外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用

最終更新日:2023年09月01日

外国人就業規制

外国人の就業には、モロッコ政府の許可が必要。

外国人がモロッコで就業するためには、給与所得者の場合は労働・職業統合省の認証入り雇用契約が、自営業者の場合は内閣官房発行の事業許可が、起業者の場合は商業・事業税登録簿への登録(登記)が、それぞれ必要となる。

外国人の雇用契約認証のための手続きは、オンライン・プラットフォーム「TAECHIR」から行う。

2017年6月1日以降、外国人の雇用契約認証はTAECHIRを介した申請のみが受理される。また、認証取得期間は最長で10日間である。

在留許可

3カ月以上の滞在には、滞在許可証が必要となる。

モロッコに3カ月以上滞在するか、あるいはモロッコでの就業を希望する外国人は、入国から15日以内にモロッコ当局に滞在許可証の申請をしなければならない。滞在許可証の有効期間は1年。

更新手続きは、有効期間が終了する2カ月前までに行わなければならない。滞在期間が3年を超えると、有効期間10年の滞在許可証を申請する権利が得られる。

銀行口座開設や自動車登録には滞在許可証が必要。滞在許可証の申請は、所轄の警察署あるいは憲兵署で行う。なお、モロッコでは内縁関係は夫婦と認められていないため、内縁関係の身分では滞在許可証を取得することができない(在モロッコフランス総領事館ウェブサイトより)。

現地人の雇用義務

法的に現地人の雇用義務はない。ただし、外国人労働許可証については、全国雇用・能力促進局(ANAPEC)から取得する必要がある。

モロッコには、現地人の雇用を無条件で義務付ける法制度はない。
ただし、外国人の雇用を希望する企業は、全国雇用・能力促進局(ANAPEC)に外国人雇用許可証を申請しなければならない。これは、現地人の雇用を優先するために2006年9月に導入された措置で、就職斡旋機関でもあるANAPECを通じて、現地人の中に当該ポストに適切な人材がいないことが証明されて初めて、外国人の雇用が可能になるという趣旨である。

申請手続きは次のとおり。

  1. 企業はANAPECに、外国人労働許可証の申請書を提出する。
  2. ANAPECの求人サイトと新聞、SNSなどに求人広告を掲載する。
  3. ANAPECは、新聞社に寄せられた応募案件とANAPECの求職者データベースから、候補者を絞り込む。
  4. 当該ポストに相応しい人材が見つからなかった場合、ANAPECは、外国人の雇用を許可する証明書を発行する。
  5. 候補者が1人以上見付かった場合、ANAPECは企業に候補者リストを提示し、企業は候補者との面接等を行う。
  6. 企業が候補者の中に当該ポストに相応しい人材がいないと判断した場合、雇用・職業統合省に報告書を提示して判断を委ねる。

なお、外国人であっても、モロッコ人の配偶者、モロッコで生まれモロッコに定期的に居住している者、企業の経営者・株主、派遣期間6カ月未満の技術専門家、チュニジア人、アルジェリア人、セネガル人、本社から期間限定(2~3年)で派遣される者、カサブランカ・ファイナンス・シティ(CFC)のステータスをもつ企業の従業員などには外国人労働許可は不要であり、賃金水準も法定最低賃金(SMIG)によって保障されている。また、あらかじめ特定された企業・NGOの要職およびモロッコの雇用市場では確保が不可能・困難な職種に関しては、労働許可取得に際して簡易手続きが適用される。

SMIG(2023年9月1日以降)は次の通り。

  • 商工業・サービス部門は、時給16.29ディルハム(月額3,111.39ディルハム)。
  • 農業部門は、日給88.58ディルハム(月額2,303.08ディルハム)。

なお、法定週労働時間は44時間で、社会保障費負担率は、従業員が6.74%、雇用者が21.09%である。

全国雇用・能力促進局(Agence Nationale de Promotion de l'Emploi et des Compétences:ANAPEC) "PROCEDURE D’OCTROI DE L’ATTESTATION D’ACTIVITE EN FAVEUR DES SALARIES ETRANGERS AU MAROC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

その他

特になし。