特集:分断リスクに向き合う国際ビジネス 貿易の分断は進むか
米国の貿易を中心に読み解く

2023年9月11日

2020年から世界を襲った新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の脅威が低下したことに伴い、2021年から2022年の世界経済は回復し、世界の貿易額(輸出額ベース)も過去最高額を更新してきた。しかし、2023年、世界経済は下降局面に入っている。IMFが7月に発表した世界経済見通しによると、2023年の世界の実質GDP伸び率は3.0%と、前年の3.5%から0.5ポイント減速する。中でも、先進国・地域の景気悪化が足を引っ張るかたちだ。世界経済の低迷に伴い、貿易の伸びにも鈍さが目立つ。

近年、IMFなどの国際機関は経済と貿易の先行きに対して、下振れする因子として「地政学的な分断リスク」や「貿易制限措置の増加」を挙げる。実際に、米中貿易摩擦やロシアによるウクライナ侵攻など、経済や軍事面の主要国・地域での対立が世界的なサプライチェーンの寸断や、資源価格の高騰、各国・地域の農産品の輸出禁止措置の発動など、世界貿易鈍化の要因を生み出しているのは明白だ。

加えて、経済安全保障を動機とした貿易管理強化、戦略物資の国内製造とサプライチェーン強靭(きょうじん)化を支援する主要国・地域の産業政策、自国または域内産業の保護・高度化を狙った輸出制限措置などを背景に、世界貿易には徐々に分断の兆しも見える。貿易の分断は進むのか、主要国・地域の貿易関係から読み解くことを試みる。

強まる分断リスクへの警戒

2022年の世界貿易(名目輸出ベース、ジェトロ推計)は24兆2,400億ドルとなり、前年に続いて20兆ドルを超える過去最高額を記録した。金額の伸びは11.1%増、数量の伸びは2.3%増と、ともにプラス成長を維持した。しかし、2023年第1四半期(1~3月)の主要33カ国・地域(注)の輸出額の伸び率は前年同期比0.1%減となり、増勢は失われつつある。国連貿易開発会議(UNCTAD)が6月に発表した「四半期報告書(Global Trade Update)によると、2023年第2四半期(4~6月)の世界の財貿易(推計)も鈍化と予測、同年下半期の貿易も悲観的な見通しを示す。背景には、ウクライナ紛争の長期化や主要国・地域での貿易制限措置の増加など、地政学的な要因が潜む。

IMFが2023年4月に発表した「世界経済見通し」では、2022年の財・サービス貿易の対GDP比は58.8%で、ピークを記録した2008年(61.0%)以降、勢いは弱まっている。これまで、自由貿易体制の下で形成されてきた世界貿易は「スローバリゼーション(グローバリゼーションの減速)の様相を呈している」と指摘される状況だ。同時に、地政学的リスクも近年著しく高まっている。同じくIMFの発表によると、地政学リスク(1985~2019年の平均を100とした年平均値)は2019年以降100を切る水準だったが、ウクライナ紛争が勃発した2022年には160まで急増している。また、企業活動では「リショアリング(自国回帰)」「フレンドショアリング(信頼できる国・地域のサプライチェーン構築)」「ニアショアリング(地理的に近い近隣国への移転)」への関心も過去に例を見ない水準まで高まっている(図1参照)。

図1:地政学的リスク・リショアリングへの関心の高まり
地政学的リスクは、2005年101.5、2006年104.0、2007年93.7、2008年81.2、2009年83.1、2010年90.1、2011年90.1、2012年81.5、2013年83.0、2014年100.3、2015年106.0、2016年98.7、2017年107.4、2018年98.6、2019年91.0、2020年77.3、2021年83.7、2022年160.3。リショアリングへの関心は、2005年0.3、2006年0.6、2007年0.8、2008年0.5、2009年0.5、2010年0.8、2011年0.7、2012年0.7、2013年0.7、2014年1.0、2015年1.3、2016年0.9、2017年1.7、2018年1.4、2019年1.8、2020年5.1、2021年4.9、2022年8.7。

注1:単位は、左軸が指数、右軸がサンプル企業の決算説明会で「リショアリング」に言及した頻度。
注2:地政学的リスクは1985~2019年を100とした年平均値(IMFの計算による)。
注3:リショアリングへの関心はサンプルの多国籍企業による決算説明会で「リショアリング」「フレンドショアリング」「ニアショアリング」の言及された頻度をIMFがテキストマイニング分析したもの。
出所:IMF「世界経済見通し(2023年4月)」

