ジェトロ対日投資報告2023
第2章 日本の対内直接投資動向
第4節 対日グリーンフィールド投資動向

1. 件数の推移

2022年の日本向けグリーンフィールド投資の件数(公表日ベース)は前年比11.4%増の196件で、4年ぶりに増加に転じた。

2023年第2四半期までの件数は83件であり、前年同様のペースを維持している(図表2-11) 。

図表2-11 グリーンフィールド投資件数の推移
2003年から2022年までは暦年ベース、2023年は第2四半期(6月末)時点での件数を表示。件数の推移は次のとおり、2003年 106件、2004年 132件、2005年 111件、2006年 140件、2007年 165件、2008年 180件、2009年 144件、2010年 166件、2011年 133件、2012年 132件、2013年 174件、2014年 209件、2015年 158件、2016年 176件、2017年 217件、2018年 270件、2019年 234件、2020年 193件、2021年 176件、2022年 196件、2023年6月 83件、この期間における最多件数は、2018年の270件、最小件数は、2003年の106件。

〔出所〕「fDi Markets」(Financial Times)(2023年10月20日時点)から作成

2. 国・地域トップ5 / 業種別トップ5

2022年の対日グリーンフィールド投資を投資元国・地域別に見ると、米国が前年比5.6%増の57件で最多。2番目に多かったフランスは前年の5件から17件(前期比240.0%増)と大きく件数を伸ばした。3番目に多かった英国は前年比11.1%減となったものの前年同順位を保った。一方、ドイツは、前期比45.0%減の11件となった (図表2-12) 。

業種別に見ると、ソフトウェアが前年比32.1%増の70件で最多。次いでビジネスサービスが同76.5%増の30件となり、この2業種で全体割合の過半を占めた。そのほか、通信については前年比30.0%減の14件であった(図表2-13) 。

図表2-12 2022年における対日グリーンフィールド投資件数(投資元国・地域別) (単位:件、%)
順位 国・地域 件数 伸び率(前年比) 割合
1 米国 57 5.6 29.1
2 フランス 17 240.0 8.7
3 英国 16 -11.1 8.2
4 ドイツ 11 -45.0 5.6
5 シンガポール 10 -23.1 5.1
5 オーストラリア 10 150.0 5.1
全体 196 11.4 100.0
図表2-13 2022年における対日グリーンフィールド投資件数(業種別) (単位:件、%)
順位 業種 件数 伸び率(前年比) 割合
1 ソフトウェア 70 32.1 35.7
2 ビジネスサービス 30 76.5 15.3
3 金融サービス 14 40.0 7.1
3 通信 14 -30.0 7.1
5 産業用機械器具 13 0 6.6
全体 196 11.4 100.0

3. 2022年1月~2023年6月までの主なグリーンフィールド投資案件

上記期間における対日グリーンフィールド投資案件を見ると、米国半導体メーカーのマイクロンによる生産設備能力高度化投資案件や米国アマゾンの日本現地法人アマゾン・ジャパンによるフルフィルメントセンター(物流拠点) 投資案件があった。業種別では、再生可能エネルギー分野での投資案件が引き続き存在感を示した(図表2-14)。

