外資に関する規制

最終更新日:2023年10月30日

規制業種・禁止業種

商業代理業務および輸入業等。

商業代理業については、商業代理業法(1982年法律120号)により、エジプト資本100%の企業であることが求められる。商業目的の輸入については、輸入者登録法(1982年法律121号、2017年7号、2023年173号改定)により、資本金は株式会社で500万エジプト・ポンド以上、有限責任会社で200万エジプト・ポンド以上などの輸入登録(ライセンス取得)の条件がある。ただし、投資保護・優遇措置法(1997年法律8号)に基づいて設立された企業は、輸入者登録をすることなく、必要機材・原料等を輸入することが可能である。個人の場合は、商業代理業および商業目的の輸入業務はエジプト人に限定されている(エジプト国籍を取得した場合は10年以上経過していること)。

(参考資料)ジェトロ調査レポート「中東・北アフリカ諸国の商業代理と商品・サービスの販売(アラブ首長国連邦(UAE)・サウジアラビア・イラン・トルコ・エジプト)(2012年3月)」(※エジプト:44~53ページ)

2017年法律196号により、これまで政府が独占していたガス事業について、新たに民間企業が輸送・保管・流通・販売・輸入業務を行うことが認められたが、これらの業務を行うにあたっては、認可団体による許可が必要となる。

また、シナイ半島地域への投資、軍事物資生産および関連産業、タバコおよびタバコ製品製造業への投資については、投資フリーゾーン庁(GAFI)と関係省庁の事前承認が必要である。

出資比率

100%まで出資可能。

投資法(2017年法律72号)および会社法(1981年法律159号)のいずれかに基づいて設立された企業についても、外国資本の100%出資が認められる。

外国企業の土地所有の可否

投資法(2017年法律72号)は、出資者の国籍・居住地出資比率にかかわらず、外国企業による会社・組織活動用の土地と建物所有については、その権利を認めている。管轄省庁の許可が必要。

資本金に関する規制

会社組織形態の最低資本金の規定がある。

株式会社(Joint Stock Company

株式を一般公募する場合の発行株式資本金最低額は100万エジプト・ポンド(以下、「LE」)、株式を一般公募しない場合の発行株式資本金最低額は25万LEである。

有限責任会社(Limited Liability Company

最低資本金に関する規定はない(投資省令2009年90号にて、設立者間で自由協議の上、設定することに変更)。

単独株主会社(Single Shareholder Company

2018年法律4号(会社法の改定)にて単独の株主による会社設立が規定され、2022年政令第2928号において最低資本金は1,000LEに引き下げられた。

ただし、保険・銀行・預金・投資分野の企業設立は、株式会社の形態のみ可能であり、最低資本金は500万LEとなる。
なお、資本金額により、雇用可能な外国人管理職者数が規定されている。

(参考資料)ジェトロ調査レポート「エジプトにおける事業形態の概要比較(2012年3月)
(参考資料)ジェトロ「エジプト法人の外国人労働者(管理職級)人数における最低資本金の規定PDFファイル(953KB)

その他規制

海外からの直接投資の報告書提出を義務付けた。企業の合併、買収、合弁会社設立については、エジプト競争庁の承認が必要。

2020年首相令2731号にて、企業に対し、海外からの直接投資において、四半期ごとの報告と、年間報告を義務付けた。あわせて資本金、株式保有体制、役員会の構成に変更があった際にも報告を義務付けた。未提出の際は5万エジプト・ポンドの罰金が適用される。

競争保護法(2005年法律3号)が2022年法律175号により改正され、企業の合併、買収、合弁会社設立取引について、契約締結前にエジプト競争庁(Egyptian Competition Authority)による検査および承認が必要となった。未提出の際は、売上高、資産額、取引額のいずれかに応じた罰金が科される(いずれも算出が困難な場合は3,000万~5億エジプト・ポンドの固定額)。