特に、米国の「インフレ削減法(IRA)」(2022年8月発効、2023年8月18日付ビジネス短信参照)、「CHIPSおよび科学(CHIPSプラス)法」(2022年8月発効、2023年8月10日付ビジネス短信参照)、EUの「グリーン・ディール産業計画」(2023年2月発表、2023年2月3日付ビジネス短信参照)、「欧州半導体法案」(2023年7月採択、2023年8月2日付ビジネス短信参照)などに代表される主要国・地域による大規模な補助金制度を含む大型政策は、企業によるサプライチェーンの見直し・再編の計画に影響を与えていると考えられる。

同志国・近接国との貿易へシフトする動き

今後、こうした政策に伴う生産拠点の新設・移転や再編の動きにより、貿易への影響が出てくることが考えられる。ここでは主要国・地域間の貿易関係の現状を整理してみたい。表1は、主要国・地域の2023年第1四半期の貿易額を輸出ベースでマトリクス化し、2023年第1四半期の輸出額を上段に、新型コロナからの回復基調がみられた2021年第1四半期(2年前の同時期)と比較した伸び率を下段に示した。

表1:世界の貿易額マトリクス(上段:2023年第1四半期貿易額、下段:2021年第1四半期比伸び率)(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値、-は値なし)
項目 国・地域名 輸入
世界 USMCA 米国 EU 日本 韓国 台湾 中国 ASEAN
輸出 世界 5,810,903 999,965 732,576 1,834,502 184,704 151,018 78,964 514,490 448,873
16.5 16.0 14.0 20.6 15.3 16.4 1.3 0.3 18.4
USMCA 793,495 399,316 226,400 107,395 23,259 18,612 10,238 47,480 28,350
25.7 26.3 29.2 49.3 12.1 2.2 10.3 10.9 18.1
米国 508,764 167,295 95,315 19,073 15,848 9,726 38,892 26,028
25.9 22.9 53.8 9.6 1.2 13.1 10.8 17.0
EU 1,802,674 143,098 118,268 1,153,314 16,324 13,213 8,809 56,321 23,394
13.1 7.6 5.4 17.8 △ 7.1 △ 11.5 12.6 △ 14.2 2.7
日本 173,906 38,655 33,148 17,491 12,580 11,434 28,946 27,040
△ 3.9 5.8 4.9 1.0 △ 1.1 △ 7.9 △ 24.0 0.1
韓国 151,353 32,052 26,977 17,765 7,055 4,289 29,560 26,324
3.4 18.3 18.1 9.8 3.1 △ 17.1 △ 18.8 11.9
台湾 90,906 16,480 14,901 7,979 6,637 4,314 19,554 15,867
△ 0.6 12.1 12.1 24.8 24.4 1.2 △ 25.1 3.1
中国 821,891 144,509 115,474 126,120 40,775 38,834 15,879 139,075
15.8 0.4 △ 3.3 14.3 5.3 22.4 △ 7.2 32.3
ASEAN 459,900 77,701 70,141 42,594 32,347 19,090 12,108 72,127 103,264
16.5 19.8 18.3 15.1 15.6 20.5 5.2 19.9 16.0

注1:輸出ベースで作成。
注2:台湾の輸出額はDOTSに収録がないため、Global Trade Atlasを使用。
注3:太字は伸び率が20%増以上。
出所:「DOTS (2023年6月版)」(IMF)とGlobal Trade Atlasから作成

まず、世界全体の貿易額の伸び率は16.5%の増加だった。特に伸び率が高い貿易関係を見てみると、米国およびUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)からEU向け(それぞれ53.8%増、49.3%増)、USMCA域内(26.3%増)、EU域内(17.8%増)、中国からASEAN向け(32.3%増)などが世界全体の伸び率と比較して高かった。特に米国およびUSMCAからEU向けの輸出の伸び率の高さは、米国からの天然ガス等(HS2709 )の伸び率に起因している。価格の高騰に加え、ウクライナ紛争を背景に、EUがエネルギーの脱ロシア依存を進めた結果と考えられる。

他方で、主要国・地域から中国向けの輸出は、ASEANからの輸出(19.9%増)を除いて、軒並み世界全体の伸び率を下回る。2023年に入り、中国では厳格な操業制限措置などを伴うゼロコロナ政策が終了したことで、経済活動の回復が期待されていたが、国内経済の回復力は弱い。中国向けの貿易の伸び悩みもこうした国内景気の低迷が主因と考えられる。加えて、米国による先端半導体や半導体製造装置を含む関連製品の貿易管理強化も、米国やそれ以外の国・地域から中国向けの輸出に影響を与えた可能性がある。

