税制

最終更新日:2023年10月24日

法人税

連邦と各州で、それぞれ課税される。連邦法人所得税の標準税率は15%、州法人所得税は州によって異なる。

連邦法人所得税(Federal Income Tax

課税対象所得に対する連邦法人所得税の標準税率は15%である。
これは基本税率の38%から、州法人所得税(各州で異なる)を賦課する場合に免除される10%の軽減率(federal abatement)を控除し、段階的に削減される減税分(13%)を差し引いた税率である。計算式は次のとおり。

38%〔基本税率〕-10%〔軽減率〕-13%〔減税率〕=15%

非カナダ居住者法人への特別付加税は、2008年以降免除されているが、確定申告の際には追加書類提出が課せられているので、確認が必要。

歳入庁:非カナダ居住者法人への所得税に関する情報 "Income tax information for non-resident corporations外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

(参考)歳入庁:法人確定申告について "Corporation income tax return外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

州法人所得税(Provincial Income Tax

各州は、州内の恒久的施設(Permanent Establishment)における所得に対し、所得税を課している。税率は法人の形態や州により異なり、0~16%。

オンタリオ州の税率は、一般的には11.5%で、製造業、加工業、農林水産業、鉱業は、州税の控除を受けることができ、税率は10%に軽減される。

オンタリオ州政府:法人所得税 "Corporate Income Tax外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

(参考)歳入庁:現行の連邦・州の法人所得税率 "Corporation tax rates外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

二国間租税条約

日加間の源泉税率は、親子会社間の配当は5%または15%、利子は0%または10%以下、ロイヤルティーは10%以下。

源泉徴収税率

  1. 配当
    • 25%以上の議決権付株式を有する法人:5%
    • 25%未満の議決権付株式を有する法人:15%
  2. 利子
    • カナダ政府もしくは中央銀行、政府所有金融機関によって保証された債権もしくはこれらによる間接融資にかかる債権に対して支払われる利子:0%
    • カナダ子会社から関連会社(日本の親会社など)に対して支払われる利子:10%以下
  3. ロイヤルティー(Royalty):10%以下

その他税制

連邦物品サービス税(GST)、州・売上税(PST)、統一売上税(HST)、金融機関に対する連邦資本税(Federal Capital Tax on Financial Institutions)、州資本税(Provincial Capital Tax)、最低法人所得税(CMT)、配当・ロイヤルティー・利子・キャピタルゲイン課税など。

連邦物品サービス税(Goods and Services Tax:GST)

商品とサービスに課される付加価値税で、通常GSTと呼ばれる。現在の税率は5%。「関税制度」の「関税以外の諸税」の項も参照。後述「統一売上税(HST)」の項で触れる5州では、HSTに含めて徴収されている。
GSTは、カナダで取引されるほとんどの物品とサービスを課税対象としているが、日常生活に密接なものについては、非課税または税率0%が適用される。

  • 税率0%の品目には、基本的な食材(牛乳、パン、野菜など)、農産品(穀物、原毛)、処方箋薬、医療機器(補聴器、人口歯)などがある。
  • 非課税品目には、中古住宅、ヘルスケアや歯科治療サービスの大部分、託児サービスの一部、教育サービス、金融サービスなどの多くが含まれる。

州・売上税(Provincial Sales Tax:PST)

消費や使用の目的で購入された有形動産などに対し、州が課税するもの。

統一売上税(Harmonized Sales Tax:HST)

次にあげる5州では、PSTとGSTを一体化して統一売上税(Harmonized Sales Tax:HST)として徴収している。

  • HST導入済みの州とその税率
    オンタリオ州:13%
    ノバ・スコシア州、ニューファンドランド・ラブラドール州、ニューブランズウィック州、プリンス・エドワード・アイランド州:15%

HSTについては、歳入庁のウェブサイトに詳しく説明されている。
歳入庁:

金融機関に対する連邦資本税(Federal Capital Tax on Financial Institutions

カナダで事業を営む銀行、信託会社、生命保険会社、ローン会社など、一定の金融機関を対象として、10億カナダ・ドル以上の課税資本金に対して1.25%の税率が課せられる。資本税額からは、連邦法人税を控除できる。

州資本税(Provincial Capital Tax

2023年時点で、次の各州は、銀行、信託会社またはローン会社に対し、州内で使用される資本に対して課税している。州の所得税の計算に際しては、支払った本税は、損金として控除できる。

最低法人所得税(Corporate Minimum Tax:CMT)

オンタリオ州では、売上高が1億カナダ・ドル以上で、かつ総資産5,000万カナダ・ドル以上の企業においてCMT繰越損失がある場合、財務諸表上の利益から同損失額を差し引いた額に対して2.7%の最低法人税が課せられる。CMTは、通常の方法で計算された所得税をCMTが上回った場合に、最低支払額として課税される。
なお、これら対象となる企業の売上、総資産金額、適用税率については、すべて2010年7月1日以降に終了する税務年度分のもの。

オンタリオ州:最低法人所得税 "Corporate Minimum Tax外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

配当・ロイヤルティー・利子・キャピタルゲイン課税

配当、ロイヤルティー、利子、キャピタルゲインについては、いずれも課税対象である。これらは、各申告主体の所得として合算され、その上で通常の所得税率が適用される。

キャピタルゲインについては、その2分の1の額だけが課税対象。キャピタルロスは、その2分の1の額を控除できる。
これらの所得を非居住者が受け取った場合は、源泉徴収税が適用される。その税率は、各国と締結した租税条約によって異なり、日本の場合は日加租税条約に基づく。詳しくは「二国間租税条約」の項を参照。

参考:
カナダにおける税制の概要については、ジェトロ調査レポート「カナダ税制の概要(2022年2月)」を参照。

歳入庁:法人向けウェブページ "Corporations外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
法人税率、各州税などの情報および申請書式などがまとめられている。

オンタリオ州:税金および給付金 "Taxes and benefits外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

法務省:

(データ確認日:2023年10月24日)