子(いとう ゆきこ)
2007年よりジェトロ・マドリード事務所勤務。