対して、中国からの輸出をみると、対世界では15.8%増と増加しているが、ASEAN向け(32.3%増)、韓国向け(22.4%増)以外の主要国・地域の伸び率は世界全体を下回る。台湾向け(7.2%減)は、中国以外の国・地域からの輸出もやや低調で、主要な取引品目の集積回路(HS8542)をはじめとする世界的な半導体市場の伸び悩みが要因と考えられる。米国向け(3.3%減)は中国からの輸出のみがマイナスとなり、減少が目立つ。

貿易関係の分断は鮮明には表れていないものの、政治的な価値観を共有する同志国または近接国との貿易を優先する動きは進みつつあるといえるだろう。

輸入ではリスク分散が中心か

主要国・地域の貿易関係を概観したところで、米国を軸に分断リスクが懸念される中国との関係、ニアショアリングが進むメキシコとの関係について、特に輸入に焦点を当てて取り上げてみる。直近の2023年上半期(1~6月)の米国の輸入総額は1兆5,209億ドルで、前年同期比では6.2%減少した。米国の景気低迷やインフレに伴う消費の鈍化などが減少の主因と考えられる。上位10カ国・地域からの輸入額も、メキシコとドイツを除いて、前年同期割れとなっている(表2参照)。表1と同様に2年前の2021年上半期と比較してみると、輸入総額は14.0%増となった一方で、上位10カ国・地域では唯一中国のみがマイナス成長だった。

表2:米国の国・地域別輸入金額(上位10カ国・地域)(単位:億ドル、%)(△はマイナス値、-は値なし)
順位 国・地域名 2021年
(通年)
2022年
(通年)
2023
(上半期)
金額 金額 金額 伸び率
(各同期比)
2021年比
伸び率
(各同期比)
2022年比
シェア
1 メキシコ 3,826 4,548 2,360 27.3 5.4 15.5
2 カナダ 3,573 4,366 2,106 25.0 △ 5.3 13.8
3 中国 5,043 5,363 2,030 △ 11.1 △ 25.2 13.3
4 ドイツ 1,348 1,466 797 22.0 17.3 5.2
5 日本 1,348 1,481 712 6.2 △ 3.1 4.7
6 韓国 951 1,154 567 25.9 △ 0.1 3.7
7 ベトナム 1,019 1,275 528 10.2 △ 17.4 3.5
8 インド 733 855 424 26.3 △ 3.7 2.8
9 台湾 770 917 409 17.6 △ 8.7 2.7
10 アイルランド 739 826 400 14.5 △ 4.8 2.6
世界 28,289 32,425 15,209 14.0 △ 6.2 100.0

注:2023年上半期(1~6月)の上位10カ国・地域。
出所:Global Trade Atlasからジェトロ作成

全体の約4割を占めるメキシコ、カナダ、中国の3カ国に絞って、過去10年間の米国の輸入に占める3カ国のシェアの推移を見ると、2022年までは中国が首位だったが、2023年上半期ではメキシコとカナダのシェアがそれぞれ中国を上回り、米国による中国依存の低下は鮮明だ(図2参照)。

図2:米国の輸入上位3カ国のシェア推移(2014~2023年)
メキシコは、2014年12.6%、2015年13.2%、2016年13.4%、2017年13.4%、2018年13.6%、2019年14.3%、2020年13.9%、2021年13.5%、2022年14.0%、2023年15.5%。カナダは、2014年14.8%、2015年13.2%、2016年12.7%、2017年12.8%、2018年12.6%、2019年12.8%、2020年11.6%、2021年12.6%、2022年13.5%、2023年13.8%。中国は、2014年19.4%、2015年19.9%、2016年21.5%、2017年21.6%、2018年21.2%、2019年18.0%、2020年18.6%、2021年17.8%、2022年16.5%、2023年13.3%。

注:2014年から2022年までは通年。2023年は上半期。
出所:Global Trade Atlasからジェトロ作成

中国からの輸入額が多い上位10品目(HSコード4桁ベース)をみると、2023年上半期は前年同期と比較して、10品目中8品目で中国のシェアは下がっていることが確認できる。また、同品目のメキシコのシェアを見ると、大半の品目が前年同期比で上昇している。