図表2-14 2022年1月~2023年6月までの主な対日グリーンフィールド投資案件
企業名 国・地域 業種 投資先 概要 年月(発表・報道ベース)
マイクロン・テクノロジー 米国 半導体 広島県 米半導体メモリー大手、マイクロン・テクノロジーは、広島工場(広島県東広島市)において、1γ(ガンマ)世代の技術に関して向こう数年間で最大5,000億円を投資する計画を発表した。 2023年5月
オクトパスエナジー 英国 再生可能
エネルギー
東京都、
その他
オクトパスエナジーは東京ガスとのパートナーシップにより再生可能エネルギー事業を進展中、現在約20万人の小売り顧客を抱えている。太陽光と風力発電への6億ポンドの投資を発表するとともに、今後3億ポンドを投資して、技術革新を進め東京を小売り拠点のハブとして位置付ける計画を発表した。 2023年5月
フィデリティ・インベストメンツ 米国 不動産 千葉県 三井物産との合弁事業として、フィデリティ・インベストメンツは、同社子会社のColtデータセンターサービス(大企業向けデータセンターソリューションをハイパースケールによって提供するグローバルプロバイダー)が、千葉県印西市に4つ目の主要データセンターの建設を開始したと発表。 2023年4月
アマゾンジャパン 米国 消費財 兵庫県 2022年3月に兵庫県尼崎市にアマゾン尼崎フルフィルメントセンター(FC)開設を発表。西日本最大の同社のFCとなる。尼崎市と周辺地域で、2,000人以上の雇用機会を創出するとしている。 2022年3月
トタルエナジーズ フランス 再生可能
エネルギー
東京都 仏エネルギー大手が、エネオスとの合弁会社(出資比率は50%ずつ)を2022年6月に設立。日本をはじめ、インド、タイ、ベトナムなどアジアでの法人向け太陽光発電自家消費支援事業を実施する。日本国内では太陽光発電設備の導入提案および太陽光発電設備の運営管理を行い、今後5年間で300MW以上の発電容量開発を目指す。 2022年4月
三菱地所・サイモン 米国 不動産 埼玉県 米国の不動産開発のサイモン・プロパティ・グループと三菱地所の合弁会社である同社は、埼玉県深谷市でアウトレットモールを開発、2022年10月にオープン。 2022年10月
GLP(グローバル・ロジスティック・
プロパティーズ)
シンガポール 再生可能
エネルギー
首都圏・近畿圏 シンガポールの物流施設デベロッパーのGLPの日本法人がデータセンター事業に本格参入することを2022年2月に発表。首都圏および近畿圏において、合計約600MWの拠点適地を取得し、2023年より順次着工、2024年より順次竣工。今後1兆円以上の投資を予定し、遅くとも2027~2028年ごろには、900 MWの供給能力を目指す。 2022年2月
グーグル 米国 通信 千葉県 2024年にかけて、日本のネットワーク インフラストラクチャに、総額1,000億円を投資する計画を2022年10月に発表。取り組みは2021年から開始されているとし、千葉県印西市にグーグルとして日本で初めてとなるデータセンターを開設するとした。2023年4月に開所式を実施。 2022年10月
アドバンスト・ナノ・プロダクツ 韓国 電子部品 愛知県 韓国のEV用バッテリー素材メーカーが7月に日本法人を設立。愛知県田原町で生産。 2022年7月
パターン・エナジー 米国 再生可能
エネルギー
北海道 米国の再生可能エネルギー設備開発会社のパターン・エナジーの日本子会社グリーンパワーインベストメント(GPI)が建設を進める設備容量112MWの⽯狩湾洋上⾵⼒発電事業の融資契約の締結を2022年9月に発表、建設を加速させる。なお、その後の2023年5月にNTTアノードエナジーおよびJERAが2023年末までにGPIを買収することを発表している。 2022年9月
コペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズ デンマーク 再生可能
エネルギー
青森県 デンマークのグリーンエネルギー投資会社である同社は、青森県沖日本海(南側)における洋上風力発電事業のため、東急不動産と合同会社を設立したと2022年7月に発表。 2022年7月
ゲスタンプ ホットスタンピング ジャパン スペイン 輸送機器 三重県 スペインの自動車プレス部品メーカーの日本法人ゲスタンプホットスタンピングジャパンは2022年5月、部品需要拡大に対応するため、新工場棟の増築を発表。2023年6月をめどに運用開始予定。 2022年5月
エクイニクス 米国 通信 東京都 米国のデータセンター企業の同社は2022年11月、東京で15拠点目となるデータセンターの新設を発表。初期投資として1億1,500万ドルを投じる。2024年下半期の開設を予定。 2022年11月

2023年版目次

  1. 第1章
  2. 第2章
  3. 第3章

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