中国からの輸入上位品目の輸入額をメキシコと比較すると、2023年にシェアが逆転した品目は、腰掛け・部品(HS9401)とモニター・プロジェクター・テレビ(HS8528)となっている。テレビ関連製品や家具類は、中国企業によるメキシコへの投資、中国からメキシコへの生産移管などの動きも見られ、メキシコへのシフトが進んでいると考えられる。また、リモートワーク需要の一巡で伸び悩んではいるが、コンピュータ・周辺機器(HS8471)も、メキシコからの輸入が増加している。2015年ごろまでは6割を超えていた中国のシェアはこの10年で約20ポイント低下した半面、メキシコは2018年から約3割のシェアを保っている。対して、中国が世界全体の輸出の約半数を占めるリチウムイオン蓄電池を含む蓄電池(HS8507)は、他国・地域への代替が難しく、需要の増加に比例して中国のシェアが伸びている。

そのほかの品目では、例えば、中国からの輸入額の首位である携帯電話(HS8517)は、首位の中国(7.8ポイント減)、2位のベトナム(3.0ポイント減)のシェアが低下した半面、3位のメキシコ(2.3ポイント増)、4位の台湾(1.5ポイント増)、5位のインド(4.0ポイント増)など、3位以下の国・地域のシェアが高まるなど、輸入先が多角化する傾向がみられる。

メキシコからの輸入に目を向けると、乗用車(HS8703)、自動車部品(HS8708)の輸入額が大きく、伸び率も高い。今後は米国で成立した「インフレ削減法(IRA)」も後押しして、域内の貿易額は増加が見込まれる。品目ごとに実情は異なるが、米国では、メキシコでのニアショアリング、輸入先を分散する動きが確認できる。新型コロナ禍やウクライナ紛争などを通じて、一国または限られた国に貿易を依存する構造はサプライチェーン寸断のリスクが高いことが浮き彫りになったことから、輸入の現状では「分散」の動きが結果的に中国依存度の低下につながっていると考えられる。

輸出では貿易制限措置が分断を助長

輸出に関しては、輸入ほど顕著な動きは見られないものの、上位5カ国のシェアの推移をみると、中国向けのみが低下している(図3参照)。2023年上半期の中国へ輸出額は726億ドルで、前年同期比1.1%増だった。対世界の輸出額の伸び率は0.8%減の中、プラス成長を保ったが、わずかな増加にとどまる。

図3:米国の輸出上位5カ国のシェア推移(2014~2023年)
メキシコは、2014年12.6%、2015年13.2%、2016年13.4%、2017年13.4%、2018年13.6%、2019年14.3%、2020年13.9%、2021年13.5%、2022年14.0%、2023年15.5%。カナダは、2014年14.8%、2015年13.2%、2016年12.7%、2017年12.8%、2018年12.6%、2019年12.8%、2020年11.6%、2021年12.6%、2022年13.5%、2023年13.8%。中国は、2014年19.4%、2015年19.9%、2016年21.5%、2017年21.6%、2018年21.2%、2019年18.0%、2020年18.6%、2021年17.8%、2022年16.5%、2023年13.3%。

注:2014年から2022年までは通年。2023年は上半期(1~6月)。
出所:Global Trade Atlasからジェトロ作成

中国向け輸出が低調なのは、中国の国内景気の影響も要因の1つだろう。しかし、2020~2021年の2年間で、中国が対米追加輸入を行うことを取り決めた両国間の経済・貿易協定(第1フェーズ、2020年2月発効)の流れには歯止めがかかった印象だ(注2)。2023年上半期の米国から中国への輸出上位品目を確認すると、鉱物性燃料や大豆などは増加している半面、一般機械や電気機械の減少が顕著となっている。HSコード4桁ベースでは、集積回路(HS8542)は前年同期比52.1%減、半導体製造装置(HS8486)は42.2%減と減少幅が特に大きく、2022年10月の米国による輸出管理強化が影響したと考えられる。輸出に関しては、足元の経済安全保障重視の潮流から限定的ではあるが、「分断」の動きが進んでいると言えるだろう。

複合的要因で見通しは不透明

輸入でリスクを分散する動きは米国以外にも表れている。中国の輸入上位国・地域の対中輸入シェアの推移をみると、韓国を除き下降傾向となっている(図4参照)。

図4:主要国・地域の輸入に占める中国の構成比
米国は、2003年12.1%、2004年13.4%、2005年14.5%、2006年15.5%、2007年16.4%、2008年16.1%、2009年19.0%、2010年19.1%、2011年18.1%、2012年18.7%、2013年19.4%、2014年19.9%、2015年21.5%、2016年21.1%、2017年21.6%、2018年21.2%、2019年18.0%、2020年18.6%、2021年17.8%、2022年16.5%、2023年13.3%。ドイツは、2003年4.2%、2004年5.0%、2005年5.6%、2006年6.0%、2007年6.3%、2008年6.3%、2009年6.8%、2010年7.9%、2011年7.1%、2012年6.8%、2013年6.5%、2014年6.7%、2015年7.3%、2016年7.3%、2017年7.0%、2018年6.9%、2019年7.0%、2020年8.0%、2021年8.2%、2022年8.7%、2023年7.0%。オランダは、2003年6.3%、2004年7.4%、2005年8.8%、2006年9.3%、2007年10.5%、2008年10.1%、2009年11.6%、2010年12.7%、2011年12.0%、2012年12.1%、2013年12.0%、2014年12.7%、2015年14.4%、2016年15.7%、2017年16.4%、2018年15.6%、2019年15.6%、2020年17.6%、2021年17.3%、2022年16.2%、2023年14.9%。日本は、2003年19.7%、2004年20.7%、2005年21.0%、2006年20.5%、2007年20.6%、2008年18.8%、2009年22.2%、2010年22.1%、2011年21.5%、2012年21.3%、2013年21.7%、2014年22.3%、2015年24.8%、2016年25.8%、2017年24.5%、2018年23.2%、2019年23.5%、2020年25.8%、2021年24.1%、2022年21.0%、2023年20.4%。韓国は、2003年12.3%、2004年13.2%、2005年14.8%、2006年15.7%、2007年17.7%、2008年17.7%、2009年16.8%、2010年16.8%、2011年16.5%、2012年15.5%、2013年16.1%、2014年17.1%、2015年20.7%、2016年21.4%、2017年20.5%、2018年19.9%、2019年21.3%、2020年23.3%、2021年22.5%、2022年21.1%、2023年22.1%。台湾は、2003年8.6%、2004年9.9%、2005年11.0%、2006年12.2%、2007年12.7%、2008年13.0%、2009年14.0%、2010年14.3%、2011年15.5%、2012年15.1%、2013年15.8%、2014年17.6%、2015年19.4%、2016年19.3%、2017年19.5%、2018年18.9%、2019年20.1%、2020年22.3%、2021年21.6%、2022年19.2%、2023年18.1%。

注1:6カ国・地域は、中国の輸入上位国・地域(香港除く)と台湾。
注2:2003~2022年までは通年。2023年は韓国が1~7月、米国、日本、台湾が1~6月、ドイツ、オランダが1~5月の累計で算出。
出所:Global Trade Atlasからジェトロ作成

これら主要国・地域のうち、特に米国、オランダ、日本、ドイツでは対中貿易赤字も拡大傾向にあり、昨今の地政学的リスクも追い風となって、輸入依存度を低減させる傾向にあることが考えられる。貿易赤字の解消には、輸出を増やすことも対応の1つだが、米国と同様、経済安全保障上の重要品目では、輸出を抑制する手段を進め始めているのが現状だ。 なお、電気自動車(EV)やバッテリー、希少鉱物・金属などの一部原材料など、中国が高い世界シェアを有する品目では、中国による対抗策の可能性も低くはない。実際に、2023年8月1日からはガリウム、ゲルマニウムの輸出規制(2023年7月4日付ビジネス短信参照)を設け、中国への投資制限に関する米国大統領令に対する反対の意思を表明(2023年8月21日付ビジネス短信参照)するなど、今後のさらなる分断リスクの一端をのぞかせている。企業活動では、自社の商材が貿易制限措置や主要・国地域の産業政策の対象となる可能性を吟味し、各国・地域の動静に注意を払う必要性が高まっている。


注1:
33カ国・地域は、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、中国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、香港、インド、インドネシア、アイルランド、イタリア、日本、ルクセンブルク、マレーシア、オランダ、フィリピン、ポルトガル、シンガポール、南アフリカ共和国、韓国、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、タイ、英国、米国。
注2:
米中間の経済・貿易協定(第1フェーズ)では、貿易分野で中国が輸入する米国製の農産品、工業製品、エネルギー関連品目、サービスについて、2020年から2021年までの2年間で、2017年を基準として2,000億ドル(物品貿易1,621億ドル、サービス貿易379億ドル)以上の追加輸入を行うことが同意された。ピーターソン国際経済研究所(2022年7月19日)によると、達成率は62%にとどまった。2023年8月末現在、第1フェーズ未達への対応を含めて、具体的な進展は見られない。
執筆者紹介
ジェトロ調査部国際経済課
田中 麻理(たなか まり)
2010年、ジェトロ入構。海外市場開拓部海外市場開拓課/生活文化産業部生活文化産業企画課/生活文化・サービス産業部生活文化産業企画課(当時)、ジェトロ・ダッカ事務所(実務研修生)、海外調査部アジア大洋州課、ジェトロ・クアラルンプール事務所を経て、2021年10月から